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「厚労省、耐性菌「NDM-1」国内初検出受けて全国レベルでの調査へ」(FNN)
「大腸菌」と言われたら「病源大腸菌」とか「O157/ベロ毒素」とか条件反射的に答えてしまいそうになる私ですが、また新顔の大腸菌です。たしかにほとんどの抗生物質が効かない、というのは困ったものです。この菌が原因となった感染症を起こして、うっかり医者が抗生物質を出したら、NDM−1を持つ菌“以外”の菌が死んでしまって、“空き地”にNDM−1ががんがん増える、ということが起きてしまいかねませんから。さらにこの遺伝子が伝達性プラスミドで他種の細菌に広がっていくのも困ります(逆方向ですが、腸管出血性大腸菌のベロ毒素は、大腸菌が赤痢菌からその産生遺伝子を獲得した、という説を聞いたことがあります)。
ということで厚労相は「全国レベルでの調査を指示」したそうですが……さて、具体的に私は何をすればいいのでしょう。当面、インドから帰国して下痢や膀胱炎を起こしている人の検体を培養して多剤耐性を示したらそれを遺伝子検査のために国立感染症研究所に送ればいいのかな?
ここで私は昨年春のことを思い出します。「新型インフルエンザの疑い」って、症状だけではなくて「どの国から帰国したか」も重要な因子として扱われましたよね。で、壮絶な「水際作戦」が展開されました。だけど、「国」「症状」へのこだわりは結局どのくらいの効果がありましたっけ?
NDM−1に関しても私は似たことを思います。インフルエンザの潜伏期と同じく、NDM−1にも潜伏期とか健康保菌者の問題がありそうですし、「国」や「地域」にこだわるとまた“裏口”からの侵入を許してしまいそうです。
それと、調査の結果をどう扱うか、も難しい問題です。
たとえば「検出結果がゼロ」だったとしましょう。だったら「ああ、よかった」で安心してよいでしょうか。もちろんそういうわけにはいきません。全国民を一斉に検査しない限り必ず“取りこぼし”が生じます。私は統計学は劣等生なので以下の統計に関する記述は信用しない方が良いです、と先に言い訳をしてから……現実に何%の国民がその菌を持っているか、の期待値がある程度出せないと、国民の何%をサンプル調査したらよいか、の標本数が決定できないはずです(決定できた場合でも5%の“誤差”はあるわけですが)。ですから「対象を絞らず数を決めずとりあえず適当に調査してみる」というのは統計学的にはあまり意味のある行動ではないはずです。
次に、たとえば「検査の結果NDM−1陽性者がいた!」だったとしましょう。この場合3つの問題が自動的に生じます。「その人をどうするか」と「検査では陰性と出たけれど実は陽性者/検査を受けていないけれど実は陽性者、にどう対応するか」と「社会としてどう行動するか」です。
まずは最初の問題。その人を昔の「らい病施設」のように島流しにします? それはできませんよねえ。ヒステリックに“バイキン”扱いします? これはありそうですね。マスコミとか近隣社会とか、これまでにもさんざん“実績”がありますから。でも、それは「解決」には結びつきそうにありません。
次。2番目は、問題提起はしてみたけれど、とりあえず“つぶやいてみただけ”になりそうです。頭の良い人からの“解決策の提示”を期待します。
3番目。これは何かできそうです。「衛生の向上」ということで、手洗いや手の消毒の推奨ですね(院内だけではなくて、「世間」でもなるべくやった方がよいでしょう)。それと、ものが大腸菌ですから、肛門に絡む性行動(肛門をなめる、肛門性交など)はなるべく自重を呼びかける。私が思いつくのはこれくらいですが、まだあります?
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