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最近読み始めた、医療系痛いニュースを集めたブログ「ssd's Diary」の記事「紀南初」は痛いというか笑ってしまうニュースでした。
「ICD植え込み手術成功 地域で初、紀南病院が発表 和歌山」(産経ニュース)
なんだ、ソースは産経かアテになるのかな、と思って検索をかけてみたら、あら、他の新聞にも。
「除細動器埋め込み成功/紀南病院」(朝日)
「除細動器植え込み成功」(読売)
心室頻拍や心室細動には治療に電気ショック(昔だったら病院にしかないカウンター・ショック、最近だったらあちこちにあるAED)が必要です。ところが心臓が発作を起こすたびにAEDを探し回るのは大変なので、リスクが高い人には最初から小型のAEDを胸に埋め込んでおこう、というのがこのニュースで扱われている「ICD」。
いや、すごいことができるもんだな自分専用のAEDを埋め込んで持ち歩けるのか、と思いますが(棒読みモード)、(例によって)引っかかることが二つ。
1)一体新聞のこの記事のどこが“ニュース”なんだろうか? それと各紙が一斉に報道する目的はなに?
2)なんで病院はわざわざ「埋め込み成功」を発表したのだろうか?
1)……私が初めてICDのことを聞いたのは地方の医師会の講演会で、約25年前のことです。某大学の胸部外科の教授から、不整脈の種類とそれに対応する各種の埋め込み型ペースメーカーについて説明があった後話題がICDになり、これはアメリカではすでに使われている、という内容の講演でした。で、日本での臨床試験が始まったのはそれから数年後のことです。それにしてももう20年の“歴史”が日本にはあるわけです。医者は論文の審査では「この論文のノイエス(英語だとnewness、新しさ・それまでの論文にない独自性)は何だ?」とぎゅうぎゅう責められますが、上記の「新聞ニュース」の「ノイエス」は一体何なんでしょう? それに各社横並びで報道しなければならないほどの報道価値がどこにあるのか、私には見えません(私の目が節穴のせいかもしれませんが)。
2)……病院としては初めて成功した、ことは価値があるでしょう。その病院にとっては、ですが。だけどわざわざいくつもの全国紙に発表することなんだろうか、とか、ICDの「成功」とは「埋め込み手術が上手くいったこと」よりも「埋め込まれたICDが“いざ鎌倉”のときにきちんと機能して救命できた」の方ではないか、と私には思えます(もちろん埋め込み直後にテストをしてちゃんとICDが稼働するかどうかは見ますが、あくまで医師の管理下でのテストと不測の事態とでは“重み”が違うはずです)。まあ、よその病院の事情は私には見えませんが。
実は私が勤務する病院でも以前にこのICDを埋め込まれた方が入院していて、入院中に心臓発作が起きてちゃんとICDが稼働した様子でした。もしかしてこれにも“報道の価値”があります?日本中に発表するべき? 私から見たら「わざわざ新聞発表すること」というよりむしろ「日常」に近い話題という感覚なんですが。
私自身が一番今回の「ニュース」で報道価値があると思えたのは、読売の記事中「県立医科大付属病院(和歌山市)は同手術ができる認定を受けた県内唯一の医療機関だったが、昨年8月、資格を持つ久保隆史医師が転勤、手術ができなくなった。代わって、久保医師が現在勤務している紀南病院が今年1月、認定を受けた。」の部分でした。「日本の医師数は不足していない(偏在しているだけ)」論者の人たちは、この“ニュース”をどう評価するのかな、と思いましてね。で、「強制配置」論者の人たちは、この久保医師をまたどこかよそに強制配置したくなりました?
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