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2008.01.13 12:53 |  診療  |  開業 / 病院経営  |  医療制度 / 行政  |  おかだ  | 推薦数 : 1

緩和ケア病床、都市圏で不足

 日本政策投資銀行のまとめでは、日本の緩和ケア病棟のベッド数は、これから特に都市圏で不足が深刻化するのだそうです。
http://www.asahi.com/health/news/TKY200801120216.html

 私がこの記事から感じた問題は三つあります。
1)日本における「緩和ケア病棟」の認知度はどのくらいでしょうか。その特性や現在どこにどのくらいあるかを街頭インタビューしたら、どの程度の“正解”が返ってくるでしょうか? 私は認知度は非常に低い、と感じているので、その街頭インタビューではまずまともな答は返ってこないと予想します。そもそも急性期病棟と療養病棟、外科と整形外科の区別さえきちんと答えられない人がごろごろいる現状で、緩和ケア病棟がどうしたこうしたと言っても「それがどうした」と返されるのがオチでしょう。我が身の問題にならない限り「知らないこと」には冷淡な人が多いですからねえ。
 ……で、こういったことの広報・啓発活動について新聞は「医療側のさらなる努力が求められる」なんて言うのですが、広報が得意なのは医者よりマスコミの方じゃありません? なぜやらないんだろう。社会的意義が感じられないから? それともまさか、広告費を出さなきゃ、駄目?

2)日本では医療法に基づく地域医療計画で病床規制が行われています。緩和ケア病棟がそれの例外なのだったら良いのですが、そうでなかったら「増やすべきだ」「はい、そうしましょう」とはなりません。
 また、「ベッドが足りない」からといって、建物を造ってベッドを入れればそれで“解決”ではありません。緩和ケア病棟には多彩な人材が必要です。医師だけでも、単に「痛みの専門家」がいれば良いというわけにはいきません。全身を総合的に診る必要がありますから、総合医と各専門医のネットワークが必要です。医師以外でも、看護・介護・心理・ケースワーカー・リハビリ……それだけのバラエティと人数をどこから“調達”してきます? そしてその人件費はどこから捻出するのでしょう? 今の保険制度で可能でしょうか。

3)もしめでたく増床できたとして、その“後”はどうします? なんだかこの記事を書いた人は「団塊の世代がそのまま癌多発年齢に突入して緩和病床が不足する」ということばかり心配しているようですが、ではその団塊の世代が“その時期”を過ぎてしまったら、がらがらの緩和病床がそこにもここにも、となるでしょう。そのときその施設と人員をどう転用するのかも考えておかないと、また新たな「問題」が発生することになります。
 ……新聞は記事のネタができて嬉しいかもしれませんけれどね。

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