「タミフルが河川汚染? 耐性ウイルス懸念、影響調査へ」(朝日)
朝日新聞はこの手の話が大好きですね。以前にも同種のニュースが出たはず、と自分のブログに検索をかけたら、「飲用水に医薬品残留」が出てきました。
そういえば「環境ホルモン」(あのときの“大騒ぎ”を覚えていますか?)が“話題”になったとき、「環境ホルモン(ホルモンと同様の作用を示す内分泌攪乱化学物質)」と「環境にばらまかれたホルモン(ホルモンそのもの)」が違うことを理解していない人が多くてあきれたのを、改めて思い出しました。
「カキのウイルス、オレガノで激減 食あたり防止に効果か」(日経ネット)には、下水処理場排水口近くで牡蛎を養殖すると牡蛎がノロウイルスをたっぷり持つことが書いてあります。
これはつまり水洗便所で流されたノロウイルスがそのまま海中に放流されている、ということを示唆します。でもそれは下水処理場の“罪”ではないでしょう。汚水を処理した後放流して良い水質基準に「ノロウイルスの数」はないはずですから。そもそも、標準的に使われている活性汚泥法は、有機物の分解除去が目的であって、殺菌(ウイルス破壊)能力はありません。
では、別の手段で放流水の殺菌(とウイルスの破壊)を行ないますか? どうやって? そうそう、放流水の中の、最初の話題「薬物」の破壊も同時に行ないたいですね。でも、どうやって?
それとも屎尿中のノロウイルスや薬物が下水処理場に来ないようにするために水洗トイレの使用禁止? それは個人的にはいやです。
下水処理場と言えば、最近私が個人的に気にしているのは、プラスチックのリサイクルです。「環境のため」ということでわが家でもきちんとゴミの分別をやっていますが、プラスチックのリサイクルの大きな邪魔になるのが「異物(そのほとんどは食品)の付着」だそうです。ですからリサイクルに協力するためには「ゴミを洗う」必要があります。しかしそれは、下水中の有機物の量を増加させ、下水処理場の負担を増します。わざわざ「汚水」を“製造”しているのですから。
こういった話題で根っこに近いところに存在する問題は、「“何”が水を汚染しているか」ではなくて「人が水を汚染する」ことのはずです。環境ホルモン・医薬品などの「(水を汚染する)何」を個々に問題にするのは(その記事をばら売りすることで利益を得る人以外には)社会に利益をもたらさないように私には思えます。この世に存在する物質の数だけ記事が書けて、書く人は仕事ができて給料がもらえて嬉しいかもしれませんが、根本的な解決策には到達できません。
さらに「人が水を汚染する」ことより「根っこ」に近い問題は「総てを水に流す現代社会のライフスタイル」でありそうです。だったらやっぱり「水洗トイレの禁止」ですか? それはいやで〜す。ではどうしたものか……マスコミは影響力はあっても科学や医学のリテラシーが低くてあてにならないし、さて、誰にどうやって問題提起をしたものか。
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環境中から医薬品の活性成分が検出されるようになったのはご承知の通り分析機器の精度、感度が飛躍的に向上したからですが。
検出されたからといってどの程度の量であれば影響があるのか、そもそもそれが何か影響を及ぼすかどうかなんかはほとんどわかっていません。
EUやUSAでは医薬品の環境リスクアセスメントの実施を義務付けており、日本でも現在work groupだか研究会が始動しているようです。製薬企業の皆様は頭の痛い問題ですね。
根っこのところでも問題にもうひとつ。
「汚染」されたといえるのはどの程度の量が検出されてからか
でしょう。
ちょっとものが出てきたら鬼の首をとったかのごとく騒ぎ立て、一般の不安をあおりたてるのがマスゴミの仕事のようですが。もうちょっと科学を理解した人材を採用するとかできんもんですかねぇ。
ついでにその煽りを受けて、国民の不安を一層煽る役人連中もどうにかならんもんかと。そのおかげで売り上げがでる業界にいる小職ですが、正直科学的に意味があるんだかないんだかよくわからん仕事を山ほどやっつけなきゃイカン現状を激しく憂いております。
「ハザードとリスク」を思い出しまして、「読書感想『環境リスク学』」http://blog.m3.com/ishi-atama/20090505/2 をもう一回読み返してしまいました。
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