あちこちのブログなどで話題になっている「
事業税優遇廃止案が浮上=開業医の診療報酬−来年度税制改正、政府・与党」(時事)で、私が若い頃に「医師優遇税制」が盛んに新聞紙上に登場したのを思い出しました。私の記憶では、開業医は一々税務処理をしなくても「総売上がいくら」がわかればそこで「まとめてナンボ」で控除額と税額が出てくる、というもの、となっています。つまり、きちんと帳簿をつけたり領収書を保存して申告をしなくちゃいけない他の業種に比べて、開業医は面倒くさい計算などを免除されている、という点で「優遇」されていたわけ。今サラリーマンはいくら経費がかかったかを一々計算しなくても「まとめてナンボ」で基礎控除などが行なわれ、そこに税率をかけて税金をはじき出す、のと似た感じです。
ところが多くの人は「税制の中身」「節税しているかどうか」ではなくて「優遇」の文字にびびっと反応していました。
私もさんざん言われました。「医者は良いなあ。高給の上に優遇税制かよ」と。高校の同窓会で言われたときに「そんなにうらやましい? だけどあれは開業医の話で、源泉徴収の勤務医には関係ないのよ。ところで俺、日給4500円だけど、お前は?」と言ったら、まるで憐れむかのような目つきでじろじろ見られて話を逸らされてしまいましたっけ。
そういえばある日、知り合いの開業医が税理士を雇ってきちんと経費の計算をしてみると、それまでより税金がどんと安くなりました。つまり「優遇税制」で税金を払いすぎていたわけです。「どこが“優遇”なんだ!」と彼は怒っていましたので「国民の義務を人並み以上に果たせて、良かったね」と“慰め”てあげたのに、ちっとも喜んでくれなかったのは、不思議です。
そういえば、これも死語になってしまいましたがかつて「クロヨン」ということばがありました。これは「黒四ダム」のことではなくて、収入の捕捉率(実際の収入のうち、税務署が把握できる割合)の話です。「サラリーマンは9割、自営業者は6割、農林水産業は4割」だけ税務署が収入を把握できる、という意味です。もっとすごいので、「トーゴーサンピン」というのもありましたっけ。これは上の3業種をそれぞれ、10割・5割・3割に修正した上で、政治家の1割、を付け加えたものです。田舎の病院で、看護婦さんが「自分たちは給料が全部ばれているから子どもの保育園の支払いが多いのに、『収入がほとんどない』として保育料を免除されている自営業の奥様方の方が、私たちより良い服を着て高い車に乗っている」とぶつぶつ言っていたのを私は覚えていますし、たまに外食に行ったところで明らかに家族で食事をした一家が熱心に領収書を欲しがっているのを見ると「ああ、あれも“経費”になるのかな」なんて思うこともあります。
で、開業医は収入をどのくらい捕捉されているか、と言えば、保険診療ではレセプトのところを押さえられたら、ごまかすのは大変でしょうね。それでも脱税をする連中がいるのは不思議ですが、彼らは医者よりも別の商売を選択していたら、もっと「金儲け(税金逃れ)」が容易だったんじゃないかなあ。なんで医者なんかやってるんだろ?