病院でのセクハラは、いくつかのパターンに分類できます。
1)職員 → 職員
2)職員 → 患者
3)患者 → 職員
1)の場合、私の勤務する病院では基本的に直属上司に報告、となっていましたが、「その上司からのセクハラだったらどうするんだ」という指摘から、現在は守秘義務に慣れている独立部署がその担当となっています。
2)の場合は少ないのですが、残念ながらゼロではありません。直属上司から病院上層部に報告が上がり、職務規程で馘首です。
3)が実は悩ましい。「セクハラだ!」で即座に強制退院、だったら話は簡単ですが、それだったら私は悩みません。入院時の誓約書でセクハラを含む迷惑行為や他者に有害な行動をした場合には強制退院となってますし、顧問弁護士もそれを承認しているから、そのこと自体には問題はないはず。私が気になるのは以下の2点です。
甲)本当にセクハラなのか
乙)治療への影響
甲)に関しては、具体的にどんな状況でどんな言動があったかを聴取します(単に「セクハラされました」では不可)。さらにたとえば別の職員へも同様の言動があるかどうかとか、二段三段がまえで“証拠”を集めますし、私は本人にもずばり尋ねます。「これこれしかじかの言動がある、と噂を聞いたんだけど、それは本当か?」「それが相手に不愉快に思われていることを知っているか?」と。それと職員(セクハラをされた人以外も含む)には「行為と人格の分離」も言います。「セクハラ行為」は不愉快だが、「その人の人格」を不愉快だとしないように、と。
乙)はやはり私が医者だから気になるのでしょう。患者だから何をしても良い、なんてことはもちろん思いませんが、ことがおおごとになるかならないか、どちらにしても、患者さん本人の治療上に何らかの利益がある方向に持って行きたい、とつい思ってしまうのです。
さらに個人的に思うことがあります。「セクハラをする患者は、即刻病院から追放」という態度は「嫌いだから遠ざける」と言えますが、それはセクハラ野郎の「好きだから近づく」を単に逆転させただけにも見えるのです。つまり感情と方向は逆ですが「好き嫌いで動く」点では同じ。それで「解決」なのかなあ、と思ってしまうのです。
そうそう、4)患者 → 患者 も考えられますが、私はまだこれは未経験です。この場合にはどうすれば最善なんでしょうねえ。
もう一つそうそう。入院している老人男性がある日急に女子職員に対してセクハラを始めたことがあります。それはもう露骨に。ただ、人妻であることを知っている人に対しても「あんたは処女か?」と聞いたりするというなにやら妙な雰囲気だったのですが、その数日後こんどは足に軽い不随意運動(本人が意識していないのにぴくぴく動きが出る)が出現したため、その両方を合わせて念のために脳のMRI検査をすることにしました。すると前頭葉にできたばかりの新鮮な小さな脳梗塞が。
この一例をもって、セクハラをする人すべてにMRI検査をするべきだ、とまで主張する気はありません。ただ、こういう経験をした医者が一人いる、という一例報告でした。
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町の飲食店で無銭飲食をやったら逮捕でしょ? 「給食費未納」は法的にはどうなるんでしょうねえ。学校は実は治外法権の租界で、暴力事件もなかなか表沙汰にならないように、給食を無銭飲食するのも無罪放免?……のわけはないはずですが。
もっと“景気の良い”話もあります。
「医療費滞納年2億円超 未払い開き直りも」(宮崎日日新聞)
「医療費滞納3億円 広島市立5病院、市が回収へ本腰」(中国新聞)
「県立八重山病院医療費未払い 1億9000万円も」(琉球新報)
2億とか3億とか、えげつない数字が並んでいます。で、これは当然「氷山の一角」。日本中のすべての医療機関での「医療費滞納」を合計したら、一体どんな数字が現われるのでしょう? で、それに対して努力するべきは「医療機関」だけ?(たとえば「医療費の自己負担分を支払わない人」にまで保険証を交付している保険組合には責任は何もないのかな?)
そういえば家賃を払わない人に対してえげつない手を使うと
「悪質な家賃取り立てに懲役刑 追い出し規制法案まとまる」(朝日新聞)
ただこれは「えげつない手で追い出す」ことが問題視されているわけで、「家賃を払わないこと」が法律によって正当化されているわけではないですよね? 家賃未納の開き直りは、落語の「長屋の花見」くらいにとどめて置いて欲しいものだとは思いますが(こう思うのは、私が「店賃は貯めるな」としつけを受けて育った古い世代だからかもしれません)。
ただまあ「倫理倫理は鈴虫」とか「親からもらった金の贈与税に知らんぷり」とかの政治家の言動を見ていると、「払うべき金を真っ当に払う」ことの価値がずいぶん減じてしまったのだなあ、と思えてなりません。「だから、払わなくて良いんだ」と主張したいわけではありませんが。
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