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< 泥棒  | メイン | 読書感想『子どもの誤飲・事故を防ぐ本』 ... >
 タイトルどおりですが、朝日新聞と讀賣新聞の記事です
http://www.asahi.com/national/update/0619/TKY200806190066.html
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/kyousei_news/20080619-OYT8T00507.htm

 もちろん「年間3万人以上の自殺者が10年も続いている」ことも衝撃的ですが、私にとって衝撃の中心は「3万超え」でも「10年」でもありません。数字がたとえ2万でも5年でもかまいません。「自殺がそんなに多いこと」が私には衝撃なのです。

 そして、私が強く感じたのはあと二点あります。
1)今年初めて自殺の原因分類が詳しくなったこと。記事では52分類でしかも複数選択可にした、とありますが、では昨年まではそこまで詳しく分類する努力もしていなかった、ということなんですね。アブナイ道なのに死者が出たら初めてガードレールが設置されるのと、発想は同じ?
2)厚生労働省では自殺予防対策プロジェクトを平成13年度から日本新生特別枠予算として計上して調査研究などを開始し
http://www.niph.go.jp/wadai/boushi/outline/index.html
さらに昨年には「自殺総合対策大綱」を決定しているそうですが、その“効果”(自殺数の減少)はなかったということなのでしょうか。それとも「本当はもっと(4万とか5万に)多くなっていたはずなのを、プロジェクトのおかげでなんとか3万に“減らして”いる」のかな? どちらなのかの政府見解とその判断の根拠を知りたく思います。(実はこれをもしやってくれたら一石二鳥です。発表の内容の吟味と同時に、政府が現在の社会をどう見ているか、も知ることができますから)

 もちろん分類はしないよりはした方がマシです。でも、対策に結びつく形での分類でないと実効的とはいえないでしょう。たとえば記事中に「仕事疲れ」という項目があります。では「仕事疲れ」を減らすために私たちに何ができます? もしあなたが「日本中の人の仕事疲れに対して対策を立てろ」と漠然と言われたら、困りません? これがたとえば「残業が多すぎる」だったら「各業界ごとに残業を減らすための方策」を考えればいいのですが……もちろんそれはそれで大変ではありますが……少なくとも具体的に考え動くことは可能でしょう。そして「残業を減らしたら食っていけない」とコトが「経済・生活問題」(これまた自殺の“原因”の一つ)になるようなら、こんどは厚労省(福祉と労働環境)の出番でしょうね。しかし、対策の立てようがない形でのデータ処理は、仕事をするのは「データ処理の人間」だけです。他の人間には出番がありません、つまり、問題は解決されません。つまり「対策を立てることが可能な分類項目立てになっているかどうか」は「最初から対策を立てる気があるか無いか」「この世界をきちんと分析的に眺めているか」を白状していることでもあるのです。
 また、「自殺した人」だけ見ていてもしかたありません。同じ「仕事疲れ」でも自殺する人としない人がいます。この決定的な差は何かをきちんと知らなければ、分析も対策も的外れ(あるいは、一見まともだけれど実は“隣の的”)になるだけです。つまり、「(同じ状況で)自殺しない人」に関する調査も必要なのです。

 対策を立てるにしても、総花的にやっては効果は望めません(国家予算を丸ごと投入する、くらいにやるのだったら望めるかも知れませんが、その場合でも保証はしません)。まず優先順位をつけましょう(大きなものから順に潰していくのが普通でしょうが、たとえ大きくてもできないものには手をつけない、という(政治的)決断もときには必要です)。そしてその順位にしたがってプランを作り予算をつけ人員を配置する作業がそれに続きます。それは政治と行政の重要なお仕事でしょう。ついでに言うなら「自殺は減ったが国民はかえって不幸になった」では困るので「国民の幸福度が上がる方向」に仕事をしてもらう必要もあります。政策の方向付けと評価と監査です。で、今回の発表にはそんなものがくっついていましたっけ? それとも「大変だ大変だ」と言っているだけ?
 「これは大変だ」と言うだけなら、不肖私でもできます。そして、国を動かすべき人間がただ分析や黙考やおしゃべりをするだけで時間を空費しているのなら、私は「為政者」の「為」ににんべんをつけたくなります。

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