http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20060826ik01.htm

 

出産時事故に補償制度

政府・自民検討へ 医師過失、立証不要

 政府・自民党は25日、出産時の医療事故について、医師の過失を立証できなくても患者に金銭補償を行う「無過失補償制度」の創設に向け、本格的な検討に入ることを決めた。

 被害者救済と同時に医師不足対策と位置づけ、厚生労働省などが日本医師会や産婦人科医団体、保険会社などとの意見交換に入るほか、自民党の「医療紛争処理のあり方検討会」(大村秀章座長)でも協議を開始する。

訴訟リスク軽減 産科医不足解消も

 出産時の事故は医師の過失の有無の判断が難しく、事実関係を確かめるため、裁判に持ち込まれるケースも多い。最高裁の調査によると、2005年に産婦人科での医療をめぐって起こされた民事訴訟は118件で、医療関係では内科(265件)、外科(257件)に次いで多くなっている。

 こうした中で、被害者側では「医師の過失を証明するのは難しく、補償される場合でも時間がかかる」という指摘が出ている。また、産婦人科医の側にも「医療過誤を厳しく問われるのは負担が大き過ぎる」という声がある。

 厚労省によると、04年の産婦人科医の数は1万163人で、02年から455人減少した。政府・自民党は、こうした産婦人科医の減少には、民事訴訟のリスクを回避する意識も影響していると見ており、無過失補償制度の整備を本格的に検討することにした。今後、補償の財源や範囲について、検討を進める方針だ。

 この問題では、日本医師会が今月8日、政府の公的支出と妊産婦の負担金を財源にした無過失補償制度の構想を発表している。これに対し、厚労省は「政府の公的支出は難しい」としており、産婦人科医側に負担を求めたい考えだ。補償の範囲については、母親と新生児の両方の被害を対象とする方向となっている。

 政府・自民党は、第三者機関が医療事故の原因を究明する制度や、医療関係の紛争を裁判以外で処理する制度もあわせて検討する方針だ。制度の導入により、ずさんな治療行為が横行する危険性なども慎重に考慮する。現在、20歳未満の障害児の養育には特別児童扶養手当が、20歳以上の障害者には障害基礎年金が支給されており、こうした既存の社会福祉制度との調整も必要になる。

2006年8月26日  読売新聞)
******************************
 出産時の事故を補償する制度は非常に良いと思います。しかし、この話では財源が大いに問題となります。なぜなら、補償の財源は公的支出ではなく産婦人科側から拠出する、となっているからです。
 ということは、
今までは 事故があったら、訴訟になり、敗訴した場合に産婦人科医は負担を強いられる
この制度では 事故があったら、患者側が補償を申請すれば必ず産婦人科医は負担を強いられる
 どちらが産婦人科医の負担が大きいかは火を見るより明らかだと思うのですが・・・。お上は本当に産婦人科の危機を感じているのでしょうか? 
 医療系のブログや、SNSの書き込みを見ると、医療者の憤り・悲観・諦めの声が溢れています。産科に関して言えば、医療崩壊はもうすぐそこまで迫っているのかもしれません。一外科医として日々の仕事を頑張ることしかできないのが悔しいです。

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http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060819i301.htm

 

医師の不足や偏在の問題に対応するため、厚生労働、文部科学、総務の3省で検討していた「新医師確保総合対策」の原案が18日、明らかになった。

 医師不足が特に深刻となっている都道府県に限り、大学医学部の定員増を暫定措置として認めるほか、離島やへき地で勤務する医師を養成している自治医科大学の定員も増員する。

 また、都道府県の要請に基づき緊急避難的に医師を派遣・紹介するシステムを構築する。3省は近く最終的な対策をまとめ、可能な施策から実施に移す。

 医学部の定員は、1986年以降、削減傾向が続き、97年に「引き続き医学部定員の削減に取り組む」ことも閣議決定された。定員増が認められれば約20年ぶりの方針転換となる。

 原案では、定員を暫定的に増やす条件として〈1〉県が奨学金拡充など卒業後の地域定着策を実施する〈2〉定着する医師が増えた場合に限り、暫定的な増員が終わった後も以前の定員数を維持できる――こととした。

 また、医学部が地元出身者の入学枠を拡充することや、山間へき地で活動する地域医療の志望者を対象に特別入学枠を設けることを推進するとした。卒業後の一定期間は地元の医療機関に勤務することを条件に、都道府県が奨学金を設けることも盛り込んだ。

 政府も、医師が特に少ない都道府県を対象に、医師確保のための補助金を重点配分する。

 一方、結婚や出産を機に退職する女性医師が増えていることから、女性医師が働きやすい環境づくりにも取り組む。具体的には、病院内の保育所の利用促進や、病院経営者への啓発事業を展開する。

 特に医師不足が深刻な小児科、産婦人科では、都道府県ごとに人材や機能の集約化・重点化を進めるほか、現在31都道府県で展開している小児救急電話相談事業(#8000)を全都道府県に拡充する。産婦人科では助産師との連携も進める。

 離島などのへき地医療対策では、ヘリコプターを活用した離島での巡回診療、住民が遠方の産婦人科等を受診する場合の宿泊支援などを盛り込んだ。

(2006年8月19日3時5分  読売新聞)

***

 今から定員を増やしても医師数に反映されるのは6年後以降。手遅れにならないことを祈ります。

 地方の国公立大医学部では、都心から来た学生は卒業すると都心に戻り、また地元の学生も都心の病院を好んで上京するため、1学年50~80人中、その地に残って研修をする人は10~20人程度であることが殆どです。

 2年前から始まった新臨床研修制度によって、医学生の卒後研修に対する考え方が代わり、今までは自分の大学と近郊の病院くらいしか考えていなかったのが、一気に全国の病院へと視野が広がったのも一因です。

 私は都内の大学でしたので、同級生の殆ど全員が大学もしくは近郊の病院で働いていますが、地方の大学を卒業してから都心に戻ってきた同僚などの話を聞くと地方の大学は
研修医減少⇒入局者減少で大学が医師不足⇒市中病院への医師派遣取りやめ⇒市中病院も医師不足
というサイクルが止まらないようです。

 卒後にその地に残ることを条件に入学枠を設けたり、奨学金を貸与したりする制度は、既に一部の大学で導入されていますが、これをもっと推進すべきだと思います。

 

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周産期医療の崩壊をくい止める会のホームページ

 

 上記ホームページ中の、奥田先生の発言。現在の周産期医療の危機をひしひしと感じさせます。

 

 私の勤務する病院でも、月間多いときは80件あまりの出産を取り扱いながら、勤務医は4名。しかも、若手はいません。私の父親くらいの年齢の先生が、月7~8回の当直をこなしておられます。

 

 昨年研修医として産婦人科を2ヶ月研修しましたが、その間、何十回も出産に立ち会い感動を覚えました。その一方で、死産や、出産直後の新生児の脳出血なども体験し、周産期医療の辛さも思い知りました。

 

 奥田先生の仰るように、そのような過酷な職場でありかつ待遇も他の職場と同じ、むしろ低いのであれば・・・新人が増えるはずもありません。

 

 周産期医療の整備はお上に任せておいていいのでしょうか?私もいち医師として何か協力できることがないか・・・とやきもきします。

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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060809-00000015-mai-soci

 

*** 

 

「診療科によって勤務の厳しさに違いがあることを知り、楽な診療科へ流れる医師が増えた」とベテラン産婦人科医は嘆く。「新人が来ない」と言われるのが小児科や産婦人科だ。「楽で人気」とされるのは、勤務時間が規則的な眼科や皮膚科。こうした「若者気質」は、人気とされる科の中でも医師の偏在を生んでいる。
 樋田哲夫・日本眼科学会理事は「コンタクトレンズ外来など、楽に収入が得られる仕事を求め、すぐに開業したがる若者が多い。その分、当直や手術で忙しい大学病院は人手不足の状態だ」と話す。樋田さんによると、都心の病院の眼科に10人以上の新人が集まる一方、地方の大学病院に1人も来ない「診療科内格差」が起きている。
 日本皮膚科学会の塩原哲夫理事は「臨床研修は『青い鳥』を追う若者をつくってしまった。皮膚科でも当直はある。命にかかわる病気もある。そうした現実から逃げ、『もっと幸せな職場』を探す若者が目立つ」と嘆く。

 

***

 

 まあ概ねそんな感じなんだけど、なんか「最近の若者は全員ダメだ」みたいな書き方でイヤだ。一生懸命働いてる人のほうが多い(と思う)よ!

 

***

 

西村周三・京都大大学院教授(医療経済学)は「医師偏在は、医学界だけで解決できる問題ではない。経済的な視点も加え、報酬を労働の対価としてきちんと位置付ける必要がある。診療科ごとの必要な医師数を分析し、不足する科の教育を充実させるなど、長期的な配置計画も求められる」と話す。

 

***

 

 その通り。思いつきで新しい臨床研修を始めるだけじゃ何も改善されない。労働がきつくて医者が足りない科は給料を増やしたりしないと人が来るわけがない。

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2006.07.23 02:15 |  診療  |  医療制度 / 行政  |  その他(一般)  |  雑記  |  ( ´_ゝ`)ふーん先生  | 推薦数 : 1

救急センター

 今日、というか昨日は、病院からの派遣で、市の救急センターで働いてきました。

 

 救急センターは市の一次救急を担うところで、外科以外にも内科・小児科があります。扱う疾患としては、一次なので軽症がほとんどです。中等症~重症は救急センターではなく、うちの病院のような救急指定病院に行くわけです。

 

 初めて行ったのですが、さすが一次専門。虫刺され、打撲、切り傷等が来るわ来るわ。先々週のアルバイト病院を思い出しました。

 

 軽症の患者さんは救急センター、入院が必要そうな患者さんは救急指定病院、という風にちゃんと分かれていれば、病院も中等症~重症患者さんに集中できてとても良いのですが、たまに「大きい病院にかかりたい」と救急センターを受診せずに病院を受診する方がいます。気持ちはわからなくはないのですが、救急医療システムを医療者側・患者さん側、双方が最大限の利便・利益を享受できるように運営するためには、例外なく重症度に応じて受診する医療機関を定めなくてはいけません。

 

 軽症の場合は・・・

(1) 日中のうち近所のにクリニックを受診する。

(2) クリニックが閉まってしまったら、軽症なら朝まで様子をみる。もしくは、一次救急担当の医療センターを受診する。

 ↑ ぜひ!みなさんこのようにして頂きたいです。

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2006.06.06 00:43 |  診療  |  医療制度 / 行政  |  医療事故  |  その他(一般)  |  雑記  |  ( ´_ゝ`)ふーん先生  | 推薦数 : 0

当直は月7回

 今日も救命救急の当直です。さきほど階段から転落した患者さんの処置が終わって一息ついたところです。

 

 私は今、当直は月に6回~7回です。駆け出しのスタッフとしてはまあ標準的な回数でしょうか。

 

 今まで、日勤をして、当直をして、翌日も日勤をするのが日本の医療の常識でした。最近は「医者も労働者」という考え方がやっと広まりつつあり、翌日は休みとか半日勤務にするところも増えてきたようですが、未だ日本の夜間救急医療は日勤→当直→日勤という勤務体制に支えられています。

 

 私は幸い環境に恵まれていまして、当直明けの日は半日勤務だったり昼寝の休憩がとれたりしますが、おそらく大部分の医師はそうではないでしょう。

 

 しかし最近は医療訴訟が増え、救急外来の症例に関して研修医が訴えられるような事例も出てきました。

 

 このまま医療側が夜間救急の体制を変えないでいると、

 

無理な労働→ミスの発生→訴訟→夜間スタッフ減少→残りのスタッフのさらに無理な労働

 

という悪循環に陥りかねません。

 

 この状況を打破するには、やはり

1)勤務体制の改善(当直翌日の休暇など)

2)患者さんへの啓蒙(不必要な救急車利用・救急外来受診を減らす)

が必要だと思うのですが。1)はスタッフを増やさなければいけないので病院の負担が増えますし、2)は容易な問題ではありません。

 

同じように悩んでいる医師の方は多いと思うのですが。どこに働きかけていけばいいものでしょうか。うーん。

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2006.05.29 21:59 |  診療  |  医療制度 / 行政  |  医療事故  |  その他(一般)  |  雑記  |  ( ´_ゝ`)ふーん先生  | 推薦数 : 0

ロハスメディカル

ロハスメディカル

http://www.lohasmedia.co.jp/

 

病院に置いてあるフリーペーパーです。

これがなかなか良い記事が書いてありまして。

 

患者さんたちに知ってもらいたいこと、患者さんたちが誤解しがちなことなどが詳しく解説されており、医療者側としても

「おお、このことを伝えてくれるんだ」

と嬉しくなります。

 

今月号は産婦人科医不足の話題でした。臨床研修必修化に伴い特定の科は志望者が激減しており、先日ニュースになった脳神経外科もそうですが、特に産婦人科は滅亡の危機にさらされています。

 

産婦人科は時間外勤務・当直勤務が最も過酷な科です。お産は昼も夜も常にありますので、お産をとる病院では必ずオンコール医(呼ばれたら出勤するために自宅待機する医師)か当直医がいます。しかも産婦人科は他の科よりも人員が少ないことが多く、基幹病院クラスでも3~5人、少ないところでは2人や果ては1人でこの仕事を全てまかなわなくてはなりません。

 

私が所属する外科も毎日当直医をおきますが、基幹病院で医師が10人以上いるため、1人あたり月に4~5回ですみます。しかしこれが産婦人科だと1人あたり7~8回はあたりまえ、ひどくなると月の半分とか、オンコールと当直が毎日交互とか、とんでもない勤務体制になってしまいます。さらに若い医師が減っているため、50代のベテラン医師がこういう過酷労働を強いられているのです。

 

・・・などなどといった内容はロハスメディカルに書いてあるのでこのくらいにして・・・みなさん是非病院で読んでみてくださいね。

 

産婦人科不足を救うためには、産婦人科医の給料を上げて、さらに産婦人科で訴訟になりやすい出産時のトラブルを保障する制度を作るしかないでしょう・・・

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初の専門外来でいきなり苦情を受けました。

 

2回の乳腺細胞診でclass3、class0と悪性の診断はつかず、授乳中ということもあって1~2ヶ月の経過観察→再検査という予定をご本人に説明したところ、数分後にご主人が入ってきて、「class0というのは失敗ではないか。検査の失敗で診断がつかなかったのに1~2ヶ月放っておくとはどういうことか。」のことでした。

 

・授乳中なので細胞診の確実性が薄れていること

・乳腺全体が硬く、細胞診が難しかったこと

・悪性だとしても早期なので1~2ヶ月の待機は可能であり、診断に確実を期すために授乳中断後に再検査を行うのがよいと考えていること

 

等を再度説明し、ご理解いただきました。

 

簡略に説明しようとしてかえって疑問を抱かせてしまったケースかと思います。病状説明は難しいものですね。

 

 

ところで

 

ご主人は、奥様から私の説明を伝え聞いて、納得がいかない部分があったから直接私に聞きにこられたわけです。そこでなぜ、

「失敗ではないか!おかしいではないか!どういうことだ!」

という口調になるのでしょう?

「この点がわからないので、私にも説明して欲しい。」

とおっしゃればよいのではないでしょうか。

前者だと私も驚いてしまう上に、今後この患者さんを診察するのが億劫になってしまうかもしれません。でも後者ならば、「ああ、私の説明が不十分だったのだな。反省しなくては。」と素直な気持ちで再度説明することができます。

 

昨今、マスコミの偏向報道によって医療者は悪者扱いされ、特に産婦人科や小児科は志望者が減って大ダメージを受けています。確かに一時代前は医者は神様という態度の医療が横行しており、患者側が不利益を被ることも多々あったと思います。しかし今の時代、ほとんどの医療者はそのような医療では患者さんは集まらず、自分の医療ができなくなることを認識しており、より対等な患者~医師関係が保てるように努力しています。

 

この「対等」というところが重要です。対等であるからこそ治療方針について互いに意見を出して話をすることができるわけです。患者側が上の立場に立って文句を言う関係では、医療者は自分の意見を言ったり患者さんのために試行錯誤することができなくなってしまい、かえって医療は悪くなるばかりです。

 

昔の医療者が上だったときと同様、今の「患者側が上」的な風潮は医療にとって良くないものだと思います。これを改善するために、われわれ医療者はどのように努力をしていけばよいのでしょうか。難しい問題です。

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