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2008.05.09 07:11 |  診療  |  その他(医療関連)  |  社会・歴史  |  おかだ  | 推薦数 : 2

死語(25)トリアス 

 日本語では三主徴とも言います。ある病気の特徴的な症状を三つ並べて、それで特徴をつかむと同時に診断をつけようとするものです。
 私が医学生になった頃にはすでに下火になっていましたが、かつては「○○という病気のトリアスは、□□・××・△△」と呪文を唱えるように覚えていたのだそうです。しかし検査の進歩で、単に症状だけではなくて、レントゲン写真や血液検査のデータなどから診断がつけられるようになってトリアスは医学の表舞台からは姿を消しました。
 たった三つの所見で診断をつけようとは、ずいぶんラフな話にも見えますが、もともと人体はそれほど特徴的な反応を示してくれませんから(熱・脈拍・血圧などは、きわめておおざっぱにだと、上昇・正常・低下の3種類の反応しかない、と言えます)、非常に特徴的な所見を3つピックアップしたら、けっこうな確率で診断がつく、とも言えます。少なくとも「たった一つの所見だけで、たった一つの診断名に飛びつく」よりは真っ当な態度です。

 私の脳みそに検索をかけてみたら……腸チフスのトリアスが出てきました。脾腫(脾臓が腫れること)・比較的徐脈(発熱があれば脈も速くなるのが普通ですが、チフスの場合にはそれほど脈が速くならないためかえって徐脈に感じます。相対的徐脈とも言っていたと記憶しています)・バラ疹……実は私が人生で最初に覚えたトリアスです。そして、現在唯一覚えているトリアスでもあります。
 年を取ると人は子どもに帰るとか、釣りは鮒に始まり鮒に終わる、なぞと申しますが、覚えたトリアスも最初に帰るのでしょうか?(たぶん、違います)



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