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2010.03.10 07:04 |  その他(医療関連)  |  おかだ  | 推薦数 : 1

心配性

 私が医者としてとても嫌な状況の一つは、「目の前に重症患者がいる」ことです。全力を尽くしても残念な結果になる確率が軽症の場合より高いですから。
 もっと嫌なのは、「何が起きているかわかっているが、何もできない」状況です。ただの対症療法しかできず、有効な手を打てずに手をこまねいて見ているしかありませんから。でも、この場合にはまだ、病気の内容と医学の(自分の)無力さについての「解釈」や「説明」はできます。
 「目の前に大変な患者がいる。でも、何が起きているのか見当もつかない」……これはもっと嫌です。対応はおろか説明さえできないのですから。

 だったらどうするか。やはり勉強と経験でしょう。
 ただし「世界で数例しかない病気」ばかり勉強するのはあまりに効率が悪すぎます。宝くじの一位当選をアテにして住宅ローンを組むようなものです(変なたとえかしら)。医者が出会う「難しい病気」のほとんどは、「世界的に非常に珍しい難病」ではなくて「普通の病気がちょっと修飾されている」「いくつかの(普通の)病気が合併している」場合です。
 だとしたら、ここで欲しいのは「ゆとり」ですね。自分でもう一度検査成績を見直したり、文献を当たったり、知り合い(メーリングリストなど)で質問をして答えを得ることができる時間的・心理的な余裕です。ただ、今の日本で医者がそういった「ゆとり」を使う余裕が現場にどのくらいあるでしょうか。それと、そうやって「集合知」を活用するとして、そういったヘルプをしてくれる人たちへの報酬はなにか考えなくて良いです?


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