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2008.05.14 06:54 |  診療  |  仕事 / 職場  |  その他(医療関連)  |  おかだ  | 推薦数 : 3

死語(26)プロパー 

 先日親の家の近所に新しい店ができたというので、たまにはご馳走を食べようと三世代でランチに出かけました。店内に飾ってある(某有名)調理師学校の卒業証書と調理師免許の日付とマスターの風貌を見ると、団塊の世代の人がリタイア後に調理師への道を歩んで自分の店を持ったものと推定できます。
 で、料理を美味しくいただきながら話をしていたら、懐かしそうに声をかけられて、約20年前、私がとある田舎の病院にいたときに営業に来られていた某製薬企業のMR(当時の呼称はプロパー)さんであったことが判明。いやあ、驚きました。こちらも、どこかで見た顔と聞いた声とは感じていましたが、料理店のマスターがまさか“その方面”だとは思っていませんでしたので、そちらの記憶は検索していなかったのです。
 20年も経つと、その製薬会社の名前は変わっていますし、かつて二人の思い出の病院は現在存亡の危機……ただ思い出話をするにしても、二昔の時間はいろんなものを変えてくれています。

 現在製薬会社から医者を訪問する営業担当の社員はMR(Medical Representative(医薬情報担当者))と呼ばれ、資格試験もあります。しかし前世紀には「プロパー」(プロバガンダ(宣伝)からきた名称だそうです)と呼ばれていました。今と違うのは名称だけではありません。活動内容も営業に特化しており、自社の製品を売るためなら、接待やら値引き交渉などなんでもあり(とにかく売れれば(ノルマを達成すれば)OK)、といった雰囲気でした。(腕の良くないプロパーに「ノルマが達成できないので協力してくれ」と頼まれたこともちょくちょくありますが、私の薬使用の原則は「1が患者、2が病院、34がなくて、5に自分の好み」ですので、その原則に従ってきています)
 ちょっと薬品そのものについてつっこんだ質問をすると「よくわからないのでこんど『学術』担当を連れてきます」という返事が返ってきたりするのも普通でしたっけ。
 現在では薬品の価格交渉は医療施設と問屋の間で行われるのが一般的ですが、かつてはプロパーが価格交渉も担当していました。それに悪のりする医者もいて、自分のところで自社の薬を使ってほしいのなら「おまけをつけろ」「接待をしろ(経費そちらもちで飯を食わせろ、酒を飲ませろ、ゴルフに連れて行け……)」から「引っ越しするから手伝え」などとまるで下僕の扱いをしていた輩もいたのは事実です。当時は、医者とプロパーさんとの関係は、現在からは考えられないくらい封建的なもので、脇から見ていても「それは人として恥ずかしいぞ」と言いたくなる言動を平気でする医者がけっこういましたっけ。

 こちらに出張ってきたときにはまた食事に来たいと思いましたが……一瞬、20年前に私が彼に不愉快な思いをさせていないかどうか、じっくり考えてしまいました。いじめられた方は覚えていてもいじめた方はきれいさっぱり忘れている(最初からいじめたとさえ認識していない)ことは、同窓会やクラス会でかつてのいじめっ子の言動を観察していたらよくわかります。で、自分の場合どうだろうか、と。
 しかし、人生、どこでどんな再会があるかわかりませんね。私は威張り散らすのが好きではないから、たぶんどこでどんな再会があっても(ごく一部の例外を除いて)ほとんどは“大丈夫”とは思うんですが……これがぼけた記憶で過去が美化されているだけでないことを自分と相手のために祈ります。



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