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眼科つながりです。
SFなどではけっこう平気で眼球移植が行われます。とりあえずすぐ思いつくのは……えっと……『死霊狩り』(平井和正)なんかどうでしょう(ご存じない方が多いでしょうけれど)。小説以外なら『サイボーグ009』とか『600万ドルの男』とか。
だけど、眼球移植は、そんなに簡単にできるものなんでしょうか。
突然ですが、「ゲゲゲの鬼太郎」の目玉親父は、一体“どこ”でものを見ているのでしょう? 「目玉」ではありません。視覚情報は脳の視覚野で処理されて初めて人はものを“見る”ことができるのです。目玉親父の場合、あの細い体が脳そのものであるか、あるいは無線LANでどこかよそに置いてあるサーバーにつながっていてそこで視覚情報を処理していない限り、「見る」ことはできないはずです。
目玉はただの光学装置であって脳と正しく結合して初めてその機能を発揮できるものなのです。では移植の時に脳と目玉の間で視神経をちゃんとつなげばOKかと言えば(上下左右をちゃんと間違いなくつなぐのは大変ですが)……こんどは目玉の運動の問題が生じます。
もしも右目と左目がそれぞれ勝手に別のところに注目したら、脳は送られてきた二つの画像を処理しなければなりません。片方を無視すればいいのなら簡単ですが(たとえば「利き目」での作用)、両方が自己主張したら二つの画像を一度に見る「複視」となってしまいます。それを防ぐために移植された眼球は、見たいものがどこにあっても脳の指令に従ってそいつを追随しなければならないのです。それももう片一方の目と共同して(さらに言うと、左右の微妙な差を利用して脳は立体視をやっています)。これ、私達の両目(と脳)は自動的に情報処理していますが、実は大変なことです。話を単純にするために左右に関してだけ考えますが、見たいものが右側にあったら両目とも右(でも、角度は微妙に違う)、左側にあったら両目は左に向きます。しかし見たいものが真ん中にあったら、右目は左側・左目は右側に向く必要があります(医学や生理学に詳しくない人、ここの説明、わかります? 図に描いたらわかりやすいんですけどね)。目を動かす筋肉を微妙に調節して常に両目で一点を注視できるのは、実に大変な作業なんです。
さらに、ピント合わせも重要です。対象との距離を一瞬で判断してレンズの厚みを調整しなければなりません。これがいかにすごいことかは、オートフォーカスのカメラを使ったことがある人には説明抜きでわかるでしょう(それとも最近のカメラは(私が持っているのとは違って)瞬時にピントを合わせちゃいますか?)
移植された目は、血管と視神経だけつなげばいいのではなくて、その他の細かい筋肉や神経も全部フルセットで移植して(あるいはつないで)完璧に機能させなければ人は「ちゃんと見る」ことはできないのです
あ、まだありました。絞りは……ちょっとズルですが、移植するのは生体眼ではなくて人工義眼にして電子的に処理しましょうか。これなら機械的な絞りにしなくてすむので話が楽になります。ただこんどはエネルギー源をどうするかと、電子情報を脳が処理できる生体情報にどうやって変換するかの問題が新たに浮上しますけれど。
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コメント
コメント一覧
眼球移植のお話、とても分かり易くて非常に勉強になりました!
興味心で覗いてみたお医者さんのブログが、こんなに面白いものだとは…笑
きっとおかだ医師はいい先生なんでしょうねw
できれば眼球移植についてもっと知りたいと思いました(^^)
もしよかったら教えて欲しいです★
上に書いた以外にも、さらに涙腺がちゃんと機能するか(表面が濡れていないと、角膜にはすぐに傷がつきます)、も重要な問題です。
眼球移植が実用になるのはまだまだ先のことでしょうが、もしこれが安全確実にできるようになっても、次の問題が生じます。どこからその眼球を持ってくるのか、です。(人、動物、人工物、が考えられますが……)
やっぱりまだSFの世界のお話のようです。視力に不安を抱える人たちにとっては残念な話ですが。
正直私自身、レスいただけるか不安でした…(^^;)笑
少し質問してもいいですか?
SFの世界のお話ということはつまり、今の医療技術では眼球移植は行われていないということでしょうか?
私、他サイトで眼球移植について語られているものを見たことがないんです;
検索不足かもしれませんが、現時点で眼球移植について書かれているものはおかだ先生のこの記事だけなんです。
なので、しつこく質問をしてしまうと思うのですが、返答して貰えるとすごく嬉しいです!
忙しいでしょうに、大切なお時間割いてしまってすみません(´;ω;`)
ドナーカードで「この臓器は提供します」で丸をつけるところに、「眼球」という項目はありますが、これは取り出された眼球から角膜だけ切り出して移植に使われる、ということです。(死体には義眼がかわりに入れてもらえます。どうせすぐに燃やしちゃうのではありますが)
これで、角膜の病気(混濁や変形)で失明状態の人は救われます。もっと奥の網膜の病気などの人はやはり丸ごと移植だろうと思いますが、残念ながらまだまだ先のお話です。
外科の話ではありませんが、顔面神経麻痺が治った時、唾液分泌をさせる神経が涙腺の方に接続しちゃって、食事の時に涙を流す「クロコダイルの涙」という現象が生じることがあります。神経の再生は、微妙で複雑です。
このへんの話題になると私は専門家ではないので「移植 神経 接合」あたりで検索をかけられることをお勧めします。結構いろいろ見つかると思いますよ。ただ「視神経切断 接合」で検索をかけてみましたが、哺乳動物に関してはまだ基礎研究の段階のようです。
ただ、脳はけっこういいかげん(よく言えば、フレキシブル(^_^;))ですので、視神経接合ができるようになったら、少々の繋ぎそこないだったら脳内処理(補完)を上手くやって「本当は見えてないのに、なぜか見える」ことが起きるかもしれません。
検索かけてみて、色々調べてみようと思います。
ところで、その技術は現在の日本でも使用されているのでしょうか?そして外国でその技術があるとするならば、例としてどの辺の国があげられるのですかね?知っていることだけでいいので、教えて下さい。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1017260575
なんか、いかがでしょう? 外国でも、先進国ならどこでもこの程度は行われているはずです。
ずっと先生のブログにきたかったのですが、私は今、諸事情によりオフライン環境での生活をしているので、なかなか機会がなくて…
なので、こちらにくる頻度はかなり減ってしまうと思います。
また落ち着いたら顔を出させていただきます(*^^)v
それまで、とりあえずは書店などで勉強しようと思っていますので、もしよければまたお話させて下さい♪
それでは、乱文失礼致しました;
眼球摘出後、年数が過ぎ内空の皮膚が盛り上がり、上手に眼球移植するとして視神経が脳に伝達できる可能性はあるのでしょうか?ある程度の視神経の成長を期待してもうまい具合に伝達能力があるのでしょうか。ここまでの医療の可能性としては、何年位待てばいいのでしょう。人口義眼でも見えるようになるには相当時間が掛かりそうですね。
神経繊維素は接合可能です、は以前ゆうさんへのコメントで書きましたが、問題はともさんが書かれているとおり(物理的にはつながっていても)視覚情報の伝達がきちんとできるのか、ですね。視野が欠損していたり(極端な場合)上下が逆になっていたら、ずいぶん不便ですから。
進化の過程で生命がどうやって「目」を発明したのか、も不思議ですね。光の存在を知らなかったら目の必要性にも気づかないでしょうが、目がなかったら光(可視光線)の存在に気づけないはずですから。
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