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< 3時間待って3分診療 | メイン | ここにもト弁護 >
2008.01.23 07:11 |  医療制度 / 行政  |  その他(医療関連)  |  社会・歴史  |  おかだ  | 推薦数 : 0

薬価差益ゼロ

 死語シリーズ(?)の第二弾です。昨日の「3時間待って3分間診療」とほぼ同じ時期によく言われていたのが今日取りあげる「薬価差益ゼロ」です。
 当時の厚生省やマスコミの論調では、薬価差益の存在=「医療機関が薬を売って利益を上げること」はけしからん、という主張でした。

 ちょっと解説が必要ですね。当時は(というか、今も)薬価(医療機関が患者に“売る”薬の値段)は国が決めています。で、医療機関は問屋から薬を仕入れますが、その問屋に払う金(仕入れ値)と薬価(売る値段)の差が「薬価差益」と呼ばれていました。

 ……普通の商売では、仕入れ値に利益を乗せて販売する行為(小売値>仕入れ値)はごくごく普通の商行為だと私は思うのですが、(当時の)厚生省とマスコミはそうは思わなかったようです。「薬価差益ゼロ」とはすなわち「小売値と仕入れ値とが同じでなければならない」という主張です。
 「仕入れ値=小売値」だとどんなことが起きるでしょう。薬剤師の人件費、建物の施設費、コンピューターや自動調剤機などの設備費、電気代やら水道代、薬の破損や紛失・売れ残り、在庫の管理コスト……それらはすべて純粋な“損失”になります。「医者の常識は世間の非常識」とよく私は揶揄されるのですが、当時の厚生省とマスコミの主張はやっぱり「世間の常識」だったのかなあ。それとも世間で商売している人はまた別の経済的意見をお持ちでしょうか。

 はい、ここで「薬漬け」を言い出す人がおられることは承知しています。もちろん、不必要な薬を大量に処方して“儲ける”行為は糾弾されるべきです。だけどそれは「薬価差益の存在」が問題ではありません。「薬で金儲けする医者(というか、金儲けのために医者のふりをする奴……不必要な薬を平気で大量に処方する、という非医学的な行為をする人間を私は真っ当な医者とは認めません)」「薬を出せば出すほど儲かる医療システム」を責めた(あるいはさっさと扱いを改善した)方が効果的だったのでは?

 結局何が起きたかというと、仕入れ値のパーセントの上昇です。たとえばそれまで7掛けで買っていた薬をたとえば9掛けで買うわけ(「薬価差」をゼロに近づけることで世間に納得してもらったわけです)。結局、医療機関の“利益”は減り、製薬会社と問屋の利益が増えました。製造原価と薬価が同じだったら、自動的にそうなるでしょ? 患者は“得”していません(これが重要)。
 厚生省とマスコミの狙い(の一つ)は、医療機関いじめだった、と私は信じています。

 そうそう、現在の医療機関では「健康保険診療に消費税を上乗せしてはならない」と法律で定められているのを皆さんご存知ですか? 「薬は卸値と同じ値段で売れ」どころか「消費税込みで問屋から買ったものを、消費税分だけ値下げして消費者に売れ(これを「損税」と言います)」が現在のお上の方針です。これまた陰湿ないじめですな。よくもまあこれだけねちねちといじめる手段を思いつくものだと、感心します。そんなにいじめが好きな人はよっぽど根性が……(以下自粛)。

 支払いが少しでも安い方が消費者は嬉しいでしょうが、身銭を切って納税していた医療機関が保たなくなって倒れたときも、嬉しいのでしょうか。

 ちなみに、日系メディカルオンラインによると、昨年の医療機関の倒産は52件(うち病院が19件、医科診療所の倒産は18件、歯科診療所は15件)で、平成になってからは最悪だそうです。(この記事を全文読むには会員登録が必要です) で、この記事の予想では、「倒産はまだ高水準で続くだろう」……私もそう思っています。
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/int/200801/505307.html

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