乗っている駱駝が暴走を始めたら、旅先で内戦が勃発したら、乗っている小型飛行機の操縦士が突然意識不明になったら、乗っている大型旅客機が墜落し始めたら、ジャングルで道に迷ったら、UFOに接近遭遇したら……さまざまな「生命にかかわる旅先でのイフ」に対する対応法が載っている本です。その中には当然医学的なものもあるので、それをちょっとここで紹介してみましょう。
「タランチュラに噛まれたら」……映画ではよく「恐怖の対象」として描かれますが、タランチュラは普通は人間を襲わないそうです。また、猛毒を持つものが何種類かいますが、毒を注入するのは二咬み目(最初のひと咬みは「ドライバイト」と呼ばれるそうです)。ですからタランチュラに出会ったときの最初の対応は「パニックにならない」。それから、何か(手以外)でつついて追い払うことだそうです。
「サソリに刺されたら」……サソリの毒も基本的には低度〜中程度なので、こちらでも最初の対応は「パニックにならない」。激痛はありますが、死ぬ確率は低いからです(ゼロではありませんが)。
「吸血ヒルに食いつかれたら」……吸血中のヒルを引っ張ったり焼いたりすると、ヒルが苦しんで吸い込んだ血液を吐き出し、ヒル体内のバクテリアが人間に体内に注入されることがあるそうです。だからヒルの吸血口(体の細い方)を指で横に押して皮膚から外し、それから吸盤(体の太い方)を指ではじいて外すのだそうです。怖いのは、「ヒル症(ヒルが鼻や口に取り込まれて起こる病態)」だそうです。ハナビル(Dinobdella Ferox)は動物の気道を好み、下手すると窒息です。こいつに襲われて、まだ自力で息ができるならやることは「アルコールでうがい」。蒸留酒を水で半分に割ってそれでうがいをしてヒルと一緒に吐き出す、という手段です。うっかり肺に吸い込むと、アルコールだけではなくてヒルも入り込んでえらいことになるそうですが。
「手足が切断されたら」……まず一番に行なうべきは「止血」です。それも動脈からの出血に対して。動脈の断端を指で押さえ(あるいはつまみ)、ついで止血帯。それから血管の端を糸で縛る……って、書くのは簡単ですが、手足のどれかが切断された状態でこれができる人はどのくらいいるのかしら。本人は痛みと出血でふらふらでしょうし、脇に誰かいても、それが外科の素人だったらここまで冷静にできるかどうかはわかりません。ただ、なんとか止血ができたら次にするのは、切断されたものの処理です。上手くやれば接合ができるかもしれませんから。“ブツ”を拾い上げて洗い、ビニール袋に入れてからクーラーボックスなどで冷蔵(冷凍は不可)。すぐに病院に持っていけば、6時間以内なら接合ができるかもしれません。
正直、旅に出る前にこんな本を読む必要があると断言する人がどのくらいいるかわかりませんが、話の種にでも読んでおいたら、「いざというとき」には少しは役立つかもしれません。できたらこんな怖ろしい状態にならないように予防した方が良いのでしょうが。
書誌情報:『
この方法で生きのびろ! ──旅先サバイバル篇』ジョシュア・ペイビン、デビッド・ボーゲニクト 著、 倉骨彰 訳、 草思社、2001年、1200円(税別)
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宿で、カシュガルから返ってきたという日本人ジャーナリストと一緒になりました。聞けば、カシュガルでは風土病が流行り出し、あわててウルムチまで戻ったのだと。
私は肝炎のワクチンしか接種していなかったので、カシュガル行きはあきらめました。
サソリやタランチュラもいそうな環境でしたが、それより、わけわからん風土病は、もっとやばい気がします。
……あ、昨年の厚労省の官僚にとっては「新型インフルエンザ」はまさに「わけのわからない病気」で、でも政府の官僚としては「わけがわかりません」ですませるわけにはいかず、だからあんな「訳のわからない対応」になってしまったんだな。本書のように具体的に対応が書いてあるしっかりしたマニュアルがあればよかったのにね。
妙に納得してしまいますた。。。(笑)
で、当時、私はDoctors Blogを読んでいて、先生方が個人でできる対応策などをアップしたのを発見。すかさず実行し、事なきを得ました。その節はお世話になりました。
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