「再診料等に関する公益委員の提案」(ロハス)
「再診料690円に 診療所は−20円、病院は+90円」(朝日新聞)
中医協が「勤務医の待遇改善」のために病院の再診料を引き上げ、その財源のために開業医の再診料を引き下げる決定をしました。結局ちまちまと指折り勘定だけやって帳尻合わせに夢中になっているわけですが、これで日本の医療が良くならない(医療崩壊が食い止められないあるいは進行した)場合に、その決定をした人はちゃんと責任を取る気があるのかな?
責任と言えば、根拠を欠いた愚劣な「5分間ルール」はやっと廃止になるそうですが、それを導入した人はどんな責任を取るんです? それとも口を拭って知らんぷりぷり?
「医療崩壊なんかどうでもいい。銭勘定で政策決定だけはする。あとは知らん」だと、楽で良いですよねえ。「診断なんかどうでもいい。銭勘定で治療方針だけは決める。あとは知らん」の医者と同じですが。ちなみに、そんな医者は無責任なやぶ医者です(というか、そんな人間からは医師免許を取り上げて良いと思います)。それと同じように、政策は決定するがその“効果”については知らんぷりなのは、無責任な政策決定者です。
さて、“恒例”の「勤務医の待遇改善」での自分のブログ検索です。はい、出てきました。まるで毎年恒例「季節の風物詩」のように。
「勤務医の待遇改善」(2009年4月)
「舌先三寸」(2008年4月)
昨年のことをけろっと忘れ毎年同じことを「これはなんてすてきな理由だ」と自分のことばに酔いながら政策を決定して飽きない/現実が改善されないことは全然気にならない、って……そんな人たちが“上”にいることは日本の不幸だ、と言うのは、言い過ぎですか?(「言い過ぎだ」と主張する人は、実際に「勤務医の待遇改善」が行なわれたという根拠を示して下さい。当然、一例報告じゃだめですよ。エビデンスとして“強い”ものを求めます)。
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「チーム医療」という言葉があります。ところがこのことば、日本の医療界で“生きて”いるのでしょうか?
たとえば、病院機能評価機構はやたら「多職種による検討」を重要視しています。つまりはチーム医療です。ところがそれと同時にやたらと「主治医」にこだわりも見せます。まるで「主治医さえいれば良いんです。チームなんて飾りです」と言わんばかりに。もしかしたら病院機能評価機構の中で「(旧来の)主治医制度信奉者」と「チーム医療推進派」とが複雑な綱引きをやっているのかな、と想像できるくらいに。
「チーム医療」の前に、そもそも「チーム」とはどのようなものか、日本では合意が成立しているでしょうか? 私はここで躓きそうです。
「チーム」で日本人になじみがあるのはスポーツでしょう。しかし、たとえば人気スポーツの、野球・サッカー・駅伝……それぞれのチームはすべて同じカラーでしょうか?
スポーツと言えば、オートバイレースもスポーツです。オートバイのレースといえば、日本でなじみがあるのは「オートレース」でしょう。競馬・競輪・競艇ほどメジャーではありませんが、オートバイのレースです。ギャンブルとは無関係なスポーツのジャンルでは、ロードレースがあります。国内または世界のサーキットを転戦してチャンピオンシップを競います。舗装路ではなくて自然の土のコースでスピードを競うのがモトクロスです。小さな丘を全速力でぴょーんと飛び越えるのは迫力があります。
そういったレースでは基本的にスピードを競います。「早い者勝ち」です。ところがスピードを競わないオートバイのレースが、トライアルです。日本ではあまり有名ではありませんが、自然の中の難コース、たとえば丸太橋を渡るとか巨大な岩によじ登るとかがけを定められたコースでジグザグに駆け上がる、といった、人間が足でやっても難しいようなところをバイクの馬力と人間のバランス力で通過する競技です。バランスを崩して足をついたり転倒したりバイクが二進も三進も行かなくなってしまったら失点を食らいます。そして一日にいくつものコースに挑戦して失点の合計が一番少ない人間が優勝、となります。
私は一度だけトライアルの大会を見に行ったことがあります。地方の大会でしたが緊張感と迫力は強烈でした。そこに全日本のトップクラスの人間がエキジビションで参加して、何を思ったかそこにあった50ccのトライアルバイクでデモ演技を始めました。原付なのに、人の背丈くらいある岩にひょいと登ったりそこから安全に降りたり丸太の上で足をつかずに停止したり、信じられない行動をしてくれます。「弘法は筆を選ばず」とはこのことか、と感服しましたが、そのとき使ったTLR50が優秀なトライアルバイクだった、というのもあるのでしょう。もしカブだったらいくら名人でもそこまで上手に操れたとは思えませんから。
何の話でしたっけ? そうそう、チーム医療。
「オートバイ」と「ライダー」は、それぞれが「チームのメンバー」と捉えることができます。それぞれ単独の“性能”も大切ですが、その“関係”(有機的な結合状態)も重要ですし、さらにメカニックスタッフも必要です。日本ではなぜか「メンテナンス」は軽視されがちですが、「活動を一時的にする」のならともかく、「活動を持続的に継続する」ためには「メンテナンス」は必須なのです。そういった「どんなメンバーから構成されるか」(静的な視点)+「どうやってチームを維持するか」(動的な視点)の両方の観点から「チーム」を見ない限り、どんな「チーム医療」を唱えてもそれはただの形式的なお題目でしかないでしょう。オートバイは棚に飾っておくものではなくて外を走るもの、医療は棚に飾っておくものではなくて医療の現場で走らせるもの、なのですから。オートバイにも医療にも、興味も知識もない人には、どうでもいい話かもしれませんが。
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