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日本で使われる医薬品は「日本薬局方」に収載されています。日本では医薬に関する「聖典」と言ってもよいもので、これに収載されていないものは原則として私は処方に使えません。
ところで、面白いニュースがありました。ゲンダイネットの「コーヒー飲んで“いい人・悪い人”」に「1951年まではコーヒーは日本薬局方に収載されていた = コーヒーは“医薬品”だった」と書いてあるのです。
もちろんコーヒーには主にカフェインによる“薬理作用”がありますから「薬」と言ってもよいかもしれませんし、そもそも嗜好品が「医薬品」というのに私は抵抗がありません。歴史を見ればたとえば「茶」ももとは「薬」扱いでした(鎌倉時代の「喫茶養生記」(栄西))。(ついでですが、現在の漢方薬でも「川芎茶調散」には「お茶」が生薬として含まれています。
……さすがにコーヒーは漢方薬には入っていませんが(少なくとも私の見聞の範囲内では)。)
そういえば学生の時に「砂糖は薬局方に含まれているから処方箋で処方できる」と聞いた覚えがあったのを思い出して、ちょっと薬局方の目次を眺めてみました。すると……これは面白い。嗜好品というより、いろんな「食品」が「医薬品」として並んでいるではありませんか。
たとえば油が各種あります。オレンジ油、ゴマ油、ダイズ油、ツバキ油、トウモロコシ油、チンク油、テレピン油、ナタネ油、ヒマシ油、加香ヒマシ油(オレンジ油やハッカ油が加えてあるようです)、ヤシ油、ユーカリ油、ラッカセイ油……いやあ、油屋が開業できそうです。チンク油、テレピン油、ヒマシ油はあまり飲みたいとは思いませんしツバキ油は髪の毛に塗るのだったと思いますが、それ以外はそのまま料理に使えそうです。
「脂」だったら、牛脂と豚脂も薬局方にちゃんとあります。
味付けには、白糖と塩化ナトリウムとサッカリンが使えます。エタノールとブドウ酒は……料理の風味付けよりもキッチンドリンカーに喜ばれるかな?
ゼラチンはおそらくゼラチンカプセルの材料として収載されているのでしょうが、これもなんとか料理に使えそう。わからないのが石油ベンジンです。料理の燃料にでも使いましょうか。
なお上記は西洋薬のコーナーの目次から拾ったもので、生薬の方にはもっと「食品」として使えそうなものが並んでいます。アロエ、カンテン、ケイヒ(シナモン)、米デンプン、サフラン、トウガラシ……まだまだあります。もし興味を持たれた方は「日本薬局方」をじっくりご覧下さい。(本当は「ご笑覧ください」と書きたいのですが、“自分の作品”ではないから遠慮します。笑うのはパーソナルにこっそりとどうぞ)
a recipe bookは普通は料理の本です。でもrecipeには「処方箋」の意味もあります。西洋でも中国と同様、昔は文字通り「医食同源」だったのかもしれません。病気を治すためには贅沢は言わず、使えるものは何でも使っていたでしょうから。
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