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「赤い血潮」と言いますが、血液は様々なものの混合物です。たとえば「細胞」がたくさん含まれています、と書けば医学教育を受けていなくてもたいていの人は「赤血球、白血球、血小板」と唱えることができるはず。それで正解です。その中でも赤血球が圧倒的に多く、血液の体積比で半分くらいは赤血球が占めています。(この血液中の赤血球の体積比をヘマトクリットと呼びます。貧血の場合この数字が下がって「血が薄く」なります)
血液を採取して試験管に入れてしばらく放置しておくと、沈殿と上澄みの2層に分かれます。下は細胞とフィブリン(血液を凝固させるための蛋白質)とが絡み合って凝固した状態のもので、上は黄色っぽい液体(血清)です。
ところがここで医者はいらないことを気にするのです。たとえば何かを測定する場合、その物質がフィブリンと何らかの関係を持つ場合、フィブリンが下に沈んでいたら、その物質もそれにつれて血清の中から減っているかもしれません。そうすると測定値が不正確になることになります。
そこで、試験管の中に抗凝固剤を入れておくとフィブリンは静かにしています。ところが今度は測定が難しい。ふわふわ浮いている細胞が邪魔しますから。そこで試験管を遠心分離器に突っこみます。強制的に細胞を沈殿させちゃうわけ。このときの上澄みを「血漿」と言います。血清にフィブリンや凝固因子(と抗凝固剤)が加わったものです。
「細かいなあ、どうでも良いじゃないの」と言いたくなりません? 私は言いたくなります。ただ、検査によって「血漿で」とか「血清で」とかの指定がある場合にはその「細かいこと」を守らなければなりません。実際には、試験管(ふつうは真空の採血スピッツ)の色で区別するのですが。
心臓が弱ってくると、心臓は「これはいかん」と心臓の負担を軽くするために利尿作用や血管拡張作用があって血圧を下げるホルモン、ANPやBNPを分泌します。逆に言えば、そのホルモンを測定したら心臓が弱っているかどうかがある程度判定できるわけです。特に私はBNPを愛用していますが、これが「血漿で測定」という指定がついています。ところがその前駆物質NT-proBNPは、BNPに比べて物質として安定していて測定誤差が少なくしかも血清でも測定可能、という優れもの、というふれこみです。要するにアバウトな取り扱いに耐える、ということで、これからはこちらに乗り換えようかと私は思っています。ただ難点は、名前が長いこと。私が勤務する病院はまだ電子カルテになっていないので、手で書く場合には面倒なんですよね。nBNPとかになってくれないかしら。
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