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2010.03.01 18:34 |  診療  |  その他(医療関連)  |  おかだ  | 推薦数 : 1

エビデンスの有無

 EBMが普及するのはけっこうなことと思います。ただ、普及の過程で、誤解や曲解も広まっているのではないか、と気になります。
 たとえば「エビデンスが無いものは一切やってはならない」という主張。ときにネットなどでこんなのを見ることがあるのですが、これ、逆じゃないかと思うのです。「エビデンスがあるから、それを治療選択肢の一つに含めることができる」ではないか、と。だって「エビデンスが無いものは一切やってはならない」だと、新しい治療手技の開発がストップします。初めての試みにはすべてエビデンスは無いのですから。
 一瞬「ゾロ品メーカーばかりで、新薬メーカーが存在しない社会」を想像してしまいました。

※気の早い人が「EBMを否定するのか」と誤解しそうなので蛇足。私が否定的に書いているのは「EBM」ではなくて「EBMに対する誤解や曲解」の方です。


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医療ドラマの痙攣(けいれん)発作への対応には誤りが多い」(CareNet)

>>カナダの研究グループが人気医療ドラマ「House, M.D.(邦題:Dr. House)」、「Gray’s Anatomy(グレイズ・アナトミー恋の解剖学)」、「Private Practice」、「ER(ER緊急救命室)」を視聴した結果、ドラマ内の「医師」および「看護師」の痙攣発作に対する対応のほぼ半数が不適切であることが判明したという。
 研究対象とした327話中に発作の描写は59回あり、そのうち約46%に、患者を押さえつける、不随意運動を抑止しようとする、患者の口に何かを入れるなどの誤った対応がみられた。適切な応急処置が示されていたのは29%で、25%は適切かどうかを確認できなかったという



 「押さえつける」ことには、ストレッチャーからの転落を防止する、といった場合もあるので実際のその場面を見ないと「100%バツ」とは言いたくありませんが、あとの二つは……
 全身痙攣の患者さんの動きはけっこうダイナミックです。下手に手足を抑えると骨が折れる可能性もあります(もちろん上手に抑止すれば骨は折れませんが、問題は骨が折れるかどうかではなくて、痙攣に対してどう医学的に処置するか、ですから「力ずくで痙攣を止める」は医学的には無意味でバツになります)。
 口に何かを入れるのも、バツ。そういえばこれは昔よく言っていましたね。「全身痙攣を起こしたら舌を噛むから口にスプーンをかませろ」とか。余裕があったら割り箸に布を巻いて当たりを柔らかくする、なんて工夫をしていた人もいます。ただしこれの目的は「舌を噛まないようにすること」。もう痙攣がおきていて歯を食いしばった状態なのに無理矢理口に何やら突っこんだら、その処置によって舌や歯茎を傷つけるか歯を折ります。


 この記事は「テレビの医療ドラマからは、痙攣(けいれん)発作を起こした人に対する正しい応急処置の方法を学ぶことはできないことが報告された。」で始まっていますが、だからと言って「痙攣発作以外の応急処置なら学べる」ことにはなりません。
 この研究で取り上げられたドラマでこれまでに私が見たことがあるのは「ER」だけです。これはけっこうリアルで医者の目で見ても感心することが多いのですが、それでもときには「?」となることがあって、これは日米でのやり方の違いなのかそれとも不適切な手段なのか、あるいは自分の知識が間違っているのか、などと考えることはあります。


 ただ、こういったことが記事になるということは「たとえドラマであっても、そこから視聴者が何かを学ぶ可能性があるかぎり、そこで描かれる情景はなるべく“リアル”でなければならない(少なくとも不適切なものであってはならない)」という“お約束”が社会にあるからでしょうか。ここで日本のことを思うと……まあ、笑うしかないでしょうね。いつだったか「心療内科医・涼子」という医学的にはひどいTVドラマ(たとえば心療内科医が、カウンセラーとソーシャルケースワーカーと精神科医をやっているけれど、内科医だけはやってなかった)に対して、心療内科医学会はできたばかりだったので、その母体となった心身医学会からテレビ局に抗議をしたら見事に無視された、という“過去”を私は思い出したりしています。
  ……でも……「真実は細部に宿る」んですよねえ。
 それとも、日本では視聴者はドラマに「リアル」なんて求めていないから、大丈夫?(でも、本当に求めていないの?)



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