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 数は多いとは言っても、それでも少しずつ患者数が減少傾向だった結核が、平成9年に一転増加に転じました。厚生省は平成11年7月26日結核緊急事態を宣言。そういえばそのころ、「企業の独身寮で結核が集団発生」とか「病院で職員に集団発生」というニュースが続々報じられましたっけ。例によってまるで「このままだとこの世の終わりが来るぞ」と言わんばかりの口調で。
 幸いそれ以後はなんとか新規発症は減少傾向ではあるようです。それでもまだ年間2万人以上結核を新規発症しています。私が医学生になった頃には「日本には現在結核患者が80万人いる。最近までは100万人だった」とか習った覚えがあります(数字は厳密には前後にずれているかもしれませんが桁はあっているはずです)が、それに比べればはるかに少なくはなりました。ただ、やはり5桁は多すぎる気がしますし、もう一つ、見逃されている患者がけっこう多いのではないか、ということも気になります。そういえばアメリカでは薬剤耐性の結核菌が増えている、というのも、続報はどうなったのでしょう。

 こう言ったら言い訳ととられるのは承知ですが、「結核の診断は結構難しい」ものです。まずその病気の存在を疑わなければいけません。ところが「肺に影がある」場合、ふつう考えるのは肺ガンです。あるいは肺炎。結核は列の後ろに回されます。疑わなければ検査がされません。さらに検査するにしても、痰が出てくれればまだ良いのですが、痰が出ないと検査するものがありません。怪しげな影がある人に全員気管支鏡をやって管を肺の奥に突っこんで献体を採取してよければそうしますが、良いです?(苦しいし、コストもかかります) また、痰を顕微鏡で見てそこに結核菌がうようよいたら話が簡単ですが、では結核菌が見つからなかったらそれで“無罪”かと言えばそうは即断できません。顕微鏡で見えなくてもその痰を培養に回したらそこで数が増えて初めて菌が発見されることがあるからです。ただし、培養にかかる期間は2ヶ月。PCR法(菌の遺伝子検査)だと数日でわかりますが、死菌でも検査結果は「陽性」に出てしまいます(死んだ菌でも遺伝子は持っていますから)。だからPCR法で陽性だからといって勇躍治療を開始したら培養では陰性で(死んだ菌は分裂増殖できませんから)「あらら、しなくてよい治療をしちゃった」ということがあり得ます。さらに、胸部レントゲンでいかにも「がちがちでこれは古い結核の跡だな」と見える影でも、実はその中に「死んだふりをしている菌(条件がそろえばまた活動を開始するやつ)」がいることがあります。

 ということで、繰り返しますが、結核の診断は結構難しいのです。


 そういえば、「新規結核患者が年間ン万人」は今では全然報じられませんが、大学で麻疹(はしか)が流行して休校、は最近ずいぶん大きく報じられていましたね。それってマスコミにとって(同時に、日本にとって)結核よりも重大なニュースなんでしょうか?


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小生は今でも肺癌、石綿肺とともに肺結核の画像診断研究に力を入れています。

気管支鏡は最近は滅多にしません。胃液を採取しろ、と先輩に言われてからしつこく胃液を採取すると結構でますから。

あと「やじろべえ」の経気管吸引も有用です。

いずれにしても、胸部単純写真やCTで強く肺結核を疑う、と自信を持って言うことが大切です。健診検診で誤診見落としが結構ありますので、そういうことの啓蒙活動はぼちぼちやっているつもりです。

ただこのブログを読まれている方に誤解のないようお伝えしておきますが、肺結核の診断特に画像診断は本当に難しいです。

長年携わり、今でも研究している専門家の小生でも、迷う症例やはずれる症例はいまだにありますので。

ただ多くの臨床医師が、肺結核を肺炎肺癌の次にすぐに鑑別診断として考えること、胃液採取で出る可能性が高いことは知っておくべきだと思います。
written by Paul Carpenter / 2009.01.09 08:49

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