1980年代に日本では漢方薬がちょっとしたブームになりました。あちこちの医療機関に漢方薬が置かれるようになり、ツムラ・カネボウ・本草・小太郎などのメーカーが盛んに宣伝を繰り返していました(ここにあげたメーカー名は、会ったことのある漢方薬プロパー(MR)さんのものです)。あまりにその動きが目立ったので、厚生省が漢方薬を健康保険から外そうとした、はまた別のお話。
で、その時に言われていた大きな誤解が「漢方は効かない」と「漢方薬には副作用がない」。前者は漢方反対派がよく言っていましたし、後者は漢方賛成派がよく言っていました。そのどちらの意見に出会っても私はどうしようかと困っていました。だって私の感触では「漢方薬は、患者と病態を選べば効くこともある」だし「漢方薬に副作用はある(特に患者の証(体質や病気の状態の判断)を間違えたとき)」だったのですから。
当時一番流行したのはたぶん「小柴胡湯(しょうさいことう)」を慢性肝炎に用いること、でしょう。私の見聞の範囲内では、「証」には無関係にほとんど無差別に使われていました。で、ある日ニュースが駆けめぐります。「小柴胡湯で間質性肺炎!」。
漢方反対派は大喜びで「ほら、副作用があったじゃないか」。
だけど私はもうちょっと複雑に事態を見ていました。当時の「小柴胡湯の副作用」報告はほとんどが「インターフェロンとの併用」例でした。ということは、小柴胡湯(の中のどれかの成分)がインターフェロンとあるいはインターフェロンに修飾された人体と相互作用をしている、ということになります。もちろんその結果が「間質性肺炎」というのは困りますが、ではそれ以外の免疫学的反応は起きていないのでしょうか。私にはこの「副作用」こそが、「小柴胡湯が体内で何らかの薬理効果を示している」ことの証明に思えました。
結局そちらの方向の研究がされたのかどうかはフォローしていませんが、臨床的にはともかく学術的には単に「副作用」というだけで拒絶反応を示さなくても良いんじゃないかな、と私は今でも思っています。
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40年くらい前にボウリングが日本中でブームになり、地方の小都市でもボウリング場が林立し予約待ちが2時間なんてザラ、という大騒ぎでした。なんであんなに流行したのか(そしてなんであんなにすぐに人気が衰退したのか)と今さらながら不思議に思います。TVでもボウリング番組がいくつも流されていました。
そこでふっと思ったんです。アマチュアでもパーフェクト(300点満点)を出す人がまれにいます。するとプロアマ戦でプロがアマに負けることもあるわけで、だったらプロの意味(価値)ってなんだろう、と。我ながら生意気な発想をするティーンエージャーでした。
そういえば、昨年ハニカミ王子(もう死語ですね)がプロ宣言をしました。私はそれまでプロゴルファーとはプロテストに合格した人のこと、と思っていたので「宣言だけでプロになれるのか」と意外でした(漫画「風の大地」
ではプロテストに通過することがいかに難しいことかがしつこいほど描かれていましたっけ)。
もっとも石川さんの場合には「実績」が伴っての宣言だから、スポンサーもファンもトーナメントへの出場権もつくわけで、たとえば私が「私は明日から、ゴルフのプロだ」といくら“宣言”してもその声は虚しく消え去るだけなのですが。
では、医療におけるプロとアマの違いって、何でしょう。
医療行為ができるかどうか……医療行為はプロの専権事項ではありません。もしプロしか医療行為をしてはならないのだったら、家庭での子どもの傷の手当てもできなくなってしまいます。
医療行為が上手にできる人がプロ……まことに残念ながら、下手なプロもいます。
自分の医療行為でお金がもらえるかどうか……たしかに私は医療行為で生計を立てていますが、社会からは「無料で働け」の要求がやたらと日本の医者には多いので、すると日本の医者はセミプロ扱い?
そうそう、「死の判定」が医師にしかできない仕事、と信じている人に時々出会いますが、私はそれに疑問を持っています。確かに「死亡診断書」は医師にしか書けません。でも「この人は死んでいる」は医師にしか判断できませんか? もし判断できないのだったら、雪山で遭難したパーティーに医師がいなかったら、かちんかちんに凍って息をしていない人も「生きている(死亡が確認されていない)」ということになりますが、それで良いのでしょうか。いや、助けを求めに行くのにそのかちんかちんに凍った人を放置するわけにはいかないでしょ? 雪の中に遺棄したら死んじゃうかもしれませんから。
なんだか、考えれば考えるほど、簡単に結論が出せなくなってしまいました。こんなはずではなかったのですが。
ただ、「自分はプロだ」という自覚を持てるかどうか、それとその自覚の裏打ちとなる“実績”を持っているかどうか、は重要でしょう。あら、ハニカミ王子(死語)のプロ宣言と似てきちゃいました。
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