「コレステロールを下げる」がウリのマヨネーズタイプの厚生労働省認可の特定保健用食品のサンプルが懸賞で当たったので、食べてみました。薄味のマヨネーズといった感じで、不味くはありません。特段美味くもありませんが、私はマヨラーではないからそのへんの区別がつかないだけかもしれません。
食べる方では楽しめませんでしたが、同封のパンフレットは楽しめました。
まずは、なぜコレステロールが下がるのか、のメカニズムが書いてあります(というか、これがキモですよね)。成分中の「植物ステロールエステル」が腸管内でのコレステロール吸収を阻害するのだそうです。
……えっと、どこからツッコもうかな。
作用機序(粘膜表面で働くのか、一度吸収されてから粘膜の“内側”から働くのか)が詳しく記載されていません。それから、たぶん用量依存性があると思いますが、何ミリグラムの植物ステロールエステルを摂取したら、何ミリグラムのコレステロール吸収を阻害できるのでしょう。それと、一日何回摂取する必要があるのでしょう? そのへんの記載が一切ありません。
それと、20年前には「コレステロールを食べるな」と食事指導していましたが、最近は体内合成でどんどん作られる(だからHMG-CoA還元酵素阻害薬(体内でのコレステロール合成を阻害する薬)がよく効く)から、食事指導はほどほどに、の雰囲気になっています。それを今さら「食餌療法」を前面に押し出すとは、時代に“逆行”していませんか(苦笑)。まあ、最近の日本人はアメリカ人以上にコレステロールを食べているそうですから、間違っていると主張するつもりはありませんが。
結局パンフレットが言っていることは「科学的」には間違ってはいないのでしょうが……合成と吸収は生体ではダイナミックなバランスの上にあるはずです。どちらか一方だけいじってもそれに応じてホメオスターシスが働いてバランスが傾いたら、結局なんのこっちゃ、になりませんかねえ。(吸収を押さえたら“バランス”を取るために体内での合成が増えちゃった、とか) それと、コレステロールの吸収を阻害すると、そのついでに、脂溶性ビタミン(ビタミンA、D、E、K)の吸収が落ちる、なんてことはないんでしょうね。(そうそう、国試の前に私は「脂溶性ビタミンはこの4つだけ(DAKE)」と覚えました)
パンフレットでは次にコレステロールの適正値についての記載があります。初っぱなは「低すぎず、高すぎず適正に保つことが大切です」と赤い字で目立つように書いてあります。
……あれれ、本製品の特徴は「コレステロールを下げること」でしたよね。良いのかな?
そうそう、学生時代に受けた講義では「コレステロールが高くなれば、心筋梗塞の確率が高まる。しかし、コレステロールが低くなりすぎたらこんどは脳出血のリスクが高まる」と統計のグラフを見せられて教わった覚えがあります。30年前のことですから、アヤシイ記憶ではありますが。
さらに、「体にとって余分なコレステロールを回収し、肝臓に運ぶ善玉(HDL)コレステロールと、体の各組織に必要なコレステロールを運ぶ悪玉(LDL)コレステロール」と書いてあります。え〜、日本語にツッコミます。「善玉」と「悪玉」……その働きを表現するのになんだか日本語としてとっても違和感が……「善玉」が増加している状態は、すなわち体内は“不健康”になっていることを意味するわけで、「悪玉」は体に必要なお仕事をしているわけで……もちろん「余分なコレステロール」がたっぷりあるのにそれを回収する「善玉」が少なかったらそれは過剰なコレステロールが“現場"で悪さをするでしょうから「善玉」が多いに越したことはないのですが……
コレステロールを「下げる」単機能だけではなくて、バランス重視の「適正範囲に収める」“良い”特保が出てこないものですかねえ。それも、食べる人の血圧や血糖値や腹囲に合わせて。
「一つのものを食べるだけで理想のメタボリズム」だなんて、ちょっと都合が良すぎる?
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