病院勤務医に当直はつきものです。そのスケジュールは病院によって様々ですが、大きな病院では平日と休日の二本立てでまるっきり機械的に順番が回ってきます。しかし医師が10人もいないような病院では、曜日固定制(何曜日に誰が当直、が決まっている)のところが結構あります。休日・祝日はそれとはまた別の系統で当直が回ってきますが、曜日を固定してもらうと、病院の方もあまり悩まずに済みますし、こちらも自分のスケジュールが組みやすくなる、というメリットがあります。
ところがもっと小さな編成だと話が変わってきます。診療所を除くと、私の場合は今までの経験での最少人数は医師4人の病院ですが、これだと、平日の当直が週に1〜2回、土日通しの当直が月に最低1回でした。祝日があったらそちらも4回に1回は当直になります。だから当時は祝日とか連休はあまり嬉しくありませんでした。仕事が増えるだけでしたから。
それとは別の「少人数当直」もあります。
たとえば総合病院で、小児科だけは当直体制が別だて、というところがけっこうあります。「子どもは小さな大人ではない」は小児科の授業の初っぱなに習った言葉ですが、他の科の医者がたとえば小児の喘息発作や腹痛を診ても、診断はつけられないし治療しようにも薬の量の計算ができない、ということで結局小児科医を呼び出すことになります。これがまた回数が多いの。毎晩毎晩当直医に呼び出されたら、これは小児科医の方が悲鳴を上げます。そこでいっそ小児科だけ別枠にしてしまえ、という発想が生まれます。「病院の当直」とは別に小児科医が待機していて、時間外の小児患者は最初からそちらを呼ぶ、とするわけです。(当直室には正規の当直医が寝ていますから、多くの場合は宅直(自宅にいて電話で呼び出される)となります)
けっこう大きな病院でも、小児科医が二人とか三人のところはいくらでもあります。で、二人の病院だと「隔日宅直」です。病棟からもけっこう電話はかかってきますから、二人とも寝られないのではなくて、一人が病棟と外来を受け持ってもう一人は「ああ、今夜はおそらくたたき起こされることはない。幸せ」と寝られる幸福を噛みしめるわけです。で、それを一晩おきに繰り返す。
ところが、病院の事務の頭が固いと「書類上は病院の当直をしていない。それは他の科の医師に対して“不公平”である」と小児科医にも機械的に病院の当直が当てられることがあります。それが宅直の日ならまあまだ問題はありませんが(病院に泊まって、自分の病棟も診ればいいのですから)もしも宅直の谷間に当たったら?
さらに、ふだん自分の当直の時に「子どもは診ない」と言って小児科医を呼び出していた人が、その逆の立場になったときに必ず気持ちよく出てきてくれるかと言えば……
これは産科など、病棟で緊急事態が起きる可能性が多くて時間外の患者も多い科には共通の問題でしょう。では、その科のドクターが気持ちよく末長く働けるようにするために、どんな知恵を絞る必要があるのでしょうか……というか、知恵を絞る気を皆さんお持ちです? 知恵を絞るための前提条件としての現状把握を具体的にする気も皆さんお持ちです?
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こういう方は少ないのかもしれません。
365日24時間いつでも専門家がすぐに現れ、常に完璧な説明と処置をするのが当たり前、と思われている国民マスコミの方が多いようですから。
同じ人間として、そんなスーパーマンみたいなことがご自分にできるかどうか、ちょっと考えてみたらわかるはずなんですけどねえ......
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