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うつ病の症状として、”死んでしまいたい”と自殺という考えが出現します。これはうつ病の回復期や再発を繰り返す場合に多いと言われています。極度のうつ状態から抜け出すときに自殺という行動に移してしまうことがあります。
私は、うつ病の自殺を防ぐには、極度のうつ状態へ陥ることを防ぐことが最も重要だと考えています。それを防げば、かなりの確率でうつ病の自殺を防ぐことが出来ると信じています。
そのためには、やはり早期発見と早期治療に尽きます。軽度であるうつ病を治療して、重症化させないで治せば、うつ病の自殺は防げるのです。
そのために、以前に書いた”心の赤信号”、つまり、眠れない、食べれない、休めない ときはすぐに病院へ相談して下さい。
うつ病を治すポイントは、自分を上手にコントロールすることです。自分の心と体の調子を見極めて、調子に合わせて生活する方法を知ることです。悪いと思えばペースを落として休む。調子よければ疲れないように気をつける。そんなコントロールを自分で行うことです。
例えれば、車の運転です。アクセルとブレーキがあり、タイヤやエンジンがあり、その調子を見極めて、慎重に安全に運転するのです。時には、エンジンを切って休み、何もしないことも必要です。調子良いかどうかは、車を運転してはじめてわかります。調子が不安なときには、点検してもらうために、工場へ行きます。それは、自分が信頼できるエンジニアがいる工場です。そして、安心して運転を楽しむのです。
いつも患者さんには、こんな例え話をしています。
うつ病が悪化すると、周りの適切な状況判断が出来なくなります。例えれば、暗い落とし穴に入り、逃げ道が見えず、絶望的になります。
ですから、うつ病では、発症や悪化のサインを適切に捉えることが重要なのです。そのサインを捉えれば、落とし穴に入る前に立ち止まり、方向を転換することが出来ます。
しかし、心の状態、つまり、脳の状態を自分で知ることは容易ではありません。
そこで、患者さんには、寝ること、食べること、休むこと、この3つのことが出来なくなったら、うつ病の発症や悪化のサインだと伝えています。
実は、自分自身でもいつも気をつけているサインです。
患者さんのために、医師がやれることは、自分の健康維持管理です。医学の修得なども重要ですが、最近は自分の健康管理が最も大切だと思っています。
私は、自分の健康を維持管理するために、毎日1時間ほど歩いています。そして、睡眠をたっぷり取ります。腹八分の食事を行い、平日の飲酒はまったくしません。
私も人間ですから、このような生活はつらいと思うことが多々あります。しかし、医師が不健康なら、患者さんは決して救われません。
うつ病の治療は、休養、薬物治療、精神療法です。休養は病初期に重要であり、薬物治療は病初期から症状が安定するまで重要です。精神療法は病初期から安定期、そして完全に回復するまで重要な治療方法です。
私は、精神療法は最高の薬だと思っています。精神療法は熟練した精神科医のみしか出来ない治療です。マニュアルがあるわけではありません。勉強してすぐに出来る治療ではありません。
ある内科の先生から、”うつ病の患者さんに、先生と同じ薬と休養をさせても治らない。うつ病の治療は難しい”と言われてたことがあります。
それは、精神療法を行わなければ、うつ病の患者さんは治らないことを意味しています。
精神療法は、うつ病を治す最高の薬の所以です。
久しぶりの記事投稿です。忙しさに紛れて、記事投稿から遠ざかっておりました。反省しています。しかし、その間は診療と論文作成などコツコツと仕事はしていました。
最近のトピックと言えば、抗うつ薬のメタ解析から、抗うつ薬のランク付けをした論文が発表されたことです。今までは、抗うつ薬は効果に差はないと信じられてきました。ですから、この論文の発表は衝撃的でした。さらに、発表論文は世界の一流雑誌であるランセットだったことです。
今後は抗うつ薬の新薬が次々と認可されていきます。上記論文で効果が最も優れていたミルタザピンという薬も今年度中には日本で使用される予定です。
抗うつ薬の分野は日進月歩であり、今年も目が離せません。