弁舌が立つ人の中には「自分には人をことばで操る才能がある」と考え、それに溺れる人があります。しかし、「悪い知らせ」をあたかも「良い知らせ」であるかのように、「絶望的な状況」を「希望的な観測」であるかのように言いかえることは、ごまかしや言いくるめであって、非誠実な態度と言えます。「悪い知らせ」は「悪い知らせ」として、「絶望的な状況」は「絶望的な状況」としてきちんと過不足なく伝え、その上でどのような希望があるのか、どうすれば状況が逆転できるのかを提示し、人々の熱意とやる気に点火することが、医者に必要な本当の弁舌の才でしょう。そこで重要なのは、舌先三寸(その舌を操る運動神経)ではなくて、運動神経を管理している魂に宿る人間性の方です。
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