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僕が胃を切り始めた頃(ちょうど2年前ぐらい)の胃癌の患者さんが、再発して入院してきました。
数ヶ月前に再発が見つかったのですが、抗癌剤も数回は行ったものの副作用の方が強く断念しました。
再発は急速に彼の体をむしばんでいるようです。
元々進行癌でリンパ節転移なんかもあったので、出てくるだろうなーって思っていたので「やっぱり」って感じはするのですが、それでも、術後の経過が順調で年齢(80代前半)のわりにとても元気だったので大丈夫かな?って思っていた頃でした。
今から考えてみると「あそこのリンパ節郭清をもっとアグレッシブにやっておけば」とか「切除マージンをもっと取っておけば」とかいろいろ出てきます。
ガンの治療をしている以上、再発は避けることができないものなのですが、やはり自分が手術をした患者さんで再発するととても悔しい思いになります。
アメリカでは癌の治療も分業制で診断は内科医、手術は外科医、補助化学療法や再発後の化学療法は腫瘍内科医、終末期は緩和ケア医となっています。
日本では診断は内科医がするとはいえ、手術から、補助化学療法、再発後の化学療法、終末期まで外科医が見ることが多いです。
いまでこそ緩和ケアや腫瘍内科という形での分業やチームでの関わりが増えてはきていますが、実際は外科医や普通の内科医が終末期を看取っています。
外科医は手術をしていればよいという考えもあるかもしれませんが、やはり再発した患者さんと向き合うことが無ければ、次の手術につなげることができないように思います。
あそこの郭清が・・・とか、切除断端が・・・とか、再建術式が・・・とか、術後化学療法が・・・とかいろいろなことを術後の患者さんは教えてくれます。
彼は年齢的には強力な化学療法を行うことは実際は不可能なので、これからは緩和医療になっていくでしょう。
おそらく胃癌の再発によるなんらかの原因で亡くなる可能性が高いと思います。
終末期の患者さんを診察していると、多くのことを学ばせていただきます。
それらの多くは自分が手術して、自分が外来で見ていて、話して、検査結果にお互い一喜一憂していないと、わからないかもしれません。
これから数ヶ月(数週間、数日かもしれませんが)は、彼と命と自分の治療法について向き合うことができる日が続くと思います。
そして彼が最後の時間を有意義に過ごすことができるように関わっていけたらなと思っています。