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70歳代男性。皮膚筋炎に対し,免疫抑制治療を施行していたが,間質性肺炎の合併もあり,呼吸機能は低下していた。感染症,腎機能低下などにより,徐々に全身状態が悪化し死亡,剖検となる。
標本は,感染巣のみられた肺の一部から採取したもので,Grocott染色です。桿状の多数のアスペルギルスとみられる真菌が存在します。臨床的にもアスペルギルス抗体が陽性でした。
赤いスケールが0.1mmですから,菌体のひとつひとつは結構小さいものです。しかし肺野のかなりの部分に,真菌が認められました。
一般人も空気中にある真菌の胞子を吸い込んでいますが,通常の状態では感染巣となることはありません。しかし免疫が低下した状態では,しばし真菌症が生じます(いわゆる日和見感染)。
剖検では,カンジダ,サイトメガロウイルス,カリニなどにもときどき遭遇します。
膠原病や血液疾患に対する免疫抑制治療は,過度になると当然免疫不全を惹起してしまいます。
この症例は抗Jo-1抗体陰性,剖検時の皮膚および筋所見には異常なく,また腫瘍随伴とみられる状況もありませんでした。前述のように間質性肺炎は存在していました。
膠原病の病勢の判断は,臨床症状,理学所見の他,補体価や抗体価などが用いられています。しかし免疫能を評価する明確な指標がなく,そのことが全身管理をいっそう難しくしているのです。
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70歳代男性。骨髄異形成症候群(MDS)のため,頻回に赤血球輸血療法を施行。今回全身状態の悪化により死亡し,剖検となる。画像は肝のベルリンブルー染色です。
青く見えるのがヘモジデリンで,鉄(Fe)の沈着を表わしています。肝細胞内へ著明な鉄沈着が認められます。
一般的には,フェリチン分子に数千のFe原子がくっつき,それが集まるとヘモジデリンとなります。このヘモジデリン沈着に伴い肝細胞が壊死に陥り,壊死部には線維化が生じます。
肝細胞への鉄沈着が,TGFβやI型Collagenなどのシグナル伝達に関与しているらしいのですが,この辺は諸説あり,まだ確定できていません。
本症例では肝への鉄沈着のみで,肝機能は保たれておりました。しかしMDSに対する赤血球輸血療法では,輸血後鉄過剰症が問題となり,著明に鉄沈着が進んだ場合は,全身の臓器障害が生じます。
病理学的に鉄過剰の状態は,以下のように分けられています(教科書によって記載が違います。1.以外は2次性)。
1.遺伝性ヘモクロマトーシス
2.慢性の貧血による鉄過剰
3.輸血
4.腸管吸収亢進
5.食餌性
6.肝病変に関連したもの
輸血後鉄過剰症の治療は,鉄をキレートして排泄する注射製剤のデフェロキサミン(デスフェラール)が用いられていましたが,最近経口製剤のデフェラシロックス(エクジェイド)が投与可能となりました。血小板減少などで頻回の穿刺が困難な方への投与のほか,継続的な輸血が必要な方のADL改善が期待されています。
我が国の血液疾患などで輸血依存となった方の30%程度は,鉄過剰による臓器障害で死亡しているとの報告もあります。やはり鉄代謝の改善がかなり予後の改善に影響するはずで,さらにミネラル全体のバランスを考えた治療が必要でしょう。
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