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「幻のカルテ」

夢見る掃除人 / 2009.09.28 21:38 / 推薦数 : 4

 

  

「幻のカルテ」

   

 

 

 裁判官が何を裁判員から意見を受けて、どのように答えたか、そして、皆が帰ってから、何を考えなおし、何を書いて、何について誰に意見を聴いて、調べたりしたか。。。あーそーか。やっぱり駄目だ、これじゃ。。。

書きなおしだ。これでどーだ。

  

 あ・・。まてよ。

  

肝心なことを忘れてた。

あの言葉は本人の口から出たものか。。

大事なこと聞き忘れた。

なんてバカなんだ。オレって。

  

 今度の公判で聞き忘れないようにここにメモしておこう。でも、このことは、本人には直接言えないな~。家族にももちろん聞けないな~

  

 ま。こーゆー感じで、いろいろと表に出せないメモ、書き足し、反省や、見たこと聞いたことなんでもかけるのが「覚え書き」です。これがないと「お仕事にならない」はずです。

  

 でも、裁判官の覚え書きは、誰に見られることも、責められることもありません。判決だけが表に出る「結論」です。

覚え書きが誰の目にも見えるように、当事者である被告人や家族や被害者がコピーできるとなると、大変なことになります。

 

 必ず、「いや。ここはコーゆーつもりで言ったんだ。」とか、「そーした見方は独善だ」とか、「ここは訂正してほしい。そんなフーにとって欲しくない。」とか、山のようにご要望が出てくるでしょうし、司法も社会も大混乱します。裁判官は判決文以外、いっさい何も書けなくなります。

  

***

  

 さて、医師のカルテはどうでしょう。カルテは患者さまのもの。ってなりました。今やとっくに「カルテ開示」の時代になりました。いつ唐突に「カルテを下さい」と言われても仕方ありません。

  

   これは大変な恐怖です。

  

 「様子を見ましょう」では済まされない。どのように、いつからいつまで、何をどのように。。。公判の論告のように正確にすべてを書き留めなければならなくなったのでした。

 

 いつもの傷でも、病気でも、薬の説明も、「どのように」説明したか、相手は納得したかしなかったか、それでどうした、どうだった、。。。ありとあらゆることを書き留めなければならなくなったのでした。

  

 医師が何にストレスを感じているか。。。書類です。どんな?

  診断書や患者説明書、入院目標、退院時の紹介状。。。そういう書類が山のように積まれているだけではありません。

将来の(ありもしない、あるかもしれない)公判に備えた全記録を詳細に準備しておかなければならなくなったのです。

   

 医師にとって大切な「本当のカルテ」は、カルテ開示という儀式のためになくなってしまったかもしれません。いろいろな感想や覚書きや迷いを書くスペースが奪われたのです。

   

 いまや、医師は「説明と釈明」という幻?のカルテにつきまとわれ、「命を輝かせる」という本来の仕事とは無縁の、幻の儀式の準備に埋没しているかもしれません。

    

  ***By ゆめみ***

   

   ---   Sep.28,2009   ---

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