今回の事件の真相はまだわかりません。
可能性を考えるだけだったら、いろいろ考えることができるでしょう。たとえば……「単なる偶発的な一致」「(『ABC殺人事件』のような)連続殺人に見せかけた単独殺人」「厚労省に対する私怨」「個人的復讐」……
もしかしたら「厚労省に対する怒り」による犯行かもしれませんが、でも私は「リンチ反対派」なので、どんなに自分の気にくわない人間であっても「天罰だ」とか「公憤だ」などと言って襲う行為には反対です。罰するのなら、きちんと法や職務規程に則って公開で行われるべき、と思っています。(「私はあなたの意見には反対だ。しかし、あなたが自分の意見を述べる自由は、命をかけても守る」と似た態度です)
で、今回気になったのは、犯人はどうやって住所を手に入れたのか、です。自宅の住所を、元官僚も公表しているんです? もしかして、そういった情報を簡単に入手できる部署の人間が「むかし職場で虐められたから」の“復讐”に、なんてこともあり得ます。
もちろん私は「復讐」による個人的死刑執行にも反対です。つまりは、どんな口実を用いたとしても個人的な殺人衝動の発動(殺したいから殺す、そのためにあとから“大義名分”をくっつける)には反対、なのですが。
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9月末に発表された「産婦人科勤務医・在院時間調査 第1回中間集計結果 報告と解説」(日本産科婦人科学会)を今頃になって見つけたので読んでみました。
在院時間の月平均は295時間、オンコール(自宅待機)は月間平均139時間です。当直回数は月に4.1回、休日日直は1.3回。つまり、病院での“残業”は月に117時間(在院時間から標準的な定時の勤務時間を引いたもの)、週に1回当直をし3週に1回は休日日直、約3日に1回は自宅待機、を繰り返し続けるのが産婦人科医の平均像です(20代から40代後半まで数字にほとんど差がありません)。ただし、緊急呼び出しの回数は今回の集計には含まれていません。あくまで病院が“管理”できる数字としての勤務実態です。
で、こういった調査があると「俺だって、会社に申告はしないけれど、月に100時間は残業しているぞ」「俺なんか130時間もやった月がある」などと嬉しそうに“自慢”して、「だから医者が“その程度”でがたがた言うな」と言わんばかりの人があちこちで見つかります。でもねえ、そういった人に私は二つ質問をしたいのです。
1)そんな生活をしているへろへろの医者にあなたは自分や家族の体を託したいと思いますか?
2)あなたはそんな多忙な生活で幸せで満足ですか?(一生それを続けたいですか?)
そうそう、「オンコールなんて、自宅で待機しているだけだろ」なんて気楽に言う人もいます。そんな人にオンコールの緊張感をどうやって味わってもらえるかしら。そうですねえ、例えば、の思考実験ですが……その人が好きな動物(犬とか猫とか)を集めておいて、その人に突然電話をして難しいクイズや計算をしてもらって、電話に出なかったり答えを間違えたらその動物が一匹ずつ殺される、というのはどうでしょう。もちろんオンコールですから、電話がかかるのは真夜中かもしれませんし、早朝かもしれません。かからないかもしれませんし、一晩に何回もかかるかもしれません。
これを想像してもらったら、一般の人でも少しはオンコールの緊張感がわかってもらえるかな?
……あ、これを読んで「おれは動物愛護団体の者だ」と殴り込みには来ないでね。動物殺しは実際にはやりませんから。
※参考までに。厚労省が平成13年に発表した「過労死認定新基準」には、その別添に「労働時間」に関してこんな記述があります。
[2] 発症前1か月間におおむね100時間又は発症前2か月間ないし6か月
間にわたって、1か月当たりおおむね80時間を超える時間外労働が認め
られる場合は、業務と発症との関連性が強いと評価できること
を踏まえて判断すること。
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