おかだ
More プロフィール

Search

Calendar

<< 2012/02 >>
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29

トップページ

Doctors Blog

ブログの購読

新着コメント

新着トラックバック

< 死語(107)二本棒 | メイン | 死語(108)薔薇って漢字で書ける? >
2010.08.17 06:53 |  診療  |  その他(医療関連)  |  社会・歴史  |  おかだ  | 推薦数 : 1

潰瘍の手術

 昔、と言っても、私が医者になった頃には胃癌の告知は行なわれず、手術が必要な場合には「胃潰瘍の手術が必要」と嘘の説明がされていました。「嘘」は言い過ぎかな。胃癌の表面は崩れて潰瘍になっていることが多いので「(腫瘍によってできた)胃の潰瘍を手術する」と言って言えないことはないですから(強弁の部類ではありますが)。
 で、ややこしいことに、実際に「(胃や十二指腸)潰瘍の手術」も多く行なわれていました。昔使える「潰瘍の薬」は粘膜保護剤か酸の中和剤がせいぜいで、「潰瘍を治療する」薬は夢のまた夢だったのです。内視鏡による治療もまだ未開発でした(どころか、観察をするのがやっと)。ですから、潰瘍ができた場所が悪くて動脈を破ってしまって吐血する人、潰瘍が深くなって穿孔してしまった人、潰瘍を何回も繰り返す人などはもう外科で手術をするしかありませんでした。
 手術方法もいろいろあります。潰瘍の部分を切除して胃と腸をつなぐ、が基本ですが、私の記憶では十二指腸潰瘍で「胃酸分泌が盛んな部分を切除する」というものもありました。この場合には下手(?)すると“健康な胃(元気すぎるくらい胃酸を分泌する粘膜)”の部分が切除されて潰瘍部分は腹の中に残されることもあります。また、胃の外側の迷走神経を切断する手術もありました(「選択的近位迷走神経切離術」と言ってたはずです)。迷走神経が機能しなければ胃酸分泌も減少するからその神経を切断してしまえば胃潰瘍が悪化しにくいだろう、という発想です。ただ、胃の動きも悪くなるでしょうから胃の中の悪条件がそのまま保存されてしまう、ということも考えられますが。

 状況が変わったのは私が医者になった頃「H2ブロッカー」というジャンルに属する薬が続々発売されるようになってからです。いわば「薬による選択的な迷走神経切離」ができるようになったわけです(厳密には、迷走神経ではなくてヒスタミンを遮断するのですが)。おかげで今は「潰瘍の手術」はずいぶん減ったんじゃないでしょうか。近位迷走神経切離術も、腹腔鏡では行なわれているでしょうが、開腹でもやっているのかな?  これは現役の外科医に聞いてみないとわかりません。(ちなみにH2ブロッカーの次はPPI、そしてヘリコバクター・ピロリの除菌、と潰瘍の治療も“流行”が移り変わっています)  胃の手術に関しても、今は内視鏡手術もあるし、胃の全摘でさえ腹腔鏡でできるし、長生きはするもんだ、と思いますな。


固定リンク | コメント (1) | トラックバック (0)

トラックバック

この記事のトラックバック URL

http://blog.m3.com/ishi-atama/20100817/1/trackback

コメント

コメント一覧

もしも私が・・・そういう立場になったら。胃を全部摘出してまで生きたいとは思えません。
written by おじさん / 2010.08.17 10:32

コメントを書く

ニックネーム*
メールアドレス*
URL
内容*
※「利用規約」をお読みのうえ、適切な投稿をお願いします。