ボツリヌス毒素「ボトックス」(眼瞼痙攣・顔面痙攣・痙性斜頚・小児麻痺による尖足、に使える“薬”)を使用できる資格を取るために講習を受けました。ネットで講義を聴いてその後試験を受ける、という手順です。休日の午後を潰してめでたく資格は取れましたが、実は今のところ患者さんに注射をすぐにする予定はありません。もしかしたら近い将来やらなければならなくなるかもしれませんが。
外来にナルコレプシーの患者さんがいたので大学病院からのリタリン処方を継続するためにばたばたした、は「羮に懲りて膾を吹く」で書きましたが、このときにも私はネットで同じような手順の講習とテストを受けました。結局その患者さんは別の県に引っ越していかれたので、私のリタリン処方資格は“宝の持ち腐れ”となり、さらにナルコレプシーに対してはリタリンよりもっと良い薬が出たとかでますます「あの苦労は何だったの?」になってしまったのですが。
で、ボトックスですが、ネット講習で知識は得られましたが実技講習が明らかに不十分なのが気になっています。実際にやっているベテランの所で直接目で見てその指導下にやらせてもらって、でないと自分に自信が持てないし患者さんに責任が持てません。
こういうことって厚労省は伝統的に民間に丸投げですが、もうちょっと役所(国)としてのポリシーを示すとか公的な教習所を作るとか、はしないんですかねえ。「天下りの口が増えまっせ」と言ったら誘い水にならないかしら?
規制(制限)や書類配りだけに熱心になるのではなくて、国の医療を育てる努力をする(最低、その姿勢を見せる)こともお役人の仕事ではなかったかな? 江戸時代の役人が「この山には入るな」「自分たちが指定した種類の木は伐るな」と領民への制限と違反者への処罰だけ熱心に行なって自分たちは「藩命である」と木をがんがん切り出し、しかも山(森林)を育てる努力をろくにしていなかった、という姿を思い出したりしています。
(参考図書:『杉(1)』有岡利幸 著、 法政大学出版局(ものと人間の文化史149-1)、2010年、2700円(税別))
※この記事を書いたら、日本医師会の生涯学習で「eラーニング」をやっていたっけ、と思い出したので、久しぶりに日医のサイトに行ってお勉強のポイントをいくつか稼いできました。こうやってブログを書くのにも時に“実利”があります。
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食卓で舛添さんの新党の話になって、「これは一種の立ち去り型サボタージュかもしれないな」と呟いて、家族に言葉の解説をする羽目になってしまいました。
例として、医者が過酷な環境で必死に働いても全然評価されず、むしろ患者や病院管理者からの要求だけがどんどんひどくなり、だからといって医者の倫理観から仕事の手抜き(サボタージュ)をするわけにもいかず、ならばもう最後の手段として立ち去ることで抗議のかわりとするもの、と説明してから、そのホンネの部分に「さんざん冷遇してくれたけれど、自分が立ち去ることでこの病院は困ったことになるんじゃないかな? ま、じっくり体験して頂戴」という“抗議”や“復讐”の気持ちもある、と追加しました。で、これは想像だけど、舛添さんにも「自分を生かそうとしない自民党から立ち去るけれど、それで自民党は困ったことになるんじゃないかな? ま、お手並み拝見」という気持ちがあるのかも、と。
すると息子が「だけど舛添さんは、今の自民党を支えているわけじゃないでしょ。だったら『自分がいなくなったら』というのは意味がないのでは? いても今の自民党にはプラスでもマイナスでもないんだからいてもいなくても変化は出ないでしょ」と鋭い指摘をしました。なるほど、たしかに舛添さんが現在八面六臂の大活躍をしているのなら、その“働き頭”が離党するのは自民党に大打撃のはずです。だけど、過去はともかく現在碌な働きをしていない(させていない)人間だったら、風評以外には組織には特にダメージはないはず。
いやあ、「負うた子に教えられて」とはこのことです。もっとももうこの子を背負うことは私の体力ではちょっと難しいのですが。
もちろん、今の自民党が“風評被害”にも耐えられないくらい弱体化しているのなら、やはり舛添さんの立ち去りは効果的だった、ということにはなります。病院よりは政党の方が“風評”の影響は大きいでしょうし。
ただ、医者(真面目で平凡なタイプ)は、たとえ不遇の環境でも仕事の手は抜きません。たとえ愚痴はこぼしながらでも目の前の患者さんには全力を尽くします(倫理観の問題だけではなくて、もし手を抜いて事故を起したら大変ですし、そもそも「あの医者は手を抜く」という評判が走ったら再就職の障りになる、という“実利的”な理由もあります)。で、舛添さんは最近どうしていたのかな? 政治の“仕事”の現実がわからないので、私にはそこの所はなんとも判断できません。
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