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厚労省・村木元局長に無罪判決 郵便不正事件で大阪地裁」(朝日新聞)
 またまた検察がチョンボをした様子ですね。「犯罪の真相はこうに違いない。なんてぼくちゃんの推理力とストーリーの構築力は素晴らしいんだろう。ほらほら、みんな『お奉行様の言われることに間違いありません』と白状しやしたぜ」という検察の主張に対して、「ストーリーにスジが通っているかどうか、以前に、その裏付けの“事実”がないじゃないか」と裁判官に評価されたわけです。
 「事実は小説よりも奇なり」なんて言いますが、検察官があまりに奇を衒った“ストーリー”を構築することに夢中になってしまった、ということなのかな。
 なんだか、初診の発熱患者を目の前にして「この患者は、きっと世界でまだ2例しか報告がない珍しい○○熱病患者に違いない」と最初から決め込んで、検査はその「○○熱病」関連のものしかしない医者のことを思いました。もちろんそんな医者が実在したら、それはただの思いこみが激しい藪医者と評されるでしょうが。
 ただ、と私はここで頭を立ち止まらせます。官僚組織では“そういった能力”が高い評価を受けるのではないか、と。つまり、今回の奇怪な裁判は、一人の検事の“暴走”などではなくて、日本の官僚組織が持つ「構造」から生まれたものではないかな、と。
 今回はたまたま厚労省の官僚が“被害者”になったわけですが、ふだんは厚労省が今回の検察と同種類の行動(「強引な作文」「裏付け調査不足」「反省の欠如」など)を医療行政で展開しているのではないか、とも思います。それも全力で、現在完了進行形で。でないと、日本の医療行政はここまでぼろぼろにならないでしょう。
 そういった点で、今回の裁判は“同士撃ち”というか“同じ穴の狢”というか“同病相憐れむ”というか……

 ところで、今回はストーリー展開が強引すぎて「調書の否認」が相次いでストーリーが破綻してしまったわけですが、そういった“ほころび”さえなければ「検察の作文」が採用されて「有罪判決」が獲得できた可能性もあったわけです(というか、検察はそれを狙って行動していたわけですよね)。結局裁判所とは「どちらのストーリーを採用するか」の場であって「真実を明らかにする」場ではなさそうですね。

 


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2010.09.10 06:32 |  映画 / 音楽 / 読書  |  その他(医療関連)  |  おかだ  | 推薦数 : 1

橋と島

 タイトルだけ見たら、瀬戸内海あたりでの架橋の話のようですが、今日は脳の話です。(ランゲルハンス島は出てきませんので、悪しからず)

 私たちの脳には「橋」と「島」があります。
 「橋」があるのは脳幹部。延髄の上、小脳の前、中脳の下に位置します。大脳と小脳の神経の中継をやっている場所、と言えばわかりやすいでしょう。意識的に行なう運動の正確さとか巧妙さに関係しています。また、三叉神経が始まる場所の一つでもあります。
 「島」は、前頭葉と側頭葉の間に存在していて、そこが損傷されると伝導失語(復唱が困難になる)を起こします。また、味覚・内臓運動・内臓知覚に関与しています。さらに最近の研究では、自律神経・言語・注意・感情・異なる感覚の統合などに関与している、のだそうです。

 16〜17世紀の英国の詩人ジョン・ダンは「何人も孤島にあらざるや」と書きました。
 だけど私たちの脳内の「島」は、それ自体で様々なところに「橋を架けている」のかもしれません。

※『対訳 ジョン・ダン詩集』(イギリス詩人選(2)) ジョン・ダン著、湯浅信之 編、岩波書店(岩波文庫)、1995年、553円(税別)

 なお私がこれまでに読んだ本で、ジョン・ダンのこの一節に言及していたと記憶しているのは……
海からの贈物』GIFT FROM THE SEA アン・モロウ・リンドバーグ 著、吉田健一訳、新潮社(新潮文庫)、1967年 (「『人間は島ではない』とジョン・ダンは言ったが、私は我々人間が皆島であって、ただそれが同じ一つの海の中にあるのだと思う」と書いています)
嘲笑う男』(異色作家短編集16) レイ・ラッセル 著、 永井淳訳、早川書房、2006年  に収載されている短編「バベル」ではジョン・ダンの名前は伏せられて、詩句だけが紹介されています。


 本日のBGMはサイモンとガーファンクルの「明日に架ける橋」です。淋しい気分なら「アイ・アム・ア・ロック」でも良いですけれど。(「I am a rock, I am an island」のリフレインが印象的な歌ですが、ここもジョン・ダンからの“引用”ではないか、と私はにらんでいます)


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