「スモン」と聞いて「キノホルム」と返せるのは、おそらく私より一回り下の年代くらいまでが限界かもしれません。今では「スモンって、何?」の人の方が多いかも。それと「スモン」を知っている方も、その意味(フルネーム)はご存じでしょうか?
スモン(SMON)病とは「subacute myelo-optico-neuropathy」の略称です。日本語にしたら「亜急性脊髄視神経症」。名前を素直に読み下すと「亜急性(急性と慢性の中間)に進行する、脊髄と視神経の病気」。1955年ころから知られるようになり、1960年代後半に多発しました。腹痛や下痢のあと、足から麻痺が始まりそれがどんどん上昇し、最後には失明に至ることもあります。中枢神経麻痺と末梢神経麻痺、さらに感覚麻痺が加わって、治療方法はほとんどありません。はじめは原因不明の「奇病」として、(日本恒例の)患者差別が行なわれました。
原因としては当時使われていた整腸剤のキノホルムが有力視されています。反対意見(たとえばウイルス説)もありますが、疫学的にキノホルムを販売中止にしたらスモンの発生が激減したこと、動物実験でキノホルムがスモンの症状を起こしたという報告があることから、私はまず間違いないと考えています。厳密には人体実験をすればいいのでしょうが、それは無理ですから反対の“余地”は残ってはいますが。
特筆すべきはこれが「社会運動」になったことでしょう。裁判での勝訴を受けて、薬事法の改正と副作用被害者救済制度の創設が行なわれました。で、当時の厚生省が「このようなことは二度とないようにする」と言ったかどうかは、覚えていません。
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