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< 地域へ/地域で(2)精神障害者  | メイン | 地域へ/地域で(4)蛇足  >
 後期高齢者医療制度・療養病棟の削減などを見たらわかるように(実際には見なくてもわかりますが)、「老人は病院から自宅へ」が政府の大号令のようです。たしかにすごい治療を必要としない老人が病院に大量に存在しているのは変です。「病院」は「治すための施設」であって生活や収容のためのものではないのですから。自立が難しい人、福祉などの支援が必要な人が大量に病院にいるのだとしたら、それは単に「福祉」を「病院」が肩代わりしていただけということになります。ただし、そういった人を病院から福祉に移動させても、実は社会的なコストはそれほど変わりません。いや、むしろ、日本の医療費の驚異的な低廉さを思うと、かえって金銭的コストはかかるようになるかもしれません。(介護保険の時の政府の“誤算”を思い出しましょう)

 ただ、考えるべきは、銭勘定だけではありません。「安全」のことをお忘れなく。
 一般的に日常生活動作(ADL)で一番本人が苦労し介助が困難なのは「入浴」です。各家庭の風呂で苦労しながら入浴させるよりも、機械入浴などの設備が整っている施設で慣れたスタッフが入浴サービスをする方が、はるかに快適でしかも安全です(一度でも経験がある人ならすぐわかるはず)。軽い医療処置(痰の吸引など)が必要な患者さんへも、素人が家庭で個別に対応するよりもプロが施設でてきぱきと順々にやった方が、経済的にも安全面でもはるかに上のはずです。「経済面のコストの帳尻を合わせることに夢中になって、安全面をおろそかにしていました」は勘弁して欲しいのですが、「療養病床削減論者」はそこまで深く考えているのかなあ。



 でもお上の方針ですから、病院から外へ老人をどしどし移すことにしましょうか。だけど……自宅にしても地域にしても、老人を受け入れる余力がありますか? 皆さんの自宅に老人は何人まで入れます? ご近所で何人の老人を受け入れることができます? 一人では無理……だったら協力してやりますか。でももしも「この町内会には30人の割当ね」なんてことが起きたら、トラブルが頻発し、傷つく人が大量発生するのではありませんか? そういえば江戸の町では、捨て子があったら「町の子」として育てた、と聞いたことがありますが、今私が住んでいる町でそれに似たことが可能かと自問したら……


 さらに、日本の社会が弱者や障害者の自立を本当に求めているのかどうか、も考える必要があります。社会が真に求めていないことはいかに法律が強制しようと根づきません。自立支援法が所期の目的を達成できないとしたら、それは法律の不備のせいかもしれませんが、社会の側にそれを受け入れない(受け入れられない・受け入れたくない)要因があるからかもしれないのです。


 この二日間「自立」についていろいろ考えていて、もしかしたら、日本の社会や文化には「自立」という概念が欠如しているのかもしれないと気がつきました。
 社会に「自立」という概念がなければそれは社会そのものが自立していないことであり、それはつまりその中で生きる人の自立もないことになるでしょう。あるいは、かつては、「自立」はなかったがそのかわりに「地域共同社会のつながり」といったものが機能していたけれど今ではそれもなくなっている、と言えるのかもしれません。(医療が崩壊しているように、日本の社会も崩壊している、と私は考えています)
 となると、「老人がひとりでも暮らせる社会」の構築が、まず目指すべき目標ということになりますが……私の予想では、この社会は、構築よりも維持の方にコストがかかりそうですよ。しかも、「自立」した人(ボランティアを含む)がたくさん必要です。



 では本日も恒例(?)の質問タイムです。。
1)あなたは、畳の上(つまり自宅)で死にたいですか?
2)あなたは家族に畳の上で死んで欲しいですか?

 ところで、もしどちらかの答えが「イエス」なら、畳の上で死ぬための自宅での生活の具体的なイメージが持てますか?(重要なのは「具体的」の部分です)



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