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2008.01.04 17:29 |  生活 / くらし  |  グルメ / お酒  |  その他(一般)  |  社会・歴史  |  おかだ  | 推薦数 : 0

○○牛

 子年ですが、牛のお話です。(厳密には「子」に対応するのは「丑」ですが、そこのところはお許しを)

 TVのお正月番組で、芸能人が「超一流と三流を見分ける」ものがありました。たとえば超高級な楽器の演奏と練習用楽器のものとを聞き分けたり、超高級の松阪牛と並のものを目隠し状態で口に入れられて味で見分けたり(目では見ていませんが)、というものです。で、ボロボロ間違えるのを見て視聴者が楽しむという趣向です。
 本を読みながらそれを横目で見ていて、昨年の牛肉偽装事件を思い出しました。あの偽装をした企業に限らず、日本各所で「○○牛」とか「××牛」とかブランドが麗々しく飾られていますが、そこまで味の違いがわかるものなんでしょうか。なにしろ、ふだん高級牛肉を食べ慣れているはずの有名タレントでさえ、特別な松阪牛とそのへんの並を間違えるんですよ。それどころか、ミートホープ事件では、日本人の多くは牛の挽肉と合い挽きの区別もつけられないのが現実だったわけです。漫画「美味しんぼ」のグルメたちのように一口で牛の年齢やら産地などを当てるような人は、実際にはどのくらい日本にいるのかな。自信がある人を集めて、有名な産地の牛肉を数十種類ならべて次々食べて産地を当てる、なんて番組をやってみてもらいたいものです。
 同じ「○○牛」でも、牛舎の位置や日当たり温度湿度・愛情のかけ方・餌の種類と量・水の種類と量・運動量・遺伝・健康状態などで、できあがった“製品”の質はバラバラのはずです。大量生産の工業製品でさえ当たりはずれがあるんですよ。まして「生き物」がそんなに均一な品質になるとはちょっと思えません(全部クローン牛だったら、もうちょっと平準化できるでしょうけれど、それでも環境や育て方で差が生じるはずです)。また、料理によってもそれに向いた牛(肉質)・向いていない牛があるでしょう。(ステーキに向いた○○牛が牛丼にも向いているとは私には思えません。さらについでに言うと、レアステーキに向いている肉はウエルダンにも向いていますかね?)
 ……となると、「○○牛」という表示は一体何を主張し、何を保証しているのでしょうか?
 もしかして、消費者は、牛肉(モノ)ではなくて「ブランドという情報」をせっせと食べて満足して(満足させられて)いる、ということなのかな。肉で満腹、能書きで満足。
 私は美味しい料理を食べたら、それだけで幸福感に満たされる単純な人間ですから、上乗せでさらに「情報」を詰め込む必要を感じないのですが、「さらにもっともっと幸福になりたい」と望む人が多いということなんでしょうか。それとも、意地悪な見方をすると、料理人が自分の腕だけで“勝負”することに自信がなくて「情報」の付加価値の助けを借りようとしているのかな。

 私が和牛で有名な中山間地にいたとき(全国コンクールで優勝牛をよく出しているけれど、名前は全国的ではない地方です)、「ある程度育てたところで某有名産地(営業妨害になってはいけませんから、特に名を秘します)から買い付けに来て、そこで最後の“仕上げ”をして、市場では「○○牛」のブランドで売っているんだ」という話を生産農家の人から聞かされました。巨大清酒メーカーの桶買いと構造は同じですね。だから私はますます「牛のブランドって、何?」と思うのかもしれません。あるいは、「それを味わい分ける舌」を私が持たないことから負け惜しみで「ブランドがどうした」と言っているだけなのかもしれませんが。

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