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かつて私が受けた脳外科の授業では、脳血管障害は「脳出血・脳梗塞・クモ膜下出血」に分けられ、さらに脳梗塞は脳血栓と脳塞栓に分けられていました。(クモ膜下出血の原因は主に脳動脈瘤ですが「モヤモヤ病」なんて変わった名詞も脳の奥からもやもやと出現してきました)
私が医学部を卒業する頃はちょうど日本でのCT普及の最初期に当たっていて、国家試験にCTの読影問題は出てこなかったと記憶しています(もし出ても、現在の精細な画像とは雲泥の差の、まるでモザイク処理でもかけたような画素の荒い、それこそ出血と梗塞の有無と大体の大きさが言える程度のものだったでしょうけれど)。
「脳血栓/脳塞栓」の区別も今では少し変わりました。
動脈硬化から血管が閉塞したのを脳血栓、血栓がよそ(多くは心臓)からとんできて脳の血管が閉塞したのを脳塞栓、とかつては区別していましたが、今では「脳梗塞」のサブタイプは以下のようになっています。
1)アテローム血栓性脳梗塞 大きな動脈の動脈硬化によって血栓が出来て詰まる。
2)心原性脳塞栓症 心房細動などで心臓にできた血栓が流れてきて詰まる。
3)ラクナ梗塞 脳の細い(直径が0.2〜0.5mm程度の)動脈が詰まる。梗塞の大きさは大体1.5cmまで(場所によって2cmくらいになることもあります)。原因はほとんどが高血圧ですが糖尿病もあります。
どう分類しても脳梗塞は脳梗塞だ、と思いますが、病後の治療(再発予防)が違うから分類する意味があるのです。
※自分の知識の整理のために書いてみました。私的利用でごめん……って、ブログはもともと私的に書くものでしたね。
だけど私がある程度以上の年齢の人に説明する場合には、今でも実は「中気」や「卒中」ということばが“現役”です。だって「あなたの(ご家族の)病気は脳梗塞の後遺症です」と言っても「はあはあ、そうですか」と頷くだけで明らかに理解していない表情の人がずいぶん多いのですから。正確だけど相手にきちんと通じない言葉を使うよりも、たとえ学術的には正確ではなくても相手が確実に理解してくれる(理解したと思える)ことばを使う方がよいと私は思うので、「脳梗塞」と言って相手に通じていないと感じたら私はただちに「以前は脳卒中とか中気とか言っていた病気のことです」と言います。それを聞いた瞬間相手の表情はがらりと変わる、こともあります。そこで「脳卒中には出血とか梗塞があって……血管が詰まったら脳の細胞が死んで……」と説明をたたみかけたらなぜか理解しやすくなるようです。
余談です。「卒中」「中気」にはどちらも「中」の字が含まれています。これは「まんなか」や「内側」ではなくて、「あたる(中る)」の意味でしょう。(「的中する」(矢が的に中(あた)る)、の中です) 「卒中」は「卒として中る」で「卒」は「突然」のこと、「中気」は「(悪い)気が中る」かな。
※そういえば心筋梗塞と脳梗塞は今では同じ字を使いますが、1980年前後にはどちらかを「硬塞」と書いていませんでした? 「心筋硬塞」だったかな? これは記憶があいまいで自信がないのですが。