今日は時間があったので新聞を念入りにめくっていると、広告に病気や健康関係のものがずいぶん多いことに気づきました。風邪薬・傷薬・頭痛薬・睡眠改善剤・蓄膿・皮膚のかゆみ・健康食品……などなど、ざっと数えて1ダース以上。
その中で特に気になったのは風邪薬の広告にあった「早く治したいですね」の文言です。「そりゃ、風邪は早く治したいですよ」と紙面に向かって言ってみましたが、広告は「ならば、私が早く治してあげましょう」とは言ってくれません。紙には耳も口も付いていませんから返事をくれないのは当然と言えば当然ですが、そんな冷たいあしらいにめげずにあらためてこの文言をよくよく見れば、あくまで「早く治したいですね」という“願望”または“確認”です。
これって、一体何を主張している広告なんでしょう?
そそっかしい人は「そうか、この風邪薬を飲んだら早く治るんだ」と勘違いするかもしれません。でも、風邪薬は基本的に対症療法薬。それは、市販のものであろうと医者が処方するものであろうと同じです。対症療法には「治す」ではなくて「症状を軽くする」だけの効果しかありません。昔「風邪は薬を飲んだら3日で直る。薬を飲まなくても3日で直る」という言い回しがありました。
だから、「この風邪薬を飲んだら、風邪が早く治ります」と書いてしまうとそれは誇大広告(あるいは大げさ、ウソの広告、ジャロに言っちゃろ)になってしまいます。だから「早く治したいですね」にするしかなかったんですね。これなら隅から隅まで“真実”ですから。いやあ、コピーライターというのは、大変な職業です。
ここまで“読む”消費者も変ですが……あ、私のことか。
固定リンク
|
コメント (1)
|
トラックバック (0)
学生はいろいろやんちゃなことをするものです。医学生もその例外ではなくて、まあいろいろ記憶から出てきますが、その一つに「検尿コップでビールを飲む」があります。尿検査のための紙コップがありますね、コンパの時にそれにビールをついで「かんぱーい」。盛大に泡立ったおしっこのようで、一般の人に見られたら趣味が悪くて眉をひそめられる行為でしょうが、まあやんちゃな医学生は一度はやってみたい行為じゃないかな(それとも今の若い人はもっと“スマート”になってます?) 検尿コップといっても、使用済みではなくて新品ですからそのへんの普通の紙コップと同じで“清潔”です(もしいろいろ汚れていたら、検尿の結果が信用できなくなります)。だから医学的な問題はありません。心理的な抵抗感はあるかもしれませんが、医学の思想に“汚染”された人間はその辺のハードルが下がっているだけでしょう。
ちなみに私は医学生時代は酒・たばこ・麻雀が好きという健全な学生をやってました。卒業してから全部やめたという一見真面目な医者をやってますが、芯の部分は実はまったく変わっていないのです、はい。
お話変わって、褥瘡の治療です。
昔は褥瘡は「消毒してガーゼを当てて治療する」ものでした。ところが水で洗ってラップを張りつけたらみるみる直るという「ラップ療法(閉鎖療法)」が大ブームとなりました。そのために数年前からいろいろな被覆材が発売されていますが(一般薬局の傷テープのコーナーにも、いろいろ新製品が並んでいるのに皆さん気がつかれていますか?)、これがけっこう高価なのが「医療費削減」政策の下では病棟にダメージとなっていました。
ただし、膿が出る褥瘡を単純に閉鎖すると、化膿が進行してしまいます。単になんでも閉鎖すればいい、というものではありません。
そういった、膿や滲出液が多く出る褥瘡のラップ治療に、台所用の穴あきゴミ袋に入れた紙オムツを当てる、という療法が登場しています。たとえば静岡赤十字の病院ニュース。
実に合理的、と私は感じます。傷を閉鎖してかつ排液もしたいという目的に最適の材料の組み合わせで、しかも安価でどこでも入手可能。医療の世界の住人としては「褥瘡を手っ取り早く治すためにはどんどんやればいい」と言いたくなります。ただ、ここで気になるのが(検尿コップのビールと同様)「一般人の心理的な抵抗感」です。
ちょっと想像してみてください。見舞いに行った人が家庭で「病院に行ってみたら、お母さんがゴミ袋に入れた紙オムツを床ずれに直接当てられていた。出てくる液をよく吸うから便利だ、と説明されたけど、どう思う?」と表現されたら、家族全体の感情はどうでしょう。「おむつを傷に!?」「ゴミ袋!?」とならないかな。
私が勤務する病院では、そのへんに社会的な合意が形成されてからこの療法を導入しようと思っています。ヘタレかもしれませんが、感情は医療では大きなファクターですから無視できません。学生が陰でヤンチャするのは他人に迷惑をかけない限り勝手にどうぞ、ですが。
固定リンク
|
コメント (2)
|
トラックバック (1)