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「人の不安」は商売のよいネタになります。たとえば老後への生活不安は積立貯金や個人年金という“商品”を生みました。これは真っ当な商売といえますが、私から見てあまり真っ当とは言いにくい商売もけっこうこの世にははびこっています。
たとえば、病気への不安を使って、あるいはことさらあおることでの怪しげな健康食品や健康器具の販売。
私は外来でよく「人に勧められたんだけど、○○って、健康に良いんでしょうか?」と聞かれることがあります。成分が表示されていてそれが薬との悪い相互作用がないものだったら「その味が好きでお金に余裕があるのだったらお好きにどうぞ」と答えます。でも、訳のわからない原理を主張する健康器具や正体不明の健康食品の場合は「ここにセールスマンを連れてきなさい。主張の根拠がわからないので、詳しく問いただしたいから」と言うこともあります(いつも言うわけではありませんが)。ちなみにそれで私の外来に売り込みに来たセールスマンは、まだいません。しかし、健康食品にぽんと1万円払う(そしてそのことを自慢そうに言う)人が、医療機関での3000円に「高い」と文句を言うのを見ていると、なんだかなあ、とも思いますな。
子どもの将来への不安を商売のネタにしているものもあります。教育産業にも、真っ当なものも真っ当ではないものも混じっている様子ですが、これをきちんと見抜くのには相当な眼力と覚悟が必要でしょうね。
ということで、もしも新しい商売を興したかったら、新しい心配のネタを見つけてそれを社会的に煽ればよい、ということになりますね。上手くやればぼろい儲けになるかもしれません。それで嬉しいか、子どもに向かって「父ちゃん(母ちゃん)はこういうことで儲けているんだよ」と堂々と言えるかどうかは、話が別ですが。
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