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 老若男女障害の有無を問わずどんな人にも使いやすいデザイン、というコンセプトは優れたものだと思います。ただ、「誰にでも使いやすい」は下手をすると「誰にも使いにくい」になることがあるので注意が必要です。優れたデザイナーはそのことを忘れはしないでしょうが、「エコ」は「エコバッグを持って歩くこと」や「ゴミの分別をすること」、「バリアフリー」は「とにかく段差をなくすこと」といったように大きな概念を矮小化して即物的に捉える人が多い現状を見ると、ちょっと不安も感じます。

 たとえばトイレを例にとってみましょう。「万人が使いやすい洋式トイレの便器」はあり得るでしょうか。たとえばジャイアント馬場さん(以下Gと略、敬称も略)に使いやすい便器はコニシキさん(同様に以下K)にも使いやすいでしょうか。たとえばG(20歳)に使いやすいものはK(90歳)に使いやすい?  同一人物でもG(2歳)とG(100歳)ではどうでしょう。このすべての人が等しく使いやすいトイレは成立するでしょうか。
 「極端な例を出すな!」と叱られそうですが、これはあくまでノーマルバリエーションの範囲内のお話です。それでも「ユニヴァーサル」があり得るのか、と小さな疑問が生じます。私はここからさらに、たとえば脳卒中後遺症に話を進める気です。というか、進めちゃいました。
 脳卒中後遺症で代表的なのは片麻痺ですが、右片麻痺を持つ人に使いやすいトイレは左片麻痺を持つ人にはとても使いにくいはずです(手すりの位置、ペーパーやスイッチやレバーの位置などを想像してみてください)。もちろんその逆も真。すると「右片麻痺の人には使いやすいトイレ」「左片麻痺の人には使いやすいトイレ」はあっても「両者に等しく使いやすいトイレ」はあり得ないことになります。王侯貴族と同じくらいの空間とコストが使えるのなら話は別ですけれどね。でも王侯貴族は「ユニヴァーサル」の基準なのかな?

 ついでながら、脳卒中の後遺症は片麻痺だけではありません。街を歩く障害者は、脳卒中の後遺症の人だけでもありません。



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