おかだ
More プロフィール

Search

Calendar

<< 2012/02 >>
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29

トップページ

Doctors Blog

ブログの購読

新着コメント

新着トラックバック

<  給食のパンで窒息 | メイン |  医療用語の言い換え >
 一昨日の「讀賣の真っ赤な「医療改革」」で触れた読売新聞の提言とそれに対する政府の反応を見ていると、田舎芝居のようなデキレースでの仲間内での褒めあいを見せられる気持ち悪さは別として、彼らは、医療を理解していない/自分たちが医療を知らないことを知らない/恥知らず/強い思いこみに凝り固まっている/ただの無能、のどれかあるいはその複合ではないか、と私には思えます。

 医療はシステムで動きます。「若手医師一人」をぽんと放り込んだらそこで自動的に「○○科」が芽吹いて定着して末長く機能するようなお気楽なものではありません。(まるで「砂漠に苗を放り込んであとは水と肥料をばらまいておけば、自然に稲がたわわに実る」とでも言わんばかりの「提言」ですが、苗を一本植えるにしても、荒起し・代掻き・あぜの保全・水の管理・草取りなどの地道で根気強い作業が必要ですよね。医療でも、若手医師なら指導者が必要ですし、たとえベテランの医師でも非医師のチームと病院内または地域内でのバックアップ体制(その医師が不在の時のささえ)がないと「システムとしての医療」は機能しません。それは医者一人が“頑張”ればなんとかなるような脳天気な代物ではないのです。それが嘘だと思う新聞記者は、自分一人だけで新聞が毎日発行できるか、と想像してみてください。ガンバってみます?)

 医療のことを知らないから変な提言ができたりそれをありがたがってみせたりするわけで、その場合にふさわしい言葉は「無知」です。あるいは「『自分の無知』に対する無知」(ソクラテスが聞いたら「2500年経ってもまだまだなのか」と嘆くかも)。単なる無知でも心が柔軟なら想像力で無知を補完することができる場合がありますが、「『自分の無知』に対する無知」の人のほとんどは、その想像力も枯渇していることが多いのが問題です。
 可能性としてタチが悪いのは、自分が何を言っているかその結果何が起きるかをちゃんと理解していて、それでも変な主張をしている場合ですが、それは「無恥」か「思いこみが激しすぎる(全体のことよりも自分の価値観を大声で主張することの方が大切)」となります。善意(と無知)に基づく確信犯(最近の誤用の意味ではなくて、本来の意味)という可能性もありますが。
 最後の「無能」は説明不要ですね? せいぜい好意的に表現するとしたら「彼らは『部分最適』しか知らない」ですが……やはり「無能」は言葉がきつすぎる? ならば「低能」にしてもよいです。

 さらに「医療僻地の住民は、若手医師一人を配置したらそれをありがたがれば良い」という「傲慢」の匂いもぷんぷんします。医療僻地だろうと都会だろうと、必要なのは「十分な(必要最低以上の)医療(制度)」ではありませんか? それを「医療僻地の人間には“この程度”で十分だ」と高をくくって判断をしているのだとすると、「無神経」を追加しなくちゃいけません。

 こういったマスコミと官僚がタッグを組んでいるのですから、日本の医療が崩壊するのも無理はないでしょう。
 ……いや、逆かもしれません。こんなひどい仕打ちを受け続けていながら、なぜ今まで日本の医療はなんとか(どころか、かつては世界最高水準で)機能することができたのか、を私は不思議に思うべきなのかもしれません。普通だったらもっと早く崩壊していてもおかしくないですよね。


固定リンク | コメント (2) | トラックバック (2)

トラックバック

この記事のトラックバック URL

http://blog.m3.com/ishi-atama/20081022/1/trackback

トラックバック一覧

出産後に死亡:誰が悪いというわけでもないと思うのだが・・・。
妊婦搬送7病院が拒否、出産後に死亡 東京(朝日) 出産間近で脳内出血の症状が見られた東京都内の女性(36)が7病院から受け入れを断られ、出産後に死亡していたことがわかった。手術を受けた病院に到着する... [続きを読む]
posted from 3番目の落書き帳 2008.10.22 23:30
猛省すべきなのは、当局ばかりでなく、マスコミもだと思うのだが・・・。
読売新聞は、全国紙5つの中では、医療関係の記事については比較的冷静だ、と思う。少なくとも、毎日や産経と比べると、「医療たたき」の度合いは少ない、と思う。しかし、上の記事(読売夕刊・大阪・10月23日)... [続きを読む]
posted from 3番目の落書き帳 2008.10.23 20:39

コメント

コメント一覧

100% ! 同意です。大変勉強になりました。

> ……いや、逆かもしれません。こんなひどい仕打ちを受け続けていながら、なぜ今まで日本の医療はなんとか(どころか、かつては世界最高水準で)機能することができたのか、を私は不思議に思うべきなのかもしれません。普通だったらもっと早く崩壊していてもおかしくないですよね。

確かにそうですね。
世界一少ない医師数で、格段に安い医療費で、世界最高水準の医療を提供できていたのは、ひとえに日本の医師の「高い能力」と「高い志」の恩恵だと思います。

そして私個人の意見ですが、これを制度として支えて来たのは、良い意味でも悪い意味でも、わが国独特の「医局制度」でもあると思っています。

この日本の医療制度を徹底的に破壊した官僚とマスコミ。そしてちょうちん持ち医師(もどき)・学者ども。

医療制度の改悪のために、日本の医師の心が折られてしまう。
そのダメージは計り知れないのではないでしょうか。

私は近いうちに、医局制度の功罪、特に「功」の部分を整理したいと思っています。

日本の医師が、再び誇りをもって仕事ができる社会に戻ることを祈って。
written by よね様 / 2008.10.22 08:21
 私個人としては医局制度はあまり好きではありませんでしたが、それでも「功」の部分を全否定する態度はもっと好きになれません。
 ま、マスゴミがいろいろ言っているのを見たら、バカを選別するにはちょうど良い機会、とでも思いましょうか(^_^;)。
written by おかだ / 2008.10.22 18:48

コメントを書く

ニックネーム*
メールアドレス*
URL
内容*
※「利用規約」をお読みのうえ、適切な投稿をお願いします。