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一般的に名前はよく知られてはいない病気なのですが、鼠径ヘルニアという病気があります。
鼠径ヘルニアという病気は一般的に「脱腸」なんて言われたりもします。
鼠径ヘルニアという病気は鼠径部(足の付け根のところ)の筋膜の弱くなった部分から腹膜が脱出し、それにともなって腹腔内容が脱出してくる病気です。
ひどくなってしまうと、玉の袋まで腸が飛び出してしまって歩くのもままならなくなってしまうというものもあります。
ヘルニアの歴史は古く、紀元前の書物にも書かれており、昔からこの病気には人類は悩まされてきたようです。まあ人間の解剖学的な特性から起こる病気なのでしょうがないのですが。
鼠径ヘルニアは悪くなっていくことはあっても自然に良くなることはありません。さらにいうと、ヘルニアがあるということはいつ腸がそこにはまりこんでしまう可能性があるということなのです。腸がはまりこんだら血流が悪くなって腸が腐ってしまうので緊急手術が必要になります。
まあそんなこんなで鼠径ヘルニアは手術の適応なのですが、僕も一番はじめに術者をやらせてもらったのが鼠径ヘルニアの手術でした。
ヘルニアの手術は局所麻酔でもできる1時間ぐらいの手術なのですが、奥が深い手術です。アメリカなんかではヘルニアセンターといって、ヘルニアの手術を朝から晩までやっているところもあるみたいです。
単純にやることはわかっているのですがなかなかいろいろな困難に遭遇してえっさ、ほいさとやっているわけです。
週一回ぐらいのぺーすでやっているでしょうか。
そういう以外と日常的な病気なのですが、場所が場所だけになかなかふくらんでいても病院には来てくれないみたいで、嵌頓(腸がはまりこんで)してしまってから救急車でいらっしゃる方もいます。
そういうときは外科のドクターが呼ばれて痛がっている鼠径ヘルニアをえっさ、ほいさと戻したりだとかします。
戻らない場合は緊急手術になってしまいます。
嵌頓ヘルニアはかなり痛いので患者さんは悶絶しているし、なかなか戻らないし、難しいのです。ましてや無理にやって腸が破裂してしまったりなんかした日にゃあ目も当てられまへん。
ちなみに非還納性鼠径ヘルニア徒手整復法290点→2900円になりまーす。ちゃりーん。
徒手整復法と言ってもゆっくり焦らずに解剖学的なヘルニア門に向かって優しく力を加えていくだけなんですけど、内容物の液体成分が少しずつでも腹腔内に戻っていってくれれば、突然「グジュグジュグジュ」という音とともに全てが腹腔内に戻っていってしまいます。
戻ったときは結構気持ちが良いです。悶絶していた患者さんもけろっと痛みが無くなります。腸が壊死している可能性があるので1泊ぐらい入院して経過を見ますけれど。
かくいう僕も中学生のときにヘルニアの手術をしました。
多感な時期だったのでそりゃあもう悩みました。
そのときのお話はまた今度ということで。
とにかく今回のエントリーは
「ヘルニアを甘く見てはいけません。
嵌頓したら大変ですよ。」
ということでした。

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