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こんなラーメン屋があったら、入りたいですか?
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10年前はラーメンは650円、チャーシューメンは850円だったそうです。
値段はそれなりではあったのですが、味にはそれなりに定評があったそうです。
だんだん値段が下がっていって、こんな値段になってしまいました。
ラーメン屋の店主はそれでもお客においしいラーメンを食べてもらえるように、なんとか材料費を切り詰め、パートのおばちゃんもリストラしてやりくりしてきました。
さらに昭和30年代に建てた店舗も古くなりました。
創業時から使っていた寸胴が壊れてしまいました。
店舗を新装することができません。
壊れた寸胴を買うことができません。
親父は町の人がラーメンを「おいしい」といって食べてくれるのがとてもうれしかったので、何とかおいしいラーメンを作って、町の人にラーメンを提供しようと頑張りました。
利尻産の昆布を使ってだしをとっていたスープをどこ産かわからない謎の昆布を使ってだしをとるようにしました。
麺も国産小麦を使ったこだわりの麺だったのが、どこで作られたかもわからない謎の麺を使って出すようにしました。
チャーシューは自家製だったのをスーパーのハムにしました。
それでもやはり、採算ラインぎりぎりです。へたすると店を開けていればいるだけ赤字になります。
人の好いラーメン屋の親父は、30年守り続けていたのれんを下ろしました。

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もうおわかりだと思いますが、ラーメン屋を病院、客の代表を国、客を患者さんと思って考えてください。
医療の値段はとても細かく国が決めており、診療報酬といいます。
ここに摩訶不思議な構造がうまれます。
診療報酬を決めているのは国で、国は診療報酬を医療機関に払う立場です(この辺は厳密には違うのですが・・・)。
2008年度の診療報酬改訂では、診療報酬の本体部分は0.38%アップしたのですが、材料費や薬剤費などを含めた全体は0.82%マイナスでした(ちなみに2006年度は3.16%、2004年は1.05%、2002年は2.07%のマイナス、2002年度から8年連続のマイナス改定)。
全国保険医団体連合会2010年の診療報酬改定は全体で10%UPを要望しています。
自民党の園田政調会長は「診療報酬UPを政権公約に」とはいっていますが、本当でしょうか。
財政審などは、「開業医への報酬を減らして勤務医へ増やそう」とか、「救急医療への集中投下を」とか言っています。
医療の高度化、細分化によって、国の医療費は上がり続けています。多くのラーメンに「鹿児島黒豚あぶり豚トロチャーシュー」が必要な状況になっています。
いつまで豚トロチャーシューをスーパーのハムの値段で出さなくてはいけないのでしょうか。
例えてみれば、大出血をしていて循環血漿量が減ってしまった人が末梢(手や足)の血管を締めて、脳などの重要臓器に血液を送ろうとしている状況でしょうか。
この状況を打開するためには、十分な循環血漿量を全身に補充するしかありません。重要な脳や肝臓だけに血液を送ってもいずれ他の臓器がやられて死んでしまします。
真っ先に末梢は壊死してしまします。
「救急医療を充実する」とか「産科、小児科を充実する」というのは、必要なことで、実に聞こえが良いのですが、我々からすると、「それだけじゃ、基幹病院や地域の開業医はつぶれちゃうよ」としか思ってしまいます。
救急医療を充実させても、その後のフォローアップをしてくれる地域の開業医や病院が無くてはいつまでたっても急性期病棟は空きません。
慢性疾患を定期的に見ていただいている開業医さんがいなくなると、基幹病院に慢性疾患患者が押し寄せ、勤務医は疲弊します。
開業医と勤務医の対立構造が好きな人が多いようですが、この両者がうまく回って地域医療が成り立っていることを我々は知らなくてはいけません。
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世の中には心霊写真を鑑定してくれる人がいるそうです。
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ある客が写真を鑑定してくれる人のところに気になる写真を持ってやってきました。
鑑:ああー、確かにありますね・・・。ここ、あなたの右上のほうに見えています。
そう、それです。
これが、輪郭ですね。
客:やっぱり・・・。どんなもんでしょうか・・・。
鑑:この写真をみると、悪いやつで間違いないでしょう。
客:ええっ・・・?もう一回おしえてもらってもいいですか?
鑑:ですから、ここに輪郭があって・・・。
全体的にしろっぽくて、ぼーっとしていますね。
このように角が伸びていて、恐ろしい表情をしています。
わかりますか?
客:そういわれればそう見えますね・・・。
鑑:非常に悪いやつです。もうすでにあなたの体の中に入り込んでいます。
おそらくこのままだと数年以内にあなたに災いが降りかかるでしょう。
客:ええっ?どうすればいいですか・・・。
鑑:それから逃れるためには。わたしのアドバイスを聞いて、いうとおりにすれば・・・
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途中で気づいた方もいるかもしれませんが・・・。
マンモグラフィー(以下MMG)の検診というもがあります。
僕もMMG検診の読影医の資格(B判定医)を持っているのですが、これがなかなか難しいものなのです。
しかし、その中でも早期の乳癌を見つけるために、今まで苦心して積み重ねてきた見るポイントがあり、それに沿って見ていけば、多くの早期の乳癌を見つけることができるといいます。
ここまで書くとわかるかもしれませんが、冒頭のコントは、乳癌検診で引っかかったMMGをもって来た人とドクターの会話です(まあ、ちょっと不自然なところもありますが)。
最終更新:6月26日8時5分
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この記事からは詳細はわからないので、あまりコメントはしません。
まずは、この女性に対してお気の毒でしたと申し上げます。
僕が言いたいのは次のことです。
もちろん100%見つけられることに越したことはないのですが・・・。
一般に乳がん検査のような検査はスクリーニング検査といいます。
スクリーニング検査とは「迅速に行うことができる検査や手技を用いて無自覚の疾病、または障害を判定すること」(米国慢性疾患委員会)とされていて、いろいろな要素からその妥当性を検討されて行われます。
たとえば、心筋梗塞になりやすい人を見つけるために、検診者全員に心臓カテーテル検査を行うとすると、冠動脈の狭窄はわかりますが、検診者の負担が大きく、費用もかかりすぎてしまうということになり、不適切なのです。
このへんで統計の話をすると、眠くなってしまうのでしませんが、ようするに極端な話をすると感度を100%にするためには検診者全員を検査陽性としてしまえば、いいということになってしまいますね。でもそれでは、精密検査をする施設もパンクし、検診者にも余計な負担をかけてしまいます。
感度が高くなればなるほど、偽陽性率(本当は疾患がないのに、検査で陽性になってしまう率、余分な検査が必要になる)が高くなってしまい、特異度(疾患が無い人を正しく疾患がないといえた率)が下がってしまうということになります。
胃癌の患者さんなどでも「1年前の検診では何も言われなかったのですけど・・・」という進行癌の患者さんが来られることがあります。
確かに、1年前の写真を確認すると、そこに癌があるのではないかと思われる影があったりなんかするんですが、それでも1年前にそれが診断できたかといわれると??マークだったりします。
そして、ここに癌が発生したという前情報がある場合と無い場合の写真の見方というのは全く違うものです。
とすると、検診で引っかからなかったのは、まことに不幸だったとしかいいようがないのです。
この記事の例ではどれだけの前情報のないMMG読影医がその写真を要精密検査にするべしとするかによると思います。
前情報がない読影医10人全員がいくつかの症例の中から、そのMMGの写真を「要精密検査」と拾い上げるならば、見落としといえるかもしれませんが、4、5人が拾い上げるだけのものならば、見落としと言えるものではないと思います。
冒頭の心霊写真のくだりですが、MMGの早期の難しいものは本当に心霊写真のような感じでディスカッションが行われます。
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「ここ、C領域に構築の乱れがありますよ。このラインがこう、ガキっとなっていて、引き込まれていますよ。」
「いや、それは乳腺組織のラインがそう見えているんでしょう。違うと思うなー。」
「いや、こっちD領域に、境界不明瞭な局所性非対称性陰影があります。」
「うーん、孤立した乳腺組織でいいんじゃないですかね。」
「そうですかね。いや、でも気になるなー。」
「そういわれると、気になってきたな・・・」
「じゃあ、カテゴリー3として、エコーしてもらいますかね・・・」
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なんて感じで。(実際はMMGは2人の読影医が別々に読んだもので判定するのですが、僕はまだまだヒヨッコなので上の先生と一緒に読ませてもらっています)
ちなみに僕のB評価は一応一人で読んでもよいことになっているんですが、まだちょっと自信がないので・・・。
MMG検診の有効性を高めるために、マンモグラフィー検診精度管理中央委員会というところで、読影医の資格の試験を行っており、それに合格した人が、MMG検診の読影を行うこととなっています。
その試験がまた難しいんですけど、ここでは書きません。

MMG再検や、エコーで確認して、怪しければさらに次の検査に進んでいきます。
最後にMMG検診について一般の方に是非知っておいてもらいたいことを書いておきます。
・・・精密検査なしといわれているときにでも、経過中に、しこりをふれたり、乳汁の異常分泌、乳房の変化があるようなときは、専門医を受診しましょう。
・・・前年検査で異常が無くても、次の年には異常が現れていることがあります。
・・・前年やそのれより前の写真があるかないかは、読影に大きく違ってきます。前の写真では無かったのに、現れたり、大丈夫だと思っていた怪しい影が、大きくなっていたり・・・。
・・・次の年でもう一回精密検査とでてからでいいや、とか、仕事が忙しいから、3ヶ月後でとかにしていると、病状が進んでしまう可能性があります。精密検査をしても癌ではないことはいくらでもあります。要精密検査とされていたにもかかわらず、癌といわれてしまうことをおそれて受診されないかたがいらっしゃいます。
・・・婦人科に相談に行かれる方がいらっしゃいます。外科の中に乳腺外科があるかどうかを確認して受診してください。
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いまさら、といってはなんですが、定額給付金の話。
今月、妻が実家に帰っていたこともあって、夜は外に行って食べたりしていたら小遣いの減りが激しくて・・・
(外に行くと行っても、近くのラーメン屋とか吉牛とかココイチとかなんですが)
気づくと給料前に財布の中に4000円しかない。
しかも、妻が帰ってきてから「そういえば定額給付金でてたから」といって、まるまる1万2千円くれたのに・・・。
定額給付金でたら、すこし小遣いを足してコンパクトなデジカメを買おうと思っていたんだけどなー。
うーん、何に遣ったかは思い出せない・・・。
確かに、昼飯を安い弁当ではなくて病院の喫茶店のランチとか食べていたけど・・・。
確かに、妻がいなくて邪魔になると文句を言われないので何冊か漫画を買ったけど・・・。
確かに、水泳はじめて水着が1着だと困るから、もう1着買ったけど・・・。
確かに、飲み会に何回か行ったけど・・・。
確かに、妻の誕生日があってお祝いしたけど・・・。
うーん・・・。
何で財布にあと4000円しかないんだ。
そうか、わかった!!
定額給付金はケーキになったのかぁ。
・・・・・・・・
失礼しました。
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また新聞の医療記事から引用。
最近こんなのばっかり。
イラストも描いていないなー。
ちょっと学会準備に追われているもので。
それでもちょっと長文になってしまいましたが。
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http://mainichi.jp/area/kanagawa/news/20090613ddlk14070279000c.html
4月中旬、老衰と脱水症状で救急搬送された父。受け入れ拒否の連続で6カ所目の病院に入院し、点滴治療を受けたものの、38度台の熱が約1カ月間下がらなかった。「このまま逝ってしまうのでは」と心配した▼「自分でものを食べられないというのは、生き物としての体を成していない」との主治医の説明。さらに「状態がさらに悪くなった場合、人工呼吸器などの延命処置をしますか。処置を求めないご家族も多いですが」と言われた。延命処置を求めたが、回復する可能性の話も聞かせてほしかった▼この1週間、幸い父の症状は安定した。しかし、口からものを食べるのはほんのわずかで、胃に穴を開けて栄養を補給している。主治医は転院先の話をし始めた▼次々やってくる重症患者のためにベッドを空けなければならないのは分かる。延命処置の確認も必要なことだ。だが、医療の現場が荒涼としていることを感じざるを得なかった。
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さて、まずは、記者さんのお父様の症状が安定してきていることは喜ばしいことです。つつがなく転院の段取りがついて、よい病院に転院されることを願っております。
まず、押さえておかなければならないことを挙げます。
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人間の体で嚥下をするという動作は非常に複雑な動作を伴って行われています。固体の食物を咀嚼し、舌の動きでで咽頭まで送り、それと同時に喉頭の動きによって気道をふさぎ、食道に食べ物を送り込みます。
健康な人はこの動作を無意識のうちに行うことができます。しかし、高齢になり嚥下に関する筋肉が落ちてきたり、咀嚼の力が弱くなったりしてくると、その複雑な動きができなくなってしまい、食べ物が気管の中に入ってしまいます。
そのため食べるたびにむせてしまいます。むせて気管に入ったものを外に出せるうちはよいのですが、だんだん繰り返しているうちに肺炎になってしまい、熱が出たり、全身が衰弱してしまい、悪循環に陥ってしまいます。さらに嚥下機能が低下してしまうと自分の唾液さえも気管に入ってしまい、食事をとったりしてもいないのに肺炎をくりかえしてしまいます。
食べ物が食べられなくなった動物は衰弱して死んでいきます。「動物の体をなしていない」と主治医が言ったのかもしれませんが、それは間違いではないと思います。言い方や受け取り方によっても変わってくるでしょう。
それはそうと
このことはあまり一般の人はご存じないのではないでしょうか。
われわれも終末期の患者さんや超高齢者の患者さんを受け持つことが多いのですが、嚥下の機能が落ちて食事が食べられなくなってしまう方が多いです。
そのときに以上のことを説明するのですが、なかなか理解いただけないようです。
そして、医師や看護師は「食事を食べてもらって退院してもらいたい」と思っています。
なんとか、嚥下しやすいような食形態にしたり、嚥下の訓練をしたり、ゆっくり時間をかけて食事介助したりすることで経口摂取を目指してやっていきます。
それでも発熱、肺炎を繰り返して結果的に胃瘻や経鼻胃管をいれるという選択肢をとらざるを得ないものなのです。
呼吸状態が悪化したときには気管挿管といって気管の中に管をつっこんで、強制的に呼吸をさせます。
気管挿管をしたときには人工呼吸器につなげるか、手でバッグをもんで空気を強制的に送り込むかのどちらかなのですが、人工呼吸器につなげるといくら家族が外してくれと言ってもはずせません。
そのため、呼吸状態が悪くなったときは延命処置の確認が取れていない以上は挿管しても家族が来るまではバッグを手で揉んでいなければいけないことになります。
さらに高齢者の肺炎で人工呼吸器管理になってしまうと回復の見込みはほとんどありません。
入院したときには「いつ、何時そのようなことが起こるかもしれません。お気持ちの整理をつけておくように」という意味で、基本的には厳しい説明をします。
長期間に入院して治療やリハビリが必要な患者さんは療養型の病床がある病院で治療する必要があります。
さらに長期入院が増えると急性期病床を占拠してしまい、この記者さんのお父様のような急病の方を受け入れることができなくなります。
3ヶ月以上入院していると1日の入院費が急に下がって病院が赤字になります。
もっというと、長期療養型の病床がある病院も現在ばたばたとつぶれていて、どこもいっぱいです。
そのため、1ヶ月治療をして病状が安定したところで転院の話をするのは至極妥当なところです。
入院してすぐに転院先を探し始める病院もあります。
先の選挙で大勝した人たちが社会保障費の年2200億円抑制を掲げて医療費削減を行っている成果です。
記者さん達の上司のお仲間たちが、「骨太の方針」は堅持していくことを再確認していましたが、荒涼とさせている原因は誰だといいたいのでしょうか。
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このあたりのことがわかっていて書いている文章とは思えません。
あきらかに
ということを書いているだけでその背景にあることを考えていませんね。
そして、お父様の病状を安定させてくれた医療従事者(医師、看護師、その他)に対する患者の気持ちが全く見えません。
字数の制限があるとしても、とても文章のプロが書いたとは思えない日記、随筆の類で、僕のこのブログと大して変わりありません。
荒涼としているその原因が何かを考察してこその新聞なのではないでしょうか。
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最後の一文
この一文の後にこんな言葉を入れておけばよかったのに。
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僕が胃を切り始めた頃(ちょうど2年前ぐらい)の胃癌の患者さんが、再発して入院してきました。
数ヶ月前に再発が見つかったのですが、抗癌剤も数回は行ったものの副作用の方が強く断念しました。
再発は急速に彼の体をむしばんでいるようです。
元々進行癌でリンパ節転移なんかもあったので、出てくるだろうなーって思っていたので「やっぱり」って感じはするのですが、それでも、術後の経過が順調で年齢(80代前半)のわりにとても元気だったので大丈夫かな?って思っていた頃でした。
今から考えてみると「あそこのリンパ節郭清をもっとアグレッシブにやっておけば」とか「切除マージンをもっと取っておけば」とかいろいろ出てきます。
ガンの治療をしている以上、再発は避けることができないものなのですが、やはり自分が手術をした患者さんで再発するととても悔しい思いになります。
アメリカでは癌の治療も分業制で診断は内科医、手術は外科医、補助化学療法や再発後の化学療法は腫瘍内科医、終末期は緩和ケア医となっています。
日本では診断は内科医がするとはいえ、手術から、補助化学療法、再発後の化学療法、終末期まで外科医が見ることが多いです。
いまでこそ緩和ケアや腫瘍内科という形での分業やチームでの関わりが増えてはきていますが、実際は外科医や普通の内科医が終末期を看取っています。
外科医は手術をしていればよいという考えもあるかもしれませんが、やはり再発した患者さんと向き合うことが無ければ、次の手術につなげることができないように思います。
あそこの郭清が・・・とか、切除断端が・・・とか、再建術式が・・・とか、術後化学療法が・・・とかいろいろなことを術後の患者さんは教えてくれます。
彼は年齢的には強力な化学療法を行うことは実際は不可能なので、これからは緩和医療になっていくでしょう。
おそらく胃癌の再発によるなんらかの原因で亡くなる可能性が高いと思います。
終末期の患者さんを診察していると、多くのことを学ばせていただきます。
それらの多くは自分が手術して、自分が外来で見ていて、話して、検査結果にお互い一喜一憂していないと、わからないかもしれません。
これから数ヶ月(数週間、数日かもしれませんが)は、彼と命と自分の治療法について向き合うことができる日が続くと思います。
そして彼が最後の時間を有意義に過ごすことができるように関わっていけたらなと思っています。
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1週間前から妻が娘(6ヶ月)を連れて実家へ帰省中。
僕が仕事に行っている間、いっつも子育てと家事をしてくれているので、息抜きもしなきゃねということで。
決して夫婦仲が悪い訳じゃありません(汗)。
「実家に帰らせてもらいますっっ!!」ってか。
違います。
さて、娘も早くも6ヶ月になってしまいました。
一日一日、成長していくのがわかり、とても楽しみな限りですね。
実家に帰っている妻からの報告によると、やっぱり人見知りが強くなってきているようです。
祖父や祖母が抱いていてもギャン泣きして、妻のほうに手を伸ばしてくるとのこと。
それで妻がだっこしてやると泣きやんでしまうそうです。
1週間前は僕がだっこしていても平気だったのに。
確かに最近僕がお風呂に入れると、すごい泣かれるような気がしていたのですけど。
人見知りは心が通常の発達をしている証拠です。
自分の好き・嫌い、自分と他人、他人の中にも違いが彼女の中で芽生えてきているのでしょう。
来週の木曜日に帰ってくるそうですが、そのときにどうなることやら・・・。
「あんた、誰?」みたいな目で見られたらきっと泣いちゃうな。
僕が。
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「Mr.Brain」というドラマをやっていますね。
昨日は救急外来に呼ばれてしまったので途中までしか見られなかったのですが、先週は第一話を妻と一緒に見ていました。
ドラマのストーリー自体はそれなりに楽しませてもらいました。
ただ、ものすごい違和感を感じたドラマでした。
その違和感の正体は、
言い換えてみれば局がそれだけ力を入れて作っているということなのでしょうけれども。
しかし、最近のテレビ番組を見ているとカネを使うところとケチるところをなんだか間違っているような気がします。
ギャラの安そうな若手芸人を使い倒している割には、ものすごい高額な賞品を提供してみたり、一台車を簡単に爆破してみたり・・・。
いきなりものすごいギャラの高いであろう司会者を毎日登用してみたりなどなど・・・。
「科警研」とよばれる、警察庁の研究所がドラマの中に出てくるのですが、そこの中に白衣を着た研究者があふれかえっていました。
「事件発生」のエマージェンシーコールに対していろいろな研究室からぞろぞろと研究者が出てきて一斉に事件に対して研究の成果を出すべく動き始める・・・。
研究所の中の設備がとても豪華であること、最新のコンピューターに最新の器機、最新の研究に最新の設計の建物。
そこにはこのドラマを作った人の「カネ」に対する考え方が投影されていました。
以下に制作者の「カネ」についての考え方を考察してみました。
・・・少なくとも100人ほどは「事件発生」のエマージェンシーコールには研究者が集まっていたようです。それらの人たちは常にあそこの場所に待機しており、「事件発生」に備えているのでしょうか。
待機している時間帯、研究している時間帯についても給料は発生しているわけであり、あの人数を365日24時間支えるということであればものすごい人数になるであろうこと。
さらにあの研究を支えるためには日本でも有数な頭脳が必要であり、その頭脳を雇用し続けるためにはそれなりの報酬が必要であること。
それは待機している全ての研究者に対して。
・・・一つ一つの部屋がガラスで仕切られている作りの研究所であり、コンピューターグラフィックスをふんだんに用いた最新鋭の器械で様々な分析をする・・・。
これは虚構の世界のものですが、 実際の「科捜研」ってどうなんでしょうか。
おそらく10年以上前の遠心分離器だとか、古いクロマトグラフィーなど使っているのではないでしょうか。
(セットにかけるお金があったらその辺の取材に対してもっとお金をかけてリアルにしてくれたら良かったのに・・・)
なのにドラマでは施設にもお金をかけているし、器機にもお金をかけている、研究にも莫大なお金がかかっている。
実際の大学の研究室でもこれだけの設備があるところなんてないでしょう。
・・・警察の捜査はお金には換えられないけれど、利益は出ません。
上記で書いた人員の担保、施設の維持、研究については莫大な予算(おそらく何百億といたった)が必要だと思われます。
安全を担保するためには、税金(私たちのお金)をいくら使っても許容されるべきだという考え。
その他にもいろいろなつっこみどころがあったのですが、このぐらいにしておきます。
「視聴率」は数字です。
会社の利益ではありません。
視聴率が良いと広告主はついていっぱいお金を出してくれるかもしれませんが、それが直接会社の利益と直結しているわけではないはずです。
みなさん、どのように思ったでしょうか?
脳科学という興味深い分野を扱っており、内容も(娯楽として)それなりに楽しめただけに、僕はなんだか残念な気分になりました。
それと、「待機時間にたいする給料」という概念がないということについて、今の「当直問題」がつながっているような気がしました。
もちろん治安の維持や捜査手法の確立に対してしっかり予算を確保していただき、警察の方々が十分な捜査をしやすい環境を作るということについては異論はありません。
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そろそろものが腐りやすくなる季節になってきました。
季節の変わり目とか、気圧の関係とかが言われていますが
参考となる文献は調べていません。
あしからず。
誰か知っていたら教えてください。
でも、続くときは続いて、全然無いときは全然無い。
そんな印象を外科医は感じているようです。
先週も4件手術してました。
手術について説明をするとき
「虫垂炎」っていってもみなさん「?」という顔をするのに
「盲腸」っていうと「へぇー」って納得されます。
虫垂炎って昔からあったんだろうけど、なんだかよくわからないうちに治っていたり、よくわからないうちに敗血症になって死んでいたりしたんでしょうね。
手術がされるようになったのは19世紀末ぐらいからで、それまでは内科的に治療を行うものだったそうです。
抗生物質や点滴も無い時代の内科的治療の成績はやはり悪かったでしょう。
その時代は診断が遅れて虫垂から炎症が盲腸まで波及してから見つかることが多かったため「盲腸炎」なんて呼ばれていました。
今は盲腸まで炎症が波及して見つかるのはだいぶ少なくなっているのでほとんどの場合は「急性虫垂炎」といった病名になるわけです。

そんな病歴を言っていただけると外科医も虫垂炎を強く疑って検査をしていけるのですが、なかなか子供(症状を的確に言ってくれない)や、お年寄り(症状が現れにくい人がいる)などは難しいです。
というわけで、この季節、みぞおちから右下腹部に移ってくるような痛みには要注意です。
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話は変わるのですが、北方謙三先生の「水滸伝」(集英社文庫)に虫垂炎の記述があっておもしろかったです。
創作の小説なので、とても北宋時代に虫垂炎の手術ができたとは思えないのですが、なかなか描写が正確で感心しました。
北方謙三著 「水滸伝」(集英社文庫)1巻 曙光の章
元禁軍師範の林沖※と医者の安道全、元盗賊の白勝が牢獄から脱獄を図るのだが、白勝は虫垂炎(本文中には虫垂炎とは書かれてははいないが明らかに虫垂炎)にかかっており、脱出した後、雪の中で安道全が手術をするシーン。
(※林沖「リンチュウ」の「チュウ」は”さんずい”ではなくて”にすい”)
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いきなり、白勝の腹に刃物が入れられた。腰骨と臍の間ぐらいのところだ。白勝が咬んでいる枝が、ばりばりと音を立てているのが聞こえた。思ったほど、血は出てこない。安道全の手が、めまぐるしく動く。白勝の全身から力が抜けた。それでも、林沖は白勝の躰を押さえ続けていた。
「これだ」
安道全が呟く。白い、卵のようなものだった。また、手がめまぐるしく動いた。いつの間にかその卵が切り取られ、針が動き、傷口が塞がった。
「これは、ほんとうは小指の先より小さい腸の端だ。破れなかったのが、不思議なほどだな。林沖、あとは白勝の運次第なのだが、傷には布を当てていたい。なにかないか?」
いつもの、安道全の言い方だった。布など、あるわけがない。仕方なく、林沖は着ているものを一枚脱いだ。
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というシーンなのですが、明らかに虫垂炎の手術を意識して書かれています。虫垂炎の手術ができるようになったのは19世紀末なのですが、10世紀前半にこんなことができていたかもと想像してみるとおもしろいですよね。
このシーンの他にも登場人物の病気や怪我のシーンなどで医師から見ると「ははーん、これはあの疾患を意識して書かれているんだな」というのがあります。
たとえば、めし屋の朱貴の妻の病気は明らかに白血病、林沖が怪我をしてまた安道全が手術をするシーンは外傷性血気胸などなど。
19巻あってなかなか読むのには骨が折れますが、一旦読み出すとぐいぐい引き込まれてしまいました。
今その続編の「楊令伝」が連載中ですが、忙しくて少ししか読めていません。
ゆっくり読める時間がほしーなー。

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東京でも神奈川でも滋賀県でも新型インフルエンザが見つかったそうです。
もう、驚くことではありません。
国内で発見された時点で、医療者達は「もう、国内で蔓延しているんだろーなー」って思っていました。
いや、ゴールデンウィークに検疫をしているのを見ていて「国内に入り込むんだろうなー」って思っていたかもしれません。
今回は幸いにも強毒性のインフルエンザではないとのことで軽症者も多く、適切な治療をすれば治るようです。
ただし、妊婦さんや、乳幼児、合併症をもった人なんかに感染すると言うまでもなく危険であることはまちがいありません。
また、軽症とはいえ、蔓延して発症した人が多数になってしまうと社会の機能が麻痺してしまい、その中で必ず重症化してしまう人が出てしまいます。
そのため、一人一人が感染しないように予防をすると言うことが重要になってくることは言うまでもありません。
自己免疫性疾患という病気があります。
いろいろあるのですが、自分の体を守るための免疫細胞などが過剰に体に働きかけてしまい、正常な体の働きまで妨害してしまう病気です。
今の状況はまるで自己免疫性疾患にかかってしまったかのようです。
過敏に反応しすぎてしまい、社会のインフラまでが過度に抑制されている状態だと思います。
今日ニュースを見ていると東京都の会見で記者の方々が、会見担当の人をまるでつるし上げるかのように強い口調で詰問していたのが気になりました。
「家族の人は何人なんですかっ」
「空港からはどうやって帰ってきたのですかっ」
それを知って、彼らの次の行動は何ですか?
家族の人(濃厚接触者)やリムジンバスの運転手や同乗者(濃厚接触者)にインタビューをするのではないでしょうか?そしてその人達に突きつけたマイクはどうするのですか?
ちゃんとアルコールで消毒してくれるのですか。
感染者が出た高校の職員をもみくちゃにして、あなたたちは感染しないといえるのですか。
感染者が出たところに群がっていく人たちがsuper spreader(超拡散者)になっていくきがしてなりません。
もう、どこで新型インフルエンザが発見されても驚きません。
それより、目の前の地域の患者さんや、入院している患者さん達、それと自分の体と自分の家族を守るために、感染予防と感染者の治療をしていきたいと思っている人たちの方が多いようです。
対策も状況に応じてどんどん変えていかなければ行けないと思います。
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