私が薬を出す人に必ず聞く質問の一つが薬物アレルギーの有無や副作用の経歴です。「使ったら何か良くない症状やアレルギーが出た薬はありますか?」に対して時々返ってくる答が「ピリンは駄目です」。
「この病院にはピリンは置いてないから大丈夫と思いますよ。出したくても出せません。ところで、ピリンで一体どんな症状が出たんです?(私はピリン疹を見たことがないので、純粋な好奇心からの質問です)」に対してよく帰ってくる答が「いや、副作用が出たことはないけれど、コワイ薬なんでしょう?」
……好き嫌いじゃなくてアレルギーの有無の質問なんですけど……いや、嫌いなお薬はもちろん(なるべく)出しませんけれどね。でもまあ、「事実」と「感想」は別にしてもらえたら、カルテの記録が混乱せずにすみます。
そういえば私がピリン系薬物を使ったのは1980年代半ばまで。あとは一切使っていません。これは私の好き嫌いというより、薬局に置いてなかったから、の方が大きな理由です。無くても別に困りません。非ピリン系の良い薬がどんどん出て、ピリンが無くてもなんとかなるようになりましたから。
そうそう、「アスピリンはピリンか(いいえ、違います)」も一時期よく聞きました。
「ピリン」で私が思い出すのは、(一般名で)アミノピリン・スルピリン・アンチピリンなどです。商品名だったら、メチロンとかザルソカイン(同じザルソカインという薬名でも内容が違うものがあったように記憶していますが、スルピリンの入った方です)。で、これらの「~ピリン」は一般名で綴りは「ーpyrine」。ところがアスピリンは商品名で「aspirin」(一般名はアセチルサリチル酸 (Acetylsalicylic acid) )。ということで、アスピリンは非ピリンなのです、と今までに何十(百?)回説明したことか。ただ、今世紀になってからはこの説明もほとんどせずにすむようになりました。そろそろ「ピリン」の記憶は風化し始めたようです。
楽になったと喜ぶべきなんでしょうね。
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