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2010.04.06 18:35 |  診療  |  その他(一般)  |  おかだ  | 推薦数 : 0

FUO

 ピンクレディが「ゆーふぉっ」と歌い踊ったのは私がまだ学生をやっていた時代。当時私はテレビがない生活をしていて、なんで彼女たちがあんなに人気があるのか不思議でした。ラジオで聞く限りそんなに歌が上手いとは感じなかったし、雑誌の写真を見ても絶世の美女ではない(少なくとも私の好みではない)のですから(ファンの人にはこんな言い方でごめんなさい)。だけどテレビの歌番組で二人が超ミニで歌い踊る姿を見て、「なるほど、これなら人気が出るわけだ」と一人納得をしました(「百聞は一見にしかず」です。さらに言うなら「瞬間的なインパクトなら百枚の静止画より一本の動画」)。
 で「UFO」は、正確には「unidentified flying object 未確認飛行物体」のことです。よく「空飛ぶ円盤」と混同されますが、厳密にはそれは間違いです。だって「異星人の乗り物である空飛ぶ円盤」とわかっている場合にはその正体がもうわかっている(「不明」ではない)わけですから、UFOの「U」unidentifiedから定義が外れますので。

 何の話でしたっけ?
 そうそう、「FUO」。これは「UFO」によく似ていますが、れっきとした医学用語です。正式には「fever of unknown origin 不明熱」。
 私が学生の時に習った定義では、有熱期間が3週間以上/38.3度(華氏101度)以上の発熱がその間に数回以上/1週間入院検査しても原因不明、だったと記憶しています(Petersdorf,Beesonの定義(1961年))。3週間とか1週間とか、なんとものんびりした定義に感じますが、さすがにスピードアップした現代では「38度以上の発熱、3日間の入院検索をしても原因不明」とみごとな短縮化が行なわれた上で、4つのタイプに分類されているそうです。
1)病院不明熱(入院後に発症)
2)好中球減少不明熱
3)HIV患者の不明熱
4)その他

 最後のが典型的なFUOで「発熱が3週間、3回の外来検索または3日間の入院検索をしても原因不明」が定義として与えられています。ここでもまた「3週間」が出てきましたが、おそらくほとんどのウイルス感染(3週間経てばたいていは解熱する)を除外するためでしょう。
 発熱の原因として多いのは、感染・炎症・腫瘍です。さて、ここで重要なのは医者の発想力です。原因がすぐに思いつけないところに隠れているから「U」なのです。だったらまず隠れているものを思いつくことから始めなければなりません。
 シャーロック・ホームズはこう言っています。「いままで何度も言ってきたじゃないか。ありえないものをひとつひとつ消していけば、最後まで残ったものが、どんなにありそうもないことでも、真実であるはずだって。」(『緑柱石の宝冠』)
 大切なのは「ひとつひとつ消す」ためにきちんとした「容疑者リスト」を作ることです。たった一つの手がかりだけから名探偵を気取って「お前が犯人だ」とすぐに飛びつくのではなくて、視野を広く保って、どんなにばかげていると思っても、まず考慮の対象をいろいろ挙げること、その上で“それ”が“犯人”であるかどうか一つ一つ考察・検査を行なって判断をすることが必要です。そのとき医者が思いつかなかったり忘れたり思いこみから考慮の外に置いたところに“真犯人”がいたら「FUO」はいつまで経っても「FUO」のままです。あるいは“冤罪事件”がおきるか。

 先日私もUFO、じゃなくてFUOに遭遇しました。患者さんが入院して数日後に尿路感染症を起こして発熱、感染そのものは抗生物質ですぐに治ったのですが、なぜか発熱だけが残ってしまいました。検査しても、軽い炎症反応があるだけで他にはほとんど異常値無し。ご本人はピンピンしていて食欲旺盛元気いっぱい。「さて」と私はつぶやきます。「これはFUOだが、はたして本当に原因はunknownなのかな、それとも自分が思いつかないだけか?」
 そこで私がやっと思いついたのが「薬剤性の発熱」です。さっそく怪しそうな薬を中止しました。本によると72時間くらいで解熱するとのこと。わくわくしながら待っていると、あら、みごとに熱が下がってくれました。さて、次に考えるのは、もしその薬を中止したことでなにかまずいことが起きたらどうするか、ですが、とりあえずは一安心。


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2010.04.06 06:48 |  旅行 / 宿  |  その他(一般)  |  その他(医療関連)  |  おかだ  | 推薦数 : 2

出張は鉄路に乗って

 昨年の新聞記事で、裁判員に交通費を支給するのに、新幹線二駅くらい向こうから呼ぶのでもJRの普通運賃だけで計算していた、という話をさっき急に思い出して、そこからさらに連想の思い出しをしました。

 むかしむかし、青函トンネルはまだ未開通で青函連絡船が往来し、国鉄がJRになっていなかった時代のお話です。
 とある公的病院に勤務していて「学会出張したいのですが」と事務に言うと、出張申請書に記入するようにといわれました。まあそれは普通のことですが驚いたのが、旅費の計算が「国鉄」オンリーだったことです。そのときは東京へだったのですが「もし北海道だったら?」と聞いたら「それも国鉄で行ってもらいます」。
 今だったら、北斗星・カシオペア・トワイライトエクスプレスなどを思いますが、当時はまだそんなけっこうな列車の旅はありませんでした。B寝台が3段ベッドだった時代です(経験者はどのくらいおられるでしょうねえ。ちなみに私はB寝台の最上段が好きでした。低い天井で頭がつかえますが、ハシゴを登らないとのぞき込めませんから泥棒には一番強いと思っていたので)。
 しかし当時本気で国鉄で北海道出張をしたら、往復だけで何日かかったんだろう? あっさり飛行機代を認めた方が、結局日程が短くできて“お得”だったんじゃないか、と今でも思っています。


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