1980年代に日本では漢方薬がちょっとしたブームになりました。あちこちの医療機関に漢方薬が置かれるようになり、ツムラ・カネボウ・本草・小太郎などのメーカーが盛んに宣伝を繰り返していました(ここにあげたメーカー名は、会ったことのある漢方薬プロパー(MR)さんのものです)。あまりにその動きが目立ったので、厚生省が漢方薬を健康保険から外そうとした、はまた別のお話。
で、その時に言われていた大きな誤解が「漢方は効かない」と「漢方薬には副作用がない」。前者は漢方反対派がよく言っていましたし、後者は漢方賛成派がよく言っていました。そのどちらの意見に出会っても私はどうしようかと困っていました。だって私の感触では「漢方薬は、患者と病態を選べば効くこともある」だし「漢方薬に副作用はある(特に患者の証(体質や病気の状態の判断)を間違えたとき)」だったのですから。
当時一番流行したのはたぶん「小柴胡湯(しょうさいことう)」を慢性肝炎に用いること、でしょう。私の見聞の範囲内では、「証」には無関係にほとんど無差別に使われていました。で、ある日ニュースが駆けめぐります。「小柴胡湯で間質性肺炎!」。
漢方反対派は大喜びで「ほら、副作用があったじゃないか」。
だけど私はもうちょっと複雑に事態を見ていました。当時の「小柴胡湯の副作用」報告はほとんどが「インターフェロンとの併用」例でした。ということは、小柴胡湯(の中のどれかの成分)がインターフェロンとあるいはインターフェロンに修飾された人体と相互作用をしている、ということになります。もちろんその結果が「間質性肺炎」というのは困りますが、ではそれ以外の免疫学的反応は起きていないのでしょうか。私にはこの「副作用」こそが、「小柴胡湯が体内で何らかの薬理効果を示している」ことの証明に思えました。
結局そちらの方向の研究がされたのかどうかはフォローしていませんが、臨床的にはともかく学術的には単に「副作用」というだけで拒絶反応を示さなくても良いんじゃないかな、と私は今でも思っています。
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