「保険証の裏」にいただいたコメントから、昔の記憶が突然蘇ってきました。
私がまだ駈出しのぺーぺーの頃には、とにかく病棟で何があってもとりあえず顔を出すようにしていました。ある日も他のドクターの受け持ちで前から危篤状態の方が亡くなったので、何かお手伝いできることがないかとうろうろしていたら、死後の処置に入ろうとしていた病棟婦長(当時の呼び名)がふと何かを思い出したという風で「おかだ先生、使って申し訳ないけれど、けんがんをするので眼科の先生に連絡をしてもらえませんか」と声をかけられました。ガッテンおやすい御用、と江戸っ子モードの二つ返事ですたすたと歩き出してから、私は首をひねりました。
「ご遺体に検眼?」
亡くなった後の眼底変化でも検査して見るのか、と理屈をつけてみましたがどうも納得いきません。
眼科のドクターとのやりとりでわかりました。「献眼」だったのです。角膜移植をご本人は希望されていて家族の方も承諾されていて、眼球を摘出して義眼を埋め込む作業をお願いしますと眼科医に
取り次いだのでした(取り次いだ本人が意味がわかっていなくて、よくちゃんと用が通じたと冷や汗が出ます)。でも、「眼球摘出」と言うよりは「献眼」と言う方がはるかに上品ですよね。私が下品なのがいけないのです。
もちろん、摘出の前に角膜の状態(感染や濁りの有無)を診察して、移植後もちゃんと機能するかどうかが見られますから「検眼(目の検査)」でも間違いは無いのですが。
固定リンク
|
コメント (0)
|
トラックバック (1)
私が医者になった頃、ある銀行関係者がこんなことばを教えてくれました。「内科一億外科二億」。
医者が開業するときに必要な資金のことでした。
「もし私が開業するとしても、一億なんてないですよ」と言うと「だから銀行から借りて、ローンで返すんですよ。がっぽり稼げば一億なんてすぐです」。とても気軽に言われましたっけ。
土地を買うのか借りるのか自前か、場所は都会か田舎か、建物は新築か居抜きか、医療機器は購入かリースか、人を何人雇うか、などで条件はガラガラ変わりますから、数字そのものに厳密な正確性はないでしょう。ただ、「医院開業には億単位の金を覚悟する必要がある」「外科は内科より開業に金がかかる」が銀行内部での“常識”(だからビジネスチャンス)だったということはわかりました。今は医療機関は「儲かるところ」ではなくなっているので、銀行の態度も違うでしょうが。
そういえば、最近の医師不足に関連して「病院で医師を一人雇えたら、1年で一億円稼いでくれる計算が立つ(逆に言えば、医者が逃散したらその分減収になる)」ということばも聞きました。もちろんチーム医療の時代ですから「医師個人」が直接そのすべてを稼ぐわけではないでしょうが、それでも勤務医は相当“稼いでいる(病院に貢献している)”ことは確かなようです。
あちらも一億こちらも一億。私はなんだか複雑な気分です。どちらにしても、私の懐とは無関係なので、ますます複雑。
固定リンク
|
コメント (0)
|
トラックバック (0)