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そろそろものが腐りやすくなる季節になってきました。
季節の変わり目とか、気圧の関係とかが言われていますが
参考となる文献は調べていません。
あしからず。
誰か知っていたら教えてください。
でも、続くときは続いて、全然無いときは全然無い。
そんな印象を外科医は感じているようです。
先週も4件手術してました。
手術について説明をするとき
「虫垂炎」っていってもみなさん「?」という顔をするのに
「盲腸」っていうと「へぇー」って納得されます。
虫垂炎って昔からあったんだろうけど、なんだかよくわからないうちに治っていたり、よくわからないうちに敗血症になって死んでいたりしたんでしょうね。
手術がされるようになったのは19世紀末ぐらいからで、それまでは内科的に治療を行うものだったそうです。
抗生物質や点滴も無い時代の内科的治療の成績はやはり悪かったでしょう。
その時代は診断が遅れて虫垂から炎症が盲腸まで波及してから見つかることが多かったため「盲腸炎」なんて呼ばれていました。
今は盲腸まで炎症が波及して見つかるのはだいぶ少なくなっているのでほとんどの場合は「急性虫垂炎」といった病名になるわけです。

そんな病歴を言っていただけると外科医も虫垂炎を強く疑って検査をしていけるのですが、なかなか子供(症状を的確に言ってくれない)や、お年寄り(症状が現れにくい人がいる)などは難しいです。
というわけで、この季節、みぞおちから右下腹部に移ってくるような痛みには要注意です。
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話は変わるのですが、北方謙三先生の「水滸伝」(集英社文庫)に虫垂炎の記述があっておもしろかったです。
創作の小説なので、とても北宋時代に虫垂炎の手術ができたとは思えないのですが、なかなか描写が正確で感心しました。
北方謙三著 「水滸伝」(集英社文庫)1巻 曙光の章
元禁軍師範の林沖※と医者の安道全、元盗賊の白勝が牢獄から脱獄を図るのだが、白勝は虫垂炎(本文中には虫垂炎とは書かれてははいないが明らかに虫垂炎)にかかっており、脱出した後、雪の中で安道全が手術をするシーン。
(※林沖「リンチュウ」の「チュウ」は”さんずい”ではなくて”にすい”)
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いきなり、白勝の腹に刃物が入れられた。腰骨と臍の間ぐらいのところだ。白勝が咬んでいる枝が、ばりばりと音を立てているのが聞こえた。思ったほど、血は出てこない。安道全の手が、めまぐるしく動く。白勝の全身から力が抜けた。それでも、林沖は白勝の躰を押さえ続けていた。
「これだ」
安道全が呟く。白い、卵のようなものだった。また、手がめまぐるしく動いた。いつの間にかその卵が切り取られ、針が動き、傷口が塞がった。
「これは、ほんとうは小指の先より小さい腸の端だ。破れなかったのが、不思議なほどだな。林沖、あとは白勝の運次第なのだが、傷には布を当てていたい。なにかないか?」
いつもの、安道全の言い方だった。布など、あるわけがない。仕方なく、林沖は着ているものを一枚脱いだ。
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というシーンなのですが、明らかに虫垂炎の手術を意識して書かれています。虫垂炎の手術ができるようになったのは19世紀末なのですが、10世紀前半にこんなことができていたかもと想像してみるとおもしろいですよね。
このシーンの他にも登場人物の病気や怪我のシーンなどで医師から見ると「ははーん、これはあの疾患を意識して書かれているんだな」というのがあります。
たとえば、めし屋の朱貴の妻の病気は明らかに白血病、林沖が怪我をしてまた安道全が手術をするシーンは外傷性血気胸などなど。
19巻あってなかなか読むのには骨が折れますが、一旦読み出すとぐいぐい引き込まれてしまいました。
今その続編の「楊令伝」が連載中ですが、忙しくて少ししか読めていません。
ゆっくり読める時間がほしーなー。

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コメント
コメント一覧
「北方・水滸伝」は19巻もあるんですか!!
でも、、、いくら面白くても、それを読み切る体力がありません~。
楊令伝はいま、主人が図書館で借りて読んでますが、私が読む前に返却期限で返してしまいました、、トホホ、、、。
いつか、時が来れば読んでみたいです。
今の時代でよかった(笑)
昔、虫垂炎なりましたよ~。しかも手術しました。
最初はどうして胃が痛くなる感じなんでしょうか?
不思議です。
私の場合、ほんの数時間で、下痢のきついやつみたいな痛みになり、
さらに、寝ても立っても座っても痛くて、まさに七転八倒になりました。
あの状態で、いろいろ問診されたり検査されたりするのは、拷問のよう...(笑)
自分に余裕がないと、「なんでもいいから、早くぅ~」って涙目になっちゃいますね。
「水滸伝」はけっこうぐいぐいと引き込まれてしまいますよ。入院中の患者さんなんか一気に読んじゃっていますね(笑)。
全身麻酔を使った外科手術をしたのは華陀が最初と言われています。1800年も前にそんなことが行われていたと考えるとわくわくしますね。
まあ、フィクションなので麻酔をかけないで虫垂炎の手術ってあり得ないのですが・・・。イラストのような状態で麻酔をかけないで手術をすると実際は腹圧で腸が飛び出してきて虫垂を探すどころの騒ぎではないのです。腰椎麻酔でアッペをしているとき途中で麻酔が切れてきたり麻酔の高さが低かったりすると、大変なんですよ。
Kei☆さんも虫垂炎で手術をなさっているんですね。僕はまだ虫垂炎になったことがないので、その痛みがどういうものなのかっていうのがよくわからないです。患者さんは結構痛がっていますが。
>最初はどうして胃が痛くなる感じなんでしょうか?
おなかの中の臓器の炎症などによって痛みを感じてくるようになることを関連痛と言います。その痛みは脊髄からの神経が支配しています。胃の痛みを支配している神経はT6からT9(胸椎の6番目から9番目の所から出ている神経の枝)でその神経はちょうどみぞおちから臍の上の感覚を支配しています。小腸の関連痛はT9からT11の部分なので、臍の上あたりから下腹部にかけての痛みになるのです。虫垂炎の初期は虫垂間膜という小腸に近い腸間膜に炎症が波及しているので臍の上(T9が支配している部分)あたり(胃のあたり)にも痛みを感じます。虫垂炎が悪化してくるとダイレクトに虫垂の部分の腹膜(腹壁を裏打ちしている膜)を炎症で刺激するので右の下腹部が痛くなるのです。
これは問診で虫垂炎を疑う重要な所見になります。同じような憩室炎という、大腸の炎症は小腸間膜の炎症を伴わないのでいきなり右下腹部から痛くなることが多いです。とても痛いのは承知しているのですが、「問診」と「触診」が非常に重要になってくるんです。
虫垂炎の初期に「胃炎」と診断されて胃薬や整腸剤を処方されて帰宅することも多いのです。胃炎、腸炎と言われて帰っても右の下腹部に痛みが移ってきたら要注意なんですよ。
それと心筋梗塞のときに左肩が痛くなったり、尿路結石の時に鼠径部(足の付け根)が痛くなったり、胆石のときに右背部が痛くなったりとかと同じ理由ですね。
すんません、お返事がとても長くなってしまいました(汗)。
なるほど~、T9というところがポイントなんですね。
私が胃が痛いと思ったのは、実は臍の上で、下痢なのかと思ったのは、腹膜だったのかも...。
関連痛って、難しいんですね。
どこどこが痛いって、やっぱり問診でちゃんと言わないといけないなぁと思いました。
>初期に「胃炎」と診断されて
そうなんですよぉ。最初に行った病院では、
血液検査でも異常がなかったので、帰されました。
でも、数時間後に我慢できないくらい痛くなって、
救急やっている病院に行ったら...でした。
>とても痛いのは承知しているのですが
ほんっっとに痛いです(笑)
お行儀よく先生の前で座ってられないくらい...。
でも、手術中、執刀してくれた先生が、
「夏にビキニも着れるようにしてあげるからね」と、
おちゃめな感じだったので、笑っちゃいました。
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