2007.10.20 11:00 |  仕事 / 職場  |  近隣の僻地医  | 推薦数 : 3

僻地医のモチベーション

クサウラベニ茸先生とコメントのやり取りをしていて、僻地医のモチベーションってなんだろうと思いました。以前実習にきた医学生が「医師のモチベーション」についてグループインタビューをするという課題があり、応じたことがありました。思いつくままに答えたような覚えがあるのですが、自分にとってのモチベーションはなんだろうと改めて考えてみました。

まずは

僻地医療がやりたいという気持ち:これがないと最初から僻地にはこないだろうし、医局派遣できても予定通りまた大学や大病院に戻ってしまうでしょう。

使命感:というとなんだかかっこつけていますが、今自分が辞めてしまってはこの地域の医療が崩壊しかねないと考えるとなかなか辞めるのは躊躇してしまいます。自分の代わりの医師なんてたくさんいるのですが、私の後釜として信頼できる、継続していてくれるような医師がいないとなかなかバトンタッチは難しいと考えています。毎年所長が変わっていては診療所の運営が出来ないでしょう。ただ自分がなんでもかんでも所長として居座っていくこと自体は決していいことではなく、スムーズにバトンタッチをしていくことは難しいかもしれませんが、大切だと思います。そういう意味で後輩を育てていくことが重要であることは言うまでもありません。

住民や行政からの信頼:どの程度信頼されているかというのは数値ではなかなか出てこないのでつかみづらいのですが、困ったときに相談に来てくれることが多いとうれしいものです。外来の数にも結構あらわれます。長い時間を待ってでも私の外来に来てくださる患者さんの存在はうれしいものです。また行政に関していえば、診療所の運営について私の意見をよく聞いてくれるとか、色々なところから講演などの声をかけてもらうというのは一つのメルクマールかもしれません。

その町を自慢できる:自分が勤めている町に住み、そこで生活することにより、外からの眼ではなく、それに加えて内からの眼で地域を見ることが出来ると楽しい。これは実際にすんで見ないと分からない感覚かも知れません。医学生や研修医が来たときはなるべく地域を知るためのプログラムを組んだりもしていますし、往診のついでにあちこち寄って帰ってくることもあります。都会育ちの子が多いので、それなりにみんな喜んでくれます。

患者さんとの距離が近い:患者さんであり、近所の人であり、子供同級生の親だったりするわけです。その分プレッシャーもあるけれどやりがいも感じます。心筋梗塞やくも膜下出血の患者さんがきて、すぐ診断して、処置をして中核病院へ送る。ただそれだけのことでも患者さんやその家族はすごく感謝を表してくれます。私は何もしていないのに。

コンビニ受診が少ない:まったくないということはありえませんが、子供が夜に熱をだしてもあわてて連れくるという家庭は少ないです。だいたいは家で様子をみて翌日連れてきます。電話での問い合わせで済むこともあります。都会の病院の夜間救急のように腹の立つ患者さんは一部だけです。(地域によって事情は様々かもしれませんが)

あんまり忙しくない:小児科で急性期をバリバリやっていた頃、後期研修医で急性期病院にいた頃と比べて時間はたっぷりあります。公立診療所なので土日は基本的に休み。それこそ小児科時代はポケベル(古い!)から開放される日は夏休みと学会発表の時ぐらいでした。それに比べれば当直が多いといっても基本的には宅直ですし、年に2/3はフリーになれると考えればまあよしとすべきでしょう。家族とすごす時間ももちろんたっぷりあります。当直(特に週末の)はもっと減ってほしいけど。

自然が豊か:これは言うまでもないでしょう。僻地にくる医師はだいたい自然が好きなはずで、だからこそ田舎で暮らしながら医師をしたいと考えると思います。時間は結構ありますので、家庭菜園をするもよし、山歩きやつりをするのもよしです(私はクワガタ)。子供を自然の中で育てるというのもなかなかよいですよ。塾とかもないし。

仲間がいる:これも大きいです。同じ地域医療、総合診療志向の医師と一緒に働けることは楽しいことです。以前は普通の町立病院だったので、あまりそういう医師がおらず、ちょっとストレスでしたが、今はそれなりに楽しいです。

モチベーションが下がる、辞めたくなるというのは基本的にここの反対のことをことがおこるともういやになってしまうのでしょう。

特に 住民、行政の理解がない、経営についてあれこれ言われるというのは本当にいやになってしまいすね。現場を無視してあれこれ決めるとかは最悪。また町長の存在は大切です。無理解な町長はそれだけでもう終わりでしょう。知識がないならないなりに何か考えてくれたり、意見を聞いてくれればいいのですが、考えようともしない、先送りするのは困ったものです。

行政の悪口はいくらでもかけますが、基本的には私はあきらめています。まずは敵にならない、見方に引き込むというスタンスで考えています。役場組織は巨大ですから、私一人で立ち向かっても何も変えられません。こちらが負けるだけです。行政の理解がないのであれば公設民営化を選択するということになると思います。

あと仲間も大きいでしょう。同じベクトルを共有できない上司、部下がいると疲れてしまいますよね。

なんとなく思いつくままに書いてしまいましたが、いかがでしょうか。他にこんなこともあるとか、これは違うとかあればご意見をお願いします。

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