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2008.07.15 06:49 |  診療  |  生活 / くらし  |  その他(医療関連)  |  社会・歴史  |  おかだ  | 推薦数 : 3

死語(36)明治 

 私の商売では、カルテなどに他人様の年齢を書くのが日常業務の一つです。で、昭和の場合、自分(や親)と年が近い人は自分(や親)の誕生年との差をプラスマイナスしたら暗算が簡単です。明治の場合には「明治三十三年が西暦1900年」でまずは西暦に直してから暗算をやります。問題は大正で、これが私にとっては難物です。「明治四十五年が大正元年」「大正十五年が昭和元年」で暗算すればいいのですが、なぜか間違えます。この場合にはしかたないので「年齢早見表」を見ることになります。

 退院した方の入院証明書(保険会社などに出す診断書)の記入が日常業務の中でけっこうなウエイトを占めています。勤務医の場合何枚書いても自分の収入が増えるわけではないのですが、患者さんのためと、たくさん貯めると自分の首が絞まるという自分のためで、私はなるべく早く書いてしまいます。で、必ず最初が氏名・性別・生年月日。私が医者になった頃には生年月日の欄は「明治・大正・昭和   年  月  日生(   歳)」となっているのがふつうでした。ところが今は保険会社によって“個性”があります。「明治・大正・昭和・平成」となっている会社と「大正・昭和・平成」の会社があるのです。(たまに「西暦」がそこに加わっている会社もあります)
 そういえばたしかに「明治」にマルをする必要のある診断書を最近は書いていませんが、でも明治四十五年生まれは九十六歳。入院の可能性がゼロではありませんよね。さて、こういった会社ではどんな議論をして「明治」を外すことにしたのか(逆に残している会社はどのような判断で残しているのか)、私には興味があります。
 ……変なことに興味を持っているよりも、さっさと書類を書いてしまいなさい、と怒られるかもしれませんが、現在私が抱えている入院証明の“在庫”はゼロです。ちょっと胸を張ってみました。


 そういえば「降る雪や明治は遠くなりにけり」は誰が言ったんでしたっけ?(私は学がないので今調べました。中村草田男で昭和十一年のことです) 「明治百年」なんてことばもありました。あのときにはたしか記念行事がいろいろあったように思いますが、具体的にはもう記憶の地層の奥深くで発掘は困難です。
 ちなみに今年は明治百四十一年。「遠くなったなあ」と言いたいような「御維新からまだそれくらいしか経っていないのか」とも言いたいような。


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