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<  マリファナ | メイン |  産婦人科勤務医の勤務時間 >
2008.11.18 06:55 |  診療  |  生活 / くらし  |  その他(医療関連)  |  社会・歴史  |  おかだ  | 推薦数 : 1

 水銀中毒

 ずいぶん前、20世紀の最後の四半期の話です。知人から電話があって「子どもが水銀を飲んじゃった」とパニックでした。話を聞くと水銀体温計をがりっとやって口の中にこぼれた水銀をごっくんと。
 体温計の中の水銀は金属水銀ですから、そんなに簡単に消化吸収はできません。しかも体温計の中のものだから量はしれています。だから基本的には早く体外に排出させてしまえばいいわけで、便秘にならないようにしてやれば問題はないはず、と答えました。胃洗浄をしてもころころ逃げる金属をすべて取り切れるとも思えませんしね。それよりも、口の中にガラスの破片が残っていないのかどうかが気になりましたっけ。

 水銀には金属水銀・無機水銀・有機水銀の3種類があって、それぞれの毒性は異なります。
 金属水銀はこの3種の中では一番“安全”な方ですが、それでも毒性はあります。特に蒸気を吸うと気管支粘膜がやられてしまいます(腐食性気管支炎)。さらに慢性的に水銀蒸気を吸い続けると、脳に障害が出ます。昔の水銀鉱山の鉱夫にこの病気が多く出たそうです。また、金と容易にアマルガムを作りますのでそのアマルガムを焼いて金を残すやりかたで金を採掘精錬したりメッキを行っていた人びとにも、金属水銀中毒は多発していたそうです。
 無機水銀は腎臓がやられます。急性の消化器症状もあります。
 有機水銀は「水俣病」が有名です。この病気が広く報道された時には、「こんな病気があったのか」という驚きと同時に行政の不手際(残酷さ)が印象的でした。脳(特に後頭葉と小脳)がやられますが、同時に末梢神経や腎臓も障害を受けます。イラクでは水銀を含んだ殺虫剤を撒いて汚染された麦による「毒パン事件」があるそうです。

 かつては医療機関にも水銀は普通に存在していました。体温計や血圧測定器の中に。そうそう
イレウス・チューブ(腸閉塞の時に腸の中にまで入れて腸に貯まったガスなどを体外に出すための長いチューブ)にも先に重さを出すために水銀を入れていましたっけ。だけど今はデジタルの時代、最近私は院内で水銀を見ていません。
 ただ、今回このエントリーを書こうとして内科の教科書を久しぶりに開いてみて、衝撃を受けました。「水銀は常温で気化しやすい」と書いてあるではありませんか(知らなかったのか、忘れていたのか……)。すぐに思い出したのは、小学校だったか中学校の理科の実験で水銀を扱った時、机の上にこぼして玉になってころころ転がるのをつついて遊んだ記憶です。気化した蒸気を喫ったにしてもごく微量で健康に障害が出る程度ではないでしょうが、知らないとはいえ我ながら平気で恐ろしいことをやっていたものです。そういえば当時は、アルコールランプとビーカーの間に「石綿」を塗った金網をはさんで使っていましたっけ。学校の実験室には実は危険が一杯だったのね。


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こどもの頃、水銀体温計しかなかったころ、口にはさんで体温を測るときに親から「噛んだらだめよ。噛んだら死ぬわよ」と脅されたことを憶えています。

そのつどちょっとだけなら噛んで舐めても大丈夫やないか、という誘惑に何度かられたことか....
written by Paul Carpenter / 2008.11.18 08:40
 古代中国では、水銀は不老長寿の薬の材料(「金属なのに液体」という特性がすばらしく思えたのでしょう)だったこともあるのですが、秦の始皇帝の死因はこの不老長寿の薬(の飲み過ぎ)ではないか、という説もあるそうです。
 「水銀は飲み過ぎにご注意を」という表示が必要だったりして(^_^;)。
written by おかだ / 2008.11.19 07:07

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