「ことば」に関してはいろいろ面白いものが歴史に転がっています。
昔の中国には「白馬は馬ではない」と主張した人がいました。主張したのは公孫龍という人ですが、その理由は、「もし『白馬がいること』と『馬がいること』が同じなら、すべての馬は白馬ということになる。したがって『白馬がいること』と『馬がいること』は同じではない。『白馬がいること』と『馬がいること』が同じではないのだったら、白馬は馬ではない」です(「白」は色の概念で「馬」は物の概念。「白馬」は「色」と「物」が合わさった概念。したがって「白馬」と「馬」は概念の種類が違う、という説明もありますが、私の好みは括弧の前に書いたものの方です。と言っても、どちらも出典は忘れているので歴史的に正しいかどうかの保障ができないのが残念ですが)。
しかし、ゼノンのパラドックスと同様、「え? おかしいぞ」と思いつつ、その理由を見るとなんだか説得されてしまいそうになります。ついでですが荘子はその主張に真っ向から反論せずに、こんな批判をしているそうです。「そういう論理は詭弁であり、口から出る言葉の力で人の説に勝つことができても、人の心を感服させることはできない」。
私は「風邪薬」というものはない、とお題を出してみましょう。これのリクツは簡単です。「風邪とは様々な病原体による様々な症状の複合体で『風邪』という単一の「病気」や「症状」があるわけではない。したがって『風邪薬』なるものは存在しない」。
さて、何か反論は?
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